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電力

負極に昆布を使用すれば、リチウムイオン電池の容量が 10 倍に 55

ストーリー by reo
釧路市民大歓喜 部門より

eggy 曰く、

ジョージア工科大学及びクレムソン大学の研究者らによれば、電池の負極の製造に真昆布など褐藻類から採取したアルギン酸塩を使用することで、リチウムイオン電池の容量を 10 倍に増やすことができることが分かったという (technology review の記事本家 /. 記事DOI: 10.1126/science.1209150より) 。

従来の負極の作成方法は黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデン (PVDF) のような高分子接着剤を NMP 溶液で混ぜるというものだ。黒鉛の代わりにシリコン粒子を使用することでイオンをより多く吸着することができるのだが、シリコン粒子は充電すると 4 倍に膨れ上がってしまうため、PVDF に亀裂が生じ負極が損傷してしまう。そこで PVDF の代わりに海藻由来のアルギン酸塩を使用した場合、負極に損傷を与えることなくシリコン粒子を膨張させることが可能となるのだそうだ。またこのアルギン酸塩は水溶性であるため NMP 溶剤が必要でなくなり、製造コストの節減とより環境に優しい製造過程を実現することが可能となるのだそうな。

実用化の前に、シリコン負極の対となる、同量のリチウムイオンを吸着できる正極を開発しなくてはならないとのだが、従来の正極を使用してもリチウムイオン電池の容量を 30〜40 % 程度増やすことができるのだそうだ。

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  • 基礎知識 (スコア:5, 参考になる)

    by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2011年09月14日 12時36分 (#2019365) 日記

    せっかくなんで今回の話を理解するために必要なリチウムイオン電池の知識を.

    ・バインダー
    電池の電極は基本的に活物質とバインダーから出来ています.

    活物質というのは実際にLiイオンを吸収・放出する材料です.ただ,粒子が大きいと内部までイオンが浸透するのが大変になる(使える容量が減る,充放電速度が遅くなる)ため,通常はナノ粒子化して使用します.こうすると表面積が増えてイオンの吸収・放出が速くなり(=充放電が速くなる),中心まできっちりイオンが入れるため容量もしっかり使い切れるようになります.

    その一方,ナノ粒子のままだとバラバラに崩れてしまいますし,集電極(外部と繋がっている電極)との電気的な接触も取れませんから,ナノ粒子をしっかり結びつけて全体の形状を保持するための「糊」が必要になります.これがバインダーで,今回の報告ではこのアルギン酸ナトリウムをバインダーとして15wt%使用しています.リチウムイオン電池は電位が高く有機物が分解しやすいので,通常は丈夫で良く伸びるフッ化物(テフロンの仲間)を使用します.

    また,Siであるとか,正極材のオリビン鉄であるといった導電性の低い電極材料を使用する場合は,これに加えて導電性助剤としてグラファイト系の物質も加えます.これがSiナノ粒子などの表面を適度に覆うことで導電性を担い,電極として使用できるようになるわけです.

    ・Si電極
    典型的なLiイオン電池の負極には,グラファイトが使用されています.Liイオンはグラファイトの層間に入っていき,最終的にはC6Liという形で飽和します.つまり,理論容量は炭素原子6個に付きLi原子1つですから,96500クーロン/72gで372mAh/gとなります.そして現在の負極の実容量はほぼこの値を実現しており,容量を増やすにはグラファイト以外のものを使う必要があります.

    次世代負極材料として有望なのはSnやSiと言った系で,Liイオンはこれらの金属に取り込まれると合金を生成します.例えばSiなら,究極的にはLi4.4Siという合金を作りますので,容量はSi原子1mol(28g)あたり96500*4.4クーロン,つまり4210mAh/gとなります(実際には0-4.4の領域をフルに使えるわけでは無いので,もっと減る).

    ただ,Si原子1つに対してLi原子を4.4個取り込む,なんてことをすればどう考えても体積が馬鹿みたいに増えますので,充放電の過程で電極材料の膨張・収縮が激しくなり,粒子の崩壊や電極からの剥離が起こってきます.これを防止するためにどんなバインダーをどうつけるか,が重要になるわけです(バインダーが伸び縮みしてうまいこと粒子を保持し続けてくれる).で,今回はそのバインダーとしてアルギン酸ナトリウムを使ったら良い特性が出たよ,と.
    なお,一応書いておくと,これまでにも様々なバインダーを利用することでSi系負極材料は実現されており,実際に販売されているものもあります.ですので,「今回の研究でSi系負極が使えるようになる」というわけではありません.結構特性の良い新しいバインダー候補が出来たよ,という研究です.

