脱法ドラッグ対策として「包括指定」制度導入へ 42
ストーリー by reo
とばっちりのないように 部門より
とばっちりのないように 部門より
RainCat 曰く、
厚生労働省薬事・食品衛生審議会の指定薬物部会は 28 日、いわゆる脱法ドラッグへの対策として、薬事法で規制された指定薬物と成分構造が「類似」している薬物を規制対象にできる「包括指定」制度を導入する方針を決定した (NHK ニュースの記事より)。
「包括指定」制度は、パブリックコメントを経て決定し、来年 2 月にも実施される。実施後、新たに 760 種が指定薬物として規制される。これまでは罪刑法定主義の観点から、薬事法などで規制される指定薬物と少しでも組成が異なる物質は規制対象外となっていた。このため指定薬物とは組成が異なるものの、指定薬物と類似した性質あるいはそれ以上の中毒症状を引き起こす性質を持った物質がいわゆる脱法ドラッグとして流通し、問題となっていた。
現在の薬事法で規制されている薬物は 90 種類だけなので、大幅な規制強化となる。厚生労働省は今後も包括指定の対象を増やしていく意向とのこと。
どうやって「類似」を定義したのかな? (スコア:3, 興味深い)
どうやって「類似」を定義したのか気になります。
私は化合物の構造とその作用を関係づける構造活性相関というものを研究している研究室に居たことがあります。その時点では作用が同じで作用の強さが異なる化合物群の3次元構造の類似点を見つけ出して、共通部分が作用、修飾部分が強度を支配するという解釈をしていました。(かなりおおざっぱな説明です。他の方法論もあります。ハンシュ-藤田法とか。)
今回の「類似」認定に構造活性相関(の発展した物)が役だったのだとすると、少しでも関わった者としては嬉しいのですが。
Re:どうやって「類似」を定義したのかな? (スコア:4, 参考になる)
聞いた話では、確かあまりはっきりとは定義していなかったはず。
「類似の構造」とかの文言でぼかして適用範囲を広げつつ、「幻覚作用を持つ」とかの薬理活性自体を類似である事の必要条件に含めちゃうことで規制の濫用を防ぐ、という組み合わせだった覚えが。
だから
「○○という構造なら同じ薬理活性を持つから、○○という構造を持つ分子全般を禁止します」
では無く、
「既存の××という禁止薬物に『似た構造』(この段階では具体的には定義しない)を持ち、幻覚作用と持つ分子全般を禁止」
とかそういう感じ。
#指定薬物部会ってなかなか議事録が出てこないんでこういうとき不便。
やっとでか… (スコア:1)
もう少し早く、何とか規制できなかったのかなぁと。
脱法ドラッグで(間接的に)死人も出まくっていたので。
#本人が死ぬ分にはいいんですけど
切れ過ぎる刀 (スコア:3, 参考になる)
包括指定というのは危険な側面も持っています。というのもこれ、「禁止薬物」というものの範囲を運用側の任意に任せるという側面があるからです。
類似の例として、例えば著作権侵害物のダウンロードに関する議論があります。著作権を侵害してるものをわざわざダウンロードするのがよろしくない行為である、というのは合意が形成されていても、だからといって「著作権を侵害してるものをダウンロードした瞬間に有無を言わさず皆有罪」というような法律があったらまずい、ってのは既にいろいろ議論が出ている通り。
それと同じで、包括指定を行う際には、「どのように設定すれば、出来るだけ漏れなく、しかも運用側の濫用を防ぐように設定出来るか?」という部分も検討しなくてはいけません。
いわゆる脱法ドラッグが広まり始めた頃から包括指定の必要性は認識され議論が始まっています。ここで重点的に検討された事の一つが、この「どうやって適正な運用を確保するか」というような部分です。既に先行して似たような制度を導入している国を調査し、どんな問題が発生しているのか等も検討したため時間がかかっています。
こういった議論(と運用規則、実施基準の制定等)をやらずに包括指定してしまうと、極端な話、警察などが「お前の持ってる○○という化学物質、『俺的には』禁止薬物に似てると思えるからとりあえず摘発な」みたいなことが出来てしまい問題なわけです。
そんなわけで包括指定には反対意見も出たりして、「指定の迅速化(国内での薬理作用に関する研究を行う前でも、海外の研究で薬理作用が実証されていれば禁止出来るようにして処理を迅速化する)とか、(定期的に指定薬物を追加している)指定の頻度をもっと増やせば対応出来るのでは無いか」とかも議論されています。
でまあ事務上の都合として、厚労省の担当部署が原案を作って提起、薬物の専門家等で作る部会で審議、審議結果を基に担当部署が修正&出た質問に対する調査を追加、また部会で審議、と何度も行ったり来たりしないといけない(さらに部会は専門家が集まれる日が限られるので通常は2-3ヶ月に1度ぐらいしか開かれない)ので日数かかるんですよね。
(本当に緊急の課題に関してはもっと頻繁に開かれる部会とかもありますが。一時期の原発関連とか)
Re: (スコア:0)
任意に任せた運用がまともに機能しているか監査する仕組みさえちゃんと機能すれば良いだけの話。
Re:切れ過ぎる刀 (スコア:1)
日本には銃刀法という実績が既にあるので、
そういう「運用でカバー」が警察に悪用されるのは目に見えてる。
Re: (スコア:0)
便利な言葉ですねえ。
ダイエットなんて簡単だ、食べなければ良いだけ~
不死なんて簡単だ、死ななければ良いだけ~
視聴率アップなんて簡単だ、面白い番組作れば良いだけ~
さて、自分がいかに愚かな発言をしたか、お分かりいただけたでしょうか。
Re:切れ過ぎる刀 (スコア:2)
最後の例はそもそも間違ってないですか?
