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医療

「査読付き」を名乗る、とてもインチキな学術論文誌 51

ストーリー by hylom
この発想はなかった 部門より

pinbou 曰く、

本家/.の記事(Merck Created Phony Peer-Review Medical Journal)より。「Australasian Journal of Bone and Joint Medicine」という、自称ピア・レビュー(査読)付きジャーナルがある。骨や関節の医療に関する医学の専門学術論文誌のように聞こえるが、なんとこれは、世界的な医薬品メーカーとして知られるメルク(Merck)社が、自社の製品に都合の良いデータを発表して箔をつけるためにわざわざ設立したもの。実質的に査読は存在しなかったそうだ。

元のThe Scientistの記事(Merck published fake journal)は登録者しか読めないが、The American Journal of Bioethicsのブログblog.bioethics.netに出たSummar Johnson博士による記事(Merck Makes Phony Peer-Review Journal )によれば、この論文誌「Australasian~」はメルクが論文出版社として著名なエルゼビア(Elsevier)社に料金を払って発行してもらっている。しかし医学文献のオンラインデータベースであるMEDLINEには出ておらず、もちろんウェブサイトも存在しない。しかし権威あるエルゼビアから出ているということで、普通の医者はそのまま信じてしまうだろうとJohnson博士は警告している。

査読のプロセスはと言えば、このジャーナルの「名誉アドバイザリー・ボード」のメンバーだったオーストラリアのリューマチ学者、Peter Brooks氏によると、「一本の論文も査読したことはない」そうだ。また、Chemistry BlogのMitch Andre Garcia氏は実際にこの論文誌を読み、第二号の63%がメルクにとって都合の良い記事であることを見いだした(Merck Faked a Research Journal (.PDFs Available))。メルクは事実上この雑誌を自社薬品の宣伝のためのツールとして使っており、「専門誌Australasian Journal of Bone and Joint Medicineで発表された通り、当社のFosamaxは他の同種の医薬品の効果を上回っています…」などと宣伝していたらしい。

もちろん、「まともな」論文誌でも査読がきちんと機能しているかどうかは怪しいものではあるが、ここまで大がかりなイカサマをやったのはメルクが初めてではないか。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • COX-2選択的阻害剤 [umin.ac.jp]は胃で薬がやられなくなる夢の薬とモテハヤされました。でも、豪州 [news.com.au]も含めて、その薬で心血管事故が増えたとして集団訴訟が起こされています。米ニュージャージ州ではメルクが勝ち [lawinfo.com]ましたが、モグラ叩きの様に各国で展開している裁判の心証は著しく悪くなるでしょうね。
  • by Anonymous Coward on 2009年05月05日 19時39分 (#1559690)

    とある国際学会で発表するため昨年論文を投稿した。
    Full Paperを送付した後、私が投稿したセッションのチェアから
    あなたこの論文査読してください、とメールが来た。
    初めての経験だったので驚いたのですが、こういうのってよくあるんですかね?
    思いっきり競合他社の論文だったこともあり、かなり入念に見ました。

    • by oltio (3848) on 2009年05月05日 20時20分 (#1559707) 日記

      学会の規模や流儀もマチマチなのですが、ありえる話ではあります。投稿された論文の内容が学会の視野ぎりぎりのところだったりすると、きちんと査読できる人が見付からない場合もあり、あわてて査読者を探してくることはよくあります。論文誌と違って学会の査読はスピードが要求されますので、査読者手配にあまり時間を割けないという台所事情もあります。

      ただ、同一セッション割り当て予定の別の著者に回すとなると、おもいっきり競合他者となり、たとえブラインドレビューであっても査読の公平さを欠くことにもなりかねないので、極力避けるよう努力はします。

      なお、一度論文投稿があったら、その次の年から査読者候補リストに名前が載ることは覚悟してください。どこの学会に行っても査読者の確保で皆苦労してますから…。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2009年05月05日 20時44分 (#1559720)

        元ACです。
        件の国際学会は業界ではかなり権威のある大会なので、驚いた次第です。

        >なお、一度論文投稿があったら、その次の年から査読者候補リストに名前が載ることは覚悟してください。どこの学会に行っても査読者の確保で皆苦労してますから…。

        多分そういうことなのでしょうね。参加者が多いみたいですから。
        おそろしやおそろしや…。

        でもPublishされる半年前に他社の情報を得て、
        そしてそれを口外できないというのは、かなりロバ耳状態です。
        #私がつけたコメントで「この流暢でない英語…日本人だな」と分かっただろうな…。