    また水溶性云々の部分はちょっとミスリーディングですね.Si負極材料は,Si自体が酸素・水ですぐ酸化されるため,水の使用は絶対に不可です.ですから,Si負極を利用する上では水溶性であることには意味がありません.
    グラファイト系などには使用できますが,その場合は(当たり前ですが)容量は増えません.

  • リンクミス (スコア:3, 参考になる)

    by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2011年09月14日 11時44分 (#2019326) 日記

    論文へのリンクが間違ってます.

    誤:http://www.sciencemag.org/content/early/2011/09/06/science.12091502(最後の2が余計)
    正:http://www.sciencemag.org/content/early/2011/09/06/science.1209150

    また余談ではありますが,DOIはサイト内の構成などが変わってもユーザー側ではリンク先を変更しなくて良い(dx.doi.orgの内部で参照される先が変更される)ようになっているものなので,本来ならタグ内で指定される飛び先にDOIのアドレス(今回の例で言うなら,http://dx.doi.org/10.1126/science.1209150 )を指定し,表に出す表記(今回の例だと,「DOI: 10.1126/science.1209150」とされている部分)にはその文章の出典を書くべきな気もします.
    つまり,

    DOI: 10.1126/science.1209150 [sciencemag.org]
    ではなく
    Science Express(もしくはScience, in press) [doi.org]

    の方が本来なら良いのではないかなあと.
    #いつも感じでいたのでせっかくなので書いてみた.

    ただまあ,リンク先をhttp://dx.doi.org/**にすると,実際にどのサイトにリダイレクトされるのかわかりにくい,という点はありますが.

    • ご指摘 thx です。修正しました。

      DOI の表記については以前からどうしたものか悩んでいたので参考になります。どうしようかなあ。

      --
      Hiroki (REO) Kashiwazaki
  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 11時49分 (#2019328)

    納豆のネバネバ成分であるポリグルタミン酸なんかも
    いいかも知れませんね。
    西洋人は食べないから知らないだろうけど。

  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 10時39分 (#2019285)

    マグロの次は昆布の乱獲か
    出汁用の昆布が高くなったら暴動おきそう

    • by PRAXI (35385) on 2011年09月14日 17時36分 (#2019569)
      アルギン酸は昆布(真昆布)じゃなくても作れます。

      たくさん安定的に採れるものが原料になる [kimica.jp]ので心配要らないと思いますよ。
      親コメント
    • by nemui4 (20313) on 2011年09月14日 10時56分 (#2019295) 日記

      真昆布ってかなりの高級品じゃなかったっけ。
      普段買いに行くスーパーでは置いてなかった気がする。
      もっと安いのとかじゃ効率落ちるのかな。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        >海藻由来のアルギン酸塩
        ってのだからアルギンZで済む話かも。

    • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 11時17分 (#2019306)
      すでに食品添加物や染料などの工業用まで 多用されていますよ。 用途が増えたところで影響はないくらいに。
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      昆布が無ければ若布を使えばいい

      • by Anonymous Coward

        海外では日本産ワカメが侵略的外来種扱いされてるそうだ...........(ワカメ駆除で電池の性能アップ?)

    • by Anonymous Coward

      ジャイアントケルプでOKらしいのでそっち使います

    • by Anonymous Coward

      まだ我々にはワカメ酒がある!

    • by Anonymous Coward

      商店を襲って我先に奪い合うわけですね。「Oh!my 昆布!」

  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 11時05分 (#2019298)

    昆布がピュアオーディオに与える影響も気になります

    # 音にコクが出る?

    • by THAL (30142) on 2011年09月14日 12時29分 (#2019356)

      昆布を変えると音が変わるのはピュア界では常識です。
      私は浜に拾いに行ってます。
      おかげで、ウチはミニコンですが、ハイエンドよりいい音がしますよ。

      ちなみに品種の違いでも味付けにサがでるよ。

      昆布       長所      短所   お奨め度
      ------------------------------------------------------------------
      マコンブ     バランス   モッサリ遅い    C
      オニコンブ   低域量感   低域強すぎ   A+
      リシリコンブ   高域ヌケ   特徴薄い    B
      ホソメコンブ   透明感     低域薄い    B+
      ミツイシコンブ  ウェットな艶   低域薄い     A-
      ナガコンブ    密度とSN   低域薄い    A+

