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テクノロジー

鉄より強いプラスチック 103

ストーリー by reo
プラ人 28 号 部門より

ある Anonymous Coward 曰く、

広島大の彦坂正道特任教授とが、鉄鋼の 2 〜 5 倍の引張強さ (同じ重量での比較) を持つというプラスチックシートを開発したそうだ (47NEWS の記事より) 。

ひも状の高分子ポリプロピレンの液体を融点以下の約 150 度で瞬間的に圧縮することで分子のひもを整列させ、分子結晶間が緊密に強く結び付いたプラスチックになるという。製造価格は通常のプラスチックとほぼ同じだそうで、ガラスの代用品や自動車ボディへの応用が見込めるとのこと。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by taim (39834) on 2010年04月21日 12時15分 (#1752018) 日記
    特に欧州の高級車を作っているメーカは,軽量で強度の高い素材を求めています.
    今までは,その素材としてカーボンを利用していましたが,いかんせん価格が高いのがネックでした.
    ですが,このプラスチックの登場で,格段の軽量化が見込めそうです.また,価格もぐっと下がりそうな予感.

    不安というか,疑問があるのは,事故った時にどんな破損具合になるか,でしょうか.破片が強く飛び散るようであれば,周囲の方々を傷つけてしまうし,何より車内の人が安全じゃない気が…
    • 自動車の車体骨格やシャシー部品をこの樹脂材料だけで構成することは考えにくいです。
      おそらく、採用はドア、フェンダーまで、耐久性次第でフロントウィンドウを除くガラスと、
      骨格ならば一部の補強材まででしょう。

      自動車の車体骨格に必要な特性は、衝突安全や耐久性にかかわる「強度」も必要ですが、
      同時に「剛性」も必要とされます。

      これは、おおよそ縦弾性係数と製品形状で決まるのですが、樹脂の一般的な縦弾性係数は
      鋼板の1/100程度のようです。
      これにより、同じ形状で同じ性能を出そうとすると、厚さが数倍〜数10倍になってしまい、
      せっかくの比強度の良さが失われてしまいます。

      これを補うためには、形状により剛性を出す工夫が必要です。

      現在多くの車体に使われている鋼板の「プレス+溶接」に比べると樹脂成形部品の形状自由度は
      格段に高いですが、

      [1] 大物部品に弱い
         射出成形を行う場合、樹脂を送り込む圧力にまけない型締力を発生させなければなりません。
         単純にいえば、部品の投影面積に比例して成形設備が巨大化します。
         まして、成形後に再度プレス(それも部品全体を高圧下におく!!)が必要なら、なおさらです。

      [2] 部材の接合が難しい
         鋼板の「溶接」は、高速で丈夫な優れた接合手法です。
         樹脂部品では、おそらくボルト締結になるかと思いますが、コスト面から不利です。

      [3] 成形できる形状に限りがある
         自由度が高いといっても、成形の為の様々な制限が無いわけではありません。
         例えば、金型を使う以上、型抜きに伴う製品角度の制限は、かなりあります。
         今回の成形工程の場合、急速に圧縮成形する必要があるため、これに伴う制限もありそうです。

      という問題があり、「大きく作れず、小さい部品の組み合わせは高コスト、できる形状は
      ベストから遠い」といったことになると思います。

      また、強度について考えても、一般鋼板の270MPa級に大して、倍の強度の590MPa級の高張力鋼板が
      すでにかなり普及している(難成形の問題をクリアしつつある)ことを考えると、
      当面、今回の高強度樹脂材料が車体骨格の主役になることは、まずありえないと思います。

      逆に、車体骨格や、エンジン周辺(エンジンがあれば、ですが...)を除けば、コストと成形性次第で
      採用がひろがる可能性はあると思います。

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    • by Anonymous Coward on 2010年04月21日 13時26分 (#1752093)
      自動車に使えないわけではないが、自動車用じゃない
      ニュースソースの「自動車の車体を鉄鋼でなく今回の素材に置き換えると~」云々は、あくまでも高性能をアピールするための分かりやすいたとえ話に過ぎないことに注意してほしい
      引っ張り強度が従来比7倍と書いてあるが、これは言い換えれば引っ張り強度以外の特性はまだ評価していないということだ
      親コメント
      • by taim (39834) on 2010年04月21日 15時05分 (#1752161) 日記
        どの程度,自動車に利用するか,ですね.
        外装まで変えられると良いのですが,内装部分だけでも,とは思います.
        先日,ランボルギーニがガヤルドのスーパーベローチェを発表していましたが,これは軽量化のために,ドアの内側をFRPにしていました.まずはこういった利用にはよいのでは,と思います.