        親コメント
    • by s02222 (20350) on 2009年05月06日 1時18分 (#1559836)
      簡単に論文の質を高めることができるため、比較的よく使われる優れた方法ですね。

      採録の上限が決まっているんだから、自分に査読が割り当てられた論文が不採録になればなるほど自分の論文が通るチャンスが増えるわけで。結果として、みな、できる限り徹底的にあらを見つける方向で査読をすることになり・・・

      # 査読に協力して、割り当てられた論文がそこそこ良くできてたっぽいので
      # それなりに良い評価を付けた一方、自分の論文が落とされorz
      # しょうがない・・・というにはどうにもすごいただ働きをさせられた感が悔しかったので暴論。
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2009年05月06日 13時49分 (#1559968)

        ># しょうがない・・・というにはどうにもすごいただ働きをさせられた感が悔しかったので暴論。

        結果としてあなたは質のよい論文に貢献できたのですよ。
        質のよい論文を査読でき、評価できるのもよい資質だと思います。
        あなたがしないのであれば、私があなたを評価します。

        親コメント
    • by Anonymous Coward on 2009年05月05日 20時08分 (#1559704)
      まさに peer レビューでは。peer-to-peer レビューというか。P2Pレビューというか。
      親コメント
    • 分野にもよるけど、あまりハイレベルと思われていない会議だと
      十分ありえると思う。互いに読ませあって(叩き合って)本当に
      (そのセッションの参加者にとって)良いものだけ残せば、
      聴衆が発表者だけのセッションでも、有意義なものになる。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        日本物理学会のアレなセッションの質も、その方法で向上しますか?w

        # 一回見物^H学したいんだが、怖くて行けない。
        • by oltio (3848) on 2009年05月06日 1時57分 (#1559851) 日記

          たしかマーティン ガードナーのインタビューで読んだのだったかと思いますが、彼のところに山程寄せられてくる「円積問題を解いた」と称する論文については、著者宛にこんな手紙を返すそうです。「私は円積問題の専門家ではないので貴方の論文を査読することはできません。××氏がこの問題については適当かと思いますので、××氏にコメントをお願いしてはいかがでしょうか」。その××氏は、ガードナーにやはり円積問題を解いたという論文を提出してきた人という仕掛け。二度と連絡は来なくなるそうです。

          同じやり方で物理学会のアレももしかしたら処理できるかもしれませんが、どの方向に質が向上するやら…。

          親コメント
    • by Anonymous Coward

      私も初めて出た国際会議(日本で開催)で3つくらいやりました。

      専門的には近い論文だったので断るのもなんだと思い引き受けました。

      ただしわからないものも1つあったので、近くにいたその分野の専門家
      に丸投げしました。

  • by Anonymous Coward on 2009年05月05日 23時21分 (#1559793)

    >> ここまで大がかりなイカサマをやったのはメルクが初めてではないか。

    まぁ規模で「大がかり」という話になると定量的な基準が無いので何とも言えませんが…

    例えば(査読有りの論文誌という名目になってるのに)「金さえ出せば,論文誌に掲載しますよ」みたいにDMで広告を送ってくるようなインチキ論文誌も存在していますよね.

    また,以前に米国の某報道雑誌のコラムで科学担当の記者が書いていた話によると,その手の「査読有り」「一応,大学の教授陣が編集委員になっている」「内容は(その業界の一般常識からすれば)無茶苦茶」という論文誌は大量にあるようです.例えば,かの有名な「ID論」なんかも,一応は体裁を整えた学会があったりするわけです.

    オレが「なるほど,これは狡賢い」と関心した例では,煙草業界は歴史的にあちこちに資金投下して医学関連の変な論文誌を作りまくったそうです.というのは,癌に関して「~すると癌になる/ならない」という,変な因子と癌を結びつける荒唐無稽な論文を増やすことで,煙草と癌の関連性から注意を逸らすことにあったそうな.

    • by USH (8040) on 2009年05月06日 16時47分 (#1560024) 日記

      例えば(査読有りの論文誌という名目になってるのに)「金さえ出せば,論文誌に掲載しますよ」みたいにDMで広告を送ってくるようなインチキ論文誌も存在していますよね.