      昆布以外ではワカメとノリがお勧め。

      他の海藻     長所      短所   お奨め度
      ------------------------------------------------------------------
      ワカメ      色彩感と温度   低域薄い    A
      モズク       バランス   距離感      C
      テングサ       低域品質   音場狭い     B-
      ノリ        中高域艶   モッサリ遅い     A

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 12時10分 (#2019344)

      アルギン酸には放射性ストロンチウムの体外排泄効果があるそうですから、ケーブル用の無酸素銅の精錬時に添加すれば不純物低減による音質向上を期待できます (精錬後に鍛造すればアルギン酸は排出されます)

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        その1
        1000℃以上の熔銅に有機物を添加しても歩留まるわけがないです(笑)
        #電解精錬時の電解液に添加するというのもありかもしれないが、その後の溶解鋳造で飛ぶのは一緒(笑)

        その2
        ワイヤーは圧延+引抜き加工、もしくは押出+引抜き加工で作られますので、鍛造加工の出番はありません(笑)

  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 11時29分 (#2019309)

    何と塩にするかでも変わってきますが、医薬品、食品添加物(増粘剤とか)、コーティング材、
    あと健康食品なんかにも使われていて、もの自体は新しいものではないんですよね。>アルギン酸
    こうしてまた新たな用途が見つかるのもまた、すごいなぁ、と。

  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 11時35分 (#2019316)
    昆布に巻いて冷蔵庫に一晩寝かした電池です
    とか言う話かとおもった.......
  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 11時44分 (#2019325)

    世の男性諸氏はアルギンZを服用すると、発電能力が10倍に…ならない。

    #対応する負極があれば、あるいは…。

    • by Anonymous Coward

      ×:対応する負極

      ◯:対応する正極

      #+−極の間違いにはくれぐれもご注意ください。

      • by Anonymous Coward

        #+−極の間違いにはくれぐれもご注意ください。

        アッー!

    • by Anonymous Coward
      アルギンZに含まれるのはアミノ酸の一種であるアルギニン でアルギン酸は関係ない。 #ねっとりしているアルギンZとか嫌杉。
      • by Anonymous Coward

        アルギニンが大量に含まれている、あの液体も、ねっとりしているから電極保持に使えるかも。

    • by Anonymous Coward

      発電能力じゃなくて持続力でしょ?
      あとうさん未だ終わらないの?ってか

  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 11時51分 (#2019335)

    新品じゃないとダメでしょうか。
    出汁をとった後の廃物利用じゃ無理?

  • とよりって何の書き間違いかと思った。

    製造コストの節減とより環境に優しい

      ↓

    製造コストの節減と、より環境に優しい
  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 14時23分 (#2019454)

    体積当たりの容量は大して増えないというオチ?

    • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 15時26分 (#2019488)

      増えますよ。
      活物質だけ考えると、

      ・重量あたりの容量でSi系の方が10倍
      ・初期密度は同じぐらいで、Si系ではLiが入って体積が4-5倍になることを考えると密度は1/5

      だから、体積あたりにすれば10*1/5で2倍ぐらいにはなる。
      (もちろん、活物質以外のところも結構変わってくるんでそのままの数値ではないけど)

      Si系でもフルにLiを入れなければ、半分ぐらいのLi量だと確か体積増加が10%ぐらいとかそんなもんだったから、そのぐらいで使うようにすれば体積密度はもっと上がるかも。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 16時13分 (#2019515)
    一瞬、深夜番組で売ってるサプリメントのハナシかと思いましたわ。
  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 16時44分 (#2019538)

    何で昆布を使おうと思ったのだろうか????
    だし汁が跳ねたのかな?

    • by sakamoto (8009) on 2011年09月14日 19時02分 (#2019629) 日記
      懐中電灯を使おうとしたら、つかなくて、ふたを開けてみたら、電池の代わりに昆布巻が入っていたなんていたずらをされたとか。
      --
      -- 哀れな日本人専用(sorry Japanese only) --
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      ・海水中のようないろんなイオンがいる環境でも安定している物質だから、電池にしても耐久性があるのではないかという思いつき。
      ・海藻はあまり利用されていないが、非常に成長が早く資源として優れており、利用法が開発できるとお得。

      とかそんな感じのことは書いてあるけど、どこまでが本当なのかは知らない。

  • by Anonymous Coward on 2011年09月14日 21時08分 (#2019707)

    ぜひ続報が聞きたいです!

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長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds

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