        この発表については,実用化の目処が立った,程度に受け止めています.今後,素材メーカなどと協力して研究が進めば,実用に耐えられる良いものが出てくるだろう,という点に期待しています.
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    • 成型時にスジボリしておけば、
      限度以上の応力が掛かったときの破損箇所を限定できると思います。
      --
      〜後悔先に立たず・後悔役に立たず・後悔後を絶たず〜
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    • 毎日新聞の記事では「繰り返し曲げても割れにくく」とあるので、破片が飛び散る心配はいらないでしょう。
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    • そういえば、サターンはフェンダーとかにプラスチック使ってたのを思い出したけど、このプラスチックだと、シャシも含めてオールプラスチック化できる?
      #昔、新宿のショールームで「あの」フェンダーを踏みに行った記憶が(w

      でも、EVとか作る際には、バッテリーの重量を気にしないでがんがん積めて良いのかもな…
      #オートクルーズまで付けたら、1/1のラジコンカーみたいになりそうだけど(w

      --

      /* Kachou Utumi
      I'm Not Rich... */
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    • by gesaku (7381) on 2010年04月21日 14時39分 (#1752145)

      ボール紙で出来たボディと揶揄された車ですが、一応FRPベースだったようです。
      このプラスチックを使ってオールプラのトラバントボディを日本で走らせてくれないかなあ。

      #中身はLEAFあたりでgesaku

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  • つまり (スコア:3, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2010年04月21日 12時17分 (#1752022)
    超合金のプラモデルが実現可能に
    • Re:つまり (スコア:1, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2010年04月22日 8時45分 (#1752551)

      こんなのを待たずとも、ABSアロイで作ればよいのでは?
      #そもそもこれ「合金」じゃないしな。

      親コメント
  • by wei (16323) <kitty_freak@yahoo.co.jp> on 2010年04月21日 12時23分 (#1752027)

    ををっ、カーボン樹脂をリプレースできるかこれわっ!?と思いかけたんだけど、

    > 鉄鋼の 2 〜 5 倍の引張強さ (同じ重量での比較)

    この点が引っかかりますね。
    同じ体積だとどの程度の引張強さになるんでしょうか。
    内容次第じゃあまりぬか喜びできないような気もします。

  • by Anonymous Coward on 2010年04月21日 12時09分 (#1752012)

    樹脂系だと紫外線劣化とか熱劣化とかありますが
    どうでしょうか?

  • by AliceYou (2190) on 2010年04月21日 13時15分 (#1752079) 日記

    もし自転車に使えるようなら、カーボン以来の素材革命になりそう。

    振動吸収性とかの機械的性質にもよるのでフレームに使えるかは分からないけれど、
    ホイールあたりなら製品化できるのではと思います。

    #この素材でUCIの車重規定が変わったら本当に革命。

  • ポリエチレンの高強度な結晶の作り方ってのが従来からありましたよね。

    ゲル紡糸法というそうですが、直鎖状高分子を普通に凝固させると局所的に折り畳まった結晶ができてしまうところ、引っ張り揃えてまっすぐぴっちり揃った繊維状結晶にするとすごい強度が出ると。

    今回のこれは、ゲル紡糸に代えて圧縮によって揃った結晶を作れるってことで、繊維状に留まらない好きな形(今回は板状)に成形できるのが特徴と言えそうです。

    と読み取ったのですが、いかがでしょうその筋のえろいひと

    • 延伸だけでなく圧縮することで伸びきり鎖結晶ができることは昔から知られていました。
      それこそ、今回発表を行った彦坂先生はその手の研究をかなり前にやっておられました。(とはいっても電子顕微鏡で確認するようなレベルの物が中心でしたけど)もちろん物理的な特性は延伸で作った伸びきり鎖結晶と同等のもので引っ張り強さは非常に強いものです。

      よりマクロなスケールで実現できたと言うことが今回の発表のすばらしいところでしょうか。

      親コメント
  • 黒い車は堅いとおもえ、と。

    #ぃゃぃゃ、無理ですマイケル

  • by naruenosekai (13637) on 2010年04月21日 12時16分 (#1752019)
    ボディをプラスチック化することによる軽量化には期待するものがありますが
    凹むことによる衝撃吸収や金属からプラスチック化によるエンジンノイズが
    搭載電子機器への影響が大きくなるのかが気になりますね。
    • by Anonymous Coward on 2010年04月21日 12時40分 (#1752048)

      実用化されれば、構造材以外の部分では置き換えが進むんじゃないですかね。
      ノイズの遮蔽という意味では線材を入れておけばいいのでは。

      熱耐性が不明ですが、カーボンディスクの代替とかは難しそう。
      ガラスの代替に使うと水没したときに割れないと困る。

      #プリウスって走行時に被雷したらどうなるんだ?

      親コメント
  • 透明カプセル内にモータやギアが入ったユニットと、車輪やプロペラなんかをつなぎ合わせていろんなモノを作れる
    カプセラ [google.com]というオモチャがあったんですが、
    そのカプセルの説明に、「材質はポリカーボネートで、鉄より強いプラスチックだ」みたいなことが書かれてたおぼえがあります。

    まぁ実際は、「鉄よりも」ってほどではないようですが強度は高く透明なので、オートバイ用ヘルメットのシールドをはじめ、防弾ガラスにも使われてるみたいです。今回はもっといい素材ができてきたんですね。

  • 23世紀から来ますた (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2010年04月21日 12時34分 (#1752042)
    >ガラスの代用品

    わたしたちの常識では、そういう目的には透明アルミを使いますがね…
    製法、知りたい?(笑)
  • by ruu (2298) on 2010年04月21日 13時39分 (#1752108)
    バイクのカウルとかに使えないかな。 転倒しても割れにくいとかで。
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あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall

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