      最近は手が込んでいて、とある学会の査読なしの国内の全国大会(ただし英語)に論文出したところ、聴いたことのない国際論文誌の編集委員会から、「全国大会の発表の中であなたの論文はすばらしかったので、我々の論文誌に推薦されました」といった内容のメイルが送られてきました。学会事務局に問い合わせたところ、そんな推薦をした事実はない、ということで、その手の勧誘だった様子。

      昔なつかしいリーダーズダイジェストのDM「100万人からあなたが選ばれました」を思い出してしまう。(学会レベルなので、「1000人から」ぐらいか、、、)

      親コメント
    • >> ここまで大がかりなイカサマをやったのはメルクが初めてではないか。

      まぁ規模で「大がかり」という話になると定量的な基準が無いので何とも言えませんが…

      最近は不景気であまりないかもしれないが、ひところ小さい学会がごろごろできた背景には、大きな学会だと論文が査読を通りにくいというようなことがあったとか。

      #イカサマ学会だと言ってるわけじゃありませんが。

      親コメント
  • by tol (19142) on 2009年05月05日 22時38分 (#1559778)
    少しまえにも、elsevierの雑誌で http://sbseminar.wordpress.com/2008/11/30/laffaire-el-naschie/ [wordpress.com] という以下のNatureの記事になった件がありました。 Quirin Schiermeier, Self-publishing editor set to retire, Nature 456 (2008), 432. 雑誌の運営というのはこういう問題が起きやすいのでしょうか。
  • これだけじゃなんとも (スコア:1, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2009年05月05日 18時41分 (#1559652)

    これだけじゃなんとも言えないような。
    MEDLINEに収録されない雑誌もたくさんあるし
    ウェブサイトが無い雑誌もたくさんあるだろうに。
    名誉アドバイザリー・ボードだって文字通り名誉職なだけかもしれんし
    第二号の63%・・っていっても第二号がたまたまメルク医薬品の何かの
    特集だったかもしれないじゃないか。知らんけど。

    とりあえず情報待ちだな。

    • by Anonymous Coward on 2009年05月05日 18時47分 (#1559656)

      え?

      査読有りって言ってたのが、
      実質無かったってのまで
      確認待ち?

      雑誌との関係だけ見ても
      十分怪しげで、清廉潔白とは言えないと思いますよ。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2009年05月06日 0時23分 (#1559820)

        清廉潔白でないとインチキと言っていいのか?
        それって誹謗中傷じゃないのか?
        下手すると悪魔の証明をせよと言うのと同義だと思うのだが。

        最近スラドで論文の話題が出ると査読査読と呪文を唱えて現状の態勢を絶賛する保守派の人がいるけど、そう言う類なんだろうか。

        親コメント
      • by Anonymous Coward

        っ「Presumption of innocence」

    • reject (スコア:1, フレームのもと)

      by nofuture (17983) on 2009年05月05日 23時46分 (#1559803)
      そのとおり。
      私が編集者だったら、根拠を取材して来るまで載せないですね。
      本家に載ってればいいか、だったら安直ですね。
      妄想の暴走でないことを祈ります。
      親コメント
  • by matsu03 (34226) on 2009年05月05日 19時01分 (#1559665) 日記
    この記事を書いた人は、査読というものを誤解してるんじゃないの?
    • by navarone (12977) on 2009年05月05日 19時36分 (#1559687)
      査読とは、ある意図に沿って都合のよい論文だけを通すためのものなのだけども。”権威”といわれる特権の維持のために行われる場合も多く、少なくともイカサマとかとは無関係。査読付き論文は時代遅れも多いし企業では見てないところも多いんじゃないかな。
      親コメント
      • 「ある意図(∃意図)に沿って都合のよい論文」まで一般化すれば(その中には「テーマに沿っているか?」とかもあるわけだし。)そりゃそうだろうし、学界の権威ってのはある程度は定説としての認知度を反映する訳だからそれに反したことすれば自然と査読も厳しくなるだろうけど(常識をひっくり返すのにはそれなりの説得力が必要なのは当然)、さすがに特定の企業の意向にそった学会誌設立&査読ってのは良しと思わない人のほうが多いと思うし、実際メジャーどころでは聞かないがなぁ。(学位売ります関係と同じで、マイナーにはやってるとこあるだろうけどね。)

        それに査読は単なる関門じゃなくて、落とされたとしてもレフェリーのコメントがつくところに価値があるという話もある。中には勘違いのあるコメントもなくはないが、大体は説明が足りないとか考慮が抜けているとかの落ち度を指摘してくれるものだから、査読が有るといっておいて無いのは投稿側にとっても残念な話。
        (査読する側的には、査読とはあただアラを見つけるだけでなくその論文がよくなるように考えて行うものだ、と先輩にも教わったしなぁ。実際には下請け・お手伝い以外で査読する側に回ったことはないけど。)

        時代遅れも多いし企業では見てないところも多いんじゃないかな。

        それは学会によるんじゃない?

        いわゆる企業的文脈で言われる「最新の」の基準は商品化だったりして、研究が成功して事業化&商品発表間近になると学会や論文誌には出さなくなる(秘密が増える&論文向きでない細かい改良が中心になる)だろうから商品化間近という意味で「最新の」話題は論文にならないだろうとは思う。けど、ちゃんとした学会・論文誌の場合、最新の商品が基本的な部分は学会の論文で10年前に発表された内容の商品化とかいうことはままあるように思うけどね。
        (で、うっかり10年前の論文を見逃して「近頃見かけないけど実は歴史は古い」内容を投稿しちゃって激しく指摘されてガッカリってのもよくある話ではある。)

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          >査読は単なる関門じゃなくて、落とされたとしてもレフェリーのコメントがつくところに価値がある

          しーっ!
          レフェリーのコメントがつかない「モデレーション」というものに慣れっこのスラドっ子たちには
          その価値はなかなか判ってもらえないんだから、そっとしておくのが吉。

          #だから文句はコメントで書けとあれほど…

      • by kyo1 (28134) on 2009年05月05日 20時47分 (#1559722) 日記
        仮に査読というものを誤解していたとしても
        自社で自社のために設立した論文誌で
        しかも査読付きとしながらも実質的に査読をしていない点は
        十分にイカサマと呼べるような気がするのですが。
        親コメント
        • Re:査読 (スコア:1, すばらしい洞察)

          by Anonymous Coward on 2009年05月05日 23時56分 (#1559807)

          一般でいう論文の査読していたか、いなかったか別にして、胴元の悪口を書いた論文が載るとは思えません。
          少なくとも胴元の意図にそった論文が寄稿されるでしょうし、そういった論文が掲載されるのは
          自然のような気がします。
          たとえば、胴元の悪口や意図にそわない論文が寄稿され掲載を断わることがあったならば、
          それはそれでフィルターが掛かっているということで、論文の査読がされているということ
          だと思います。

          親コメント
          • Re:査読 (スコア:3, 参考になる)

            by fcp (32783) on 2009年05月06日 10時15分 (#1559920) ホームページ 日記

            一般でいう論文の査読していたか、いなかったか別にして、胴元の悪口を書いた論文が載るとは思えません。
            少なくとも胴元の意図にそった論文が寄稿されるでしょうし、そういった論文が掲載されるのは
            自然のような気がします。

            だったら「Australasian Journal of Bone and Joint Medicine」なんて紛らわしい名前ではなく、「Merck Journal of ~」とでも名乗って、標準的な読者・潜在読者 (つまり医者・医学者) が出資者を誤解することがないようにしてもらえると、悪気がないことがよくわかって結構なのですが。 The Scientist の記事によれば、医者にとって、この「論文誌」の出資者がメルク社であることはわかりにくいようです。

            たとえば、胴元の悪口や意図にそわない論文が寄稿され掲載を断わることがあったならば、
            それはそれでフィルターが掛かっているということで、論文の査読がされているということ
            だと思います。

            そういうのを僕は「査読」と呼びません。百歩譲って日本語で「査読」と呼ぶかどうかは立場によって異なるとしても、 peer review と呼ぶのは明確に誤りです。

            親コメント
            • Re:査読 (スコア:3, 参考になる)

              by Anonymous Coward on 2009年05月06日 12時34分 (#1559948)
              >そういうのを僕は「査読」と呼びません。百歩譲って日本語で「査読」と呼ぶかどうかは立場によって異なるとしても、 peer review と呼ぶのは明確に誤りです。

              同意です。そもそもこの手の医学系/生物化学雑誌のreview processでは、論文の採否の最終決定権は、編集者(editor)にあるわけで、そこらへんのシステムを知らないと理解できないのかもしれません。

              論文が投稿されると、まずその内容をeditorがチェックし、それをreview processに回すかどうかを判断します。この段階で、雑誌の水準に全然達してないものやテーマに合わないものは、editorの判断で却下するか、あるいは同じ出版社で、よりテーマのあった雑誌があればそちらへの投稿を薦める(場合によっては、その手続きまでやってくれるところもありました)ことがあります。レベルの高い雑誌だと、まずここをくぐってreview processにいくまでにかなりの数がふるい落とされたり(いわゆる「門前払い」)されます。

              でreview processに進むと、editorがreviewerにpeer reviewを依頼することになります。誰に依頼するかは最終的にeditorが決めますが、最近は多くの雑誌で投稿者が何人か希望するreviewerの名前を挙げることができ、むしろ推奨されてます。また場合によっては(競合相手がいる場合など)「この人は避けてくれ」と逆に指名することも可能です。そうして、最終的に複数(通例2-3人)のreviewerにpeer reviewが回ります。そしてreviewerは論文をチェックし、問題点の指摘や追加実験の指定を行い、その雑誌への採否についての自分の考えをつけて、editorに回答します。

              editorはreviewerからの回答を総合してどうするか判断し、投稿者に(採否に関わらず、reviewers' commentsを付けて)回答します。一回でacceptやrejectの判断を下すこともありますが、修正により掲載の可能性がある場合には投稿者にその旨回答し、通常は(2ヶ月とかの)期限を決めて、その間に修正版(revision)を提出することができます。revisionのときは、基本的にreviewers' commentで要求された追加実験などについては出来る限り(100%とは言わないが、経験的には6-7割くらい)応じ、またコメントのすべてに対して回答する必要があります。…まぁ中にはとんちんかんなことを言ってくるreviewerも結構いますが、それでもコメントを無視したり、単にreviewerを批判するだけでは通りませんし、何らかの形で対応する姿勢を見せるとeditorの心証も違ってきますので。

              revisionが再びreviewerに渡されるかどうかはケースバイケースで、その結果2nd revisionなんかまで出るケースもあれば、もうrevisionが戻ってきたら、いきなりeditorが決めてしまうケースもあります。まぁぶっちゃけて言うと、そんな感じで実はeditorの方がそこらへんの決定権があるんで、そこを握ってしまえば…ということになるわけです。
              親コメント
          • by kyo1 (28134) on 2009年05月06日 3時28分 (#1559863) 日記
            >胴元の悪口を書いた論文が載るとは思えません。
            >少なくとも胴元の意図にそった論文が寄稿されるでしょうし、そういった論文が掲載されるのは
            >自然のような気がします。

            確かにおっしゃる通りですね。
            自社が自社のために設立という点でちょっと穿った見方をし過ぎたようです。
            イカサマという表現は行き過ぎでした。

            >一般でいう論文の査読していたか、いなかったか別にして、

            >胴元の悪口や意図にそわない論文が寄稿され掲載を断わることがあったならば、
            >それはそれでフィルターが掛かっているということで、論文の査読がされているということ
            >だと思います。

            査読の定義(範囲)の問題ですね。
            前者の一般的な査読しか想定していませんでした。
            一般的と言っても付け焼刃程度で
            水準に達しているかどうかを審査するために読むこと。goo辞書より [goo.ne.jp]
            程度の知識で、(おそらく)内容を判別してるのだろうと思い込んでいたのですが
            こちらの水準が何の水準なのかも曖昧ですね。
            確かに「査読」の一意味として後者のフィルター的役割も有り得るのかなと思っているところです。

            しかし悪口はともかくとしても
            意図にそわないという点が曖昧だと思うのですが、仮に
            自社にとって不利だという点でのフィルターも含まれると邪推するならば
            果たして「査読している」と胸を張れる状態なのだろうかという疑問も残ります。

            「査読」の一例として
            査読制度とは [sblog.jp] を参考としても
            やはり内容の精査あっての「査読」なのではないだろうかと思うのですがいかがでしょう。
            親コメント
        • by Anonymous Coward
          それは絶対にまずいですね、子飼いの従業員に押し紙させていた新聞社なんか真っ青になっているでしょうね。
  • バイブル商法 - Wikipedia [wikipedia.org]みたいだなと思った。

    # 医者という玄人を騙すためというカンジですかね。

    しかし論文誌まで製作するとは...せめてその労力でジャパネットたかたみたく自前の放送設備でも稼働させればよかったのに(違
    っても医薬品でなにやれば売上げがでるのか、ちょっと想像できないですけどね...

    # 前提として悪意が裏にある、としています

    --
    M-FalconSky (暑いか寒い)
    • by Anonymous Coward
      ≫# 医者という玄人を騙すためというカンジですかね。

      医歯薬系の業界では金を出して査読無しの論文を掲載させてくれる論文誌がたくさんあるそうですから,
      医者もこの手の話には慣れているのではないんでしょうか?
    • by Anonymous Coward

      私は、日本でいう、特許出願中で広告に出す商品みたいだなと思いました。
      一般人は、これで特許が取れたと勘違いするので、権威(この場合は特許庁)に認定された新技術が入っていると思ってくれるということを狙っているのでしょう。
      一度だけ、気が向いて調べてみましたが、請求期限が切れているのに、未請求のステータスだったことがありました。

  • 「Japanese Journal of Slash and Dot Technology」誌を発刊するしかないでしょう

    • by Anonymous Coward
      和文モールス通信技術誌に見えてしまったのは
      ちょっとだけ秘密だ。
  • by Anonymous Coward on 2009年05月06日 22時21分 (#1560120)
    お友達センセ同士でミニミニ学会を設立、論文誌を創刊、お互いに「査読」してパブリッシュしまくり...というパターンは結構ありますよ。
    「査読」も推して知るべしですし、破格に安い投稿料ととんでもなく迅速に掲載されますから論文数はバカみたいに増やすことができます。
    競争的研究資金のご時世なら当然出てくるタクティクスですよね。
    インパクトファクターで重みをつけても一桁、二桁違う本数書かれたら
    そんな重みづけふっとびます。
    自分とこの学生もアカポスにありつける可能性も増大するというメリットも大きいですね。
    #投稿料が別刷り100部こみで10000円とか投稿から2ヶ月で掲載とかですからねえ。
  • TBSでは良くあること (スコア:0, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2009年05月05日 19時01分 (#1559666)

    朝日でも可

  • by Anonymous Coward on 2009年05月05日 21時25分 (#1559742)
    メルクなんだしリューマチ研究なんだし、どっこいどっこいなんだから許してやれよ
  • by Anonymous Coward on 2009年05月05日 21時29分 (#1559749)

    例えばソーカル事件 [wikipedia.org]。

  • by Anonymous Coward on 2009年05月06日 14時05分 (#1559972)

    >しかし権威あるエルゼビアから出ているということで

    Elsevierに権威が?またまたご冗談を。
    質の高い雑誌からどうしようもない数あわせの論文誌まで取りそろえているところですよ?(当然ピラミッド構造だから後者の方が多い)
    Elsevierだから真っ当だと思うような人は(少なくとも日頃から論文を良く読む業種の人には)ほとんど居ないと思いますが。
    #いろんな雑誌社が統合/吸収されてるから、範囲が広くてもう何がなにやら。

  • by Anonymous Coward on 2009年05月06日 15時43分 (#1560001)

    ElsevierのウェブサイトやScienceDirectで検索してみたのですが、"Australasian Journal of Bone and Joint Medicine" という雑誌を見つけることができません。ぐぐっても、今回の件ばかり引っかかってきます。雑誌のウェブサイトはないのでしょうか。

    • by Anonymous Coward

      トピ本文に「もちろんウェブサイトも存在しない。」と書かれてますよ。

      • by Anonymous Coward

        あ、ほんとだ。
        失礼しました。

        ちなみに、MEDLINEは新雑誌発刊後1年か2年 (どっちだか忘れた) 継続的に発行しないと収録対象にならなかったんじゃなかったっけ?ということは、MEDLINEに認知されていない雑誌と言うことなのでしょう。

        ところで、Elsevierが出版するウェブの雑誌リストにも挙がらない雑誌って、結構あるのでしょうか。
        それらの雑誌の存在を知る手段は?
        メルクが宣伝に使っても、その雑誌の入手経路がないと意味ないと思うんだけど。

  • by Anonymous Coward on 2009年05月06日 15時49分 (#1560006)
    レフリーレポート早く書かなきゃって思い出したのは俺だけじゃないはずだ。 しかしエルズビエあこぎだな。
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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs

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