Re: (スコア:0)
たぶん分かってないんじゃないですかね。
監査する仕組みを作るのにも時間がかかるんじゃないかとか、監査する仕組みが任意に濫用される虞はないのかとか、そういうことを考え出したらそんなことはいえないでしょうから。
Re:切れ過ぎる刀 (スコア:1)
ちゃんとすればよいだけ論ならそもそも監査なんて不要で、端から任意に任せた?運用がまともに機能すればよいだけですよね。
頭痛が痛くなってきました。
Re: (スコア:0)
ところで公安委員会って何してるんだっけ
Re: (スコア:0)
原発だってまともに運用すればよいだけ、だよ
Re: (スコア:0)
ふと、もしトリチウム水が規制されたら構造の似ている H20 も引っかかるのかなー
とか、そんなことを思ってみた。
Re: (スコア:0)
でどうしたいわけ?
Re: (スコア:0)
ドラッグに類似してるからってなんでも禁止してくと、有用な薬とか禁止対象になりかねないんで。
やっと有効な識別方法が認可された、ということでしょう。
「あいつは犯罪犯しそうな感じだから逮捕しとけ」
という世界がお好みなら、即時規制も出来るでしょうけど。
Re:やっとでか… (スコア:1)
有用な薬が規制される事に付いては、日本ではあんまり心配はないのじゃ。
有用な薬を処方箋なしに流しているのなら薬事法違反になるのだし、処方箋があればモルヒネでもヘロインでも出せるのだし。
Re:やっとでか… (スコア:2, 興味深い)
実は認可前の開発現場とかに影響がある。
この手の指定薬物とかその前駆体とかは規制がかなり厳しくて自由には使えないから。
あとはあまり広く指定しすぎると、工業的に有用だったりといった分子まで含まれてきて、といった問題もある。
(その辺の切り分けが必要だから事前の審議に時間がかかる)
Re:やっとでか… (スコア:2)
いやまあ例えば栄養ドリンクの一成分が規制対象とか民間療法の○○茶が規制対象とか
医薬品以外だのコンビニ医薬品だのがアウト判定されちゃう可能性も、あると言えばあるのですよ。
あと化学物質の検出・特定ってけっこう面倒なんで何らかの簡易検査が導入されるんでしょうけど、その精度の問題とか。
(「吸ってみて幻覚が見えたらアウト」なら簡単なんですが、そういう分けにも行きませんよね;-))
Re:やっとでか… (スコア:2)
(「吸ってみて幻覚が見えたらアウト」なら簡単なんですが、そういう分けにも行きませんよね;-))
袋に白い粉が入っている→ぺろっ(と舐める)→こ、これは!禁止薬物の…
てなわけにはいきませんもね:-)
#しかし舐めてわかるものなんだろうかw
Re:やっとでか… (スコア:1)
司法試験の予備校で、講師の弁護士が「証拠品を舐めること
はないし、捜査の度に舐めて確かめてたら犯罪以前の問題で
警察官自身がシャブ中だ」と発言して爆笑したことがありま
した。
死して屍、拾う者なし。
Re: (スコア:0)
モルヒネは問題なく処方できるけど、ヘロインはダメだと思う。
# メタンフェタミンは処方できるけど、調剤できるかどうか知りません。
Re: (スコア:0)
>脱法ドラッグで(間接的に)死人も出まくっていたので。
>
>#本人が死ぬ分にはいいんですけど
麻薬/覚醒剤の代用としての利用以外があったということですか?
Re: (スコア:0)
ヒント:運転
Re: (スコア:0)
わざわざキノコで幻覚見ようとするような人たちは、規制されたら別のキノコ探し始めるだけじゃないかな。
こういう分野よりも、「サプリという話で買ってみたら副腎皮質ホルモン入ってました」みたいな方面を何とかしたほうがいいような。
栄養ドリンクのCMでは「生薬の力が!!」って言いますけど、そもそもウコンや朝鮮人参を飲んですぐピッキーン!と即効的に効いたりするはず、ないじゃん。
タバコでも吸った方が効きますよ。
ドラッグだけ? (スコア:1)
以前印刷所での胆管がん発病で規制外の有機溶剤が問題になってたけど、
そういうのは対象にできないのかな?
Re: (スコア:0)
担当法規が違う。
あっちは労働安全かなんかぢゃなかった?
こっちは幻覚作用をもつものの話。
Re: (スコア:0)
トルエンとかはどっちの奴だったんだろ?
ゴムのりが全部問題になったらしくて、全部交換。
その後安定して製造が出来るようになるまで、相当苦労した覚えが有る。
Re:ドラッグだけ? (スコア:1)
シンナー等の有機溶剤は、毒物及び劇物取締法により規制されています。
他にも
大麻取締法、
覚せい剤取締法、
麻薬及び向精神薬取締法、
あへん法
薬事法:指定薬物 (製造・輸入・販売・授与・販売・授与の目的で貯蔵・陳列に罰則)
薬品類規制はいろいろあるんだな。
760種類 (スコア:1)
今まで90種類だったものが760種類追加されるということだけど、これは、
(1) 「類似」の元となる(明示的に列挙される)物質として760種類追加されるのか、
(2) 90種類の物質に「類似」の物質が760種類あるのか、
どっちなんだろう。
Re:760種類 (スコア:1)
たぶん(2)なんだろうけど、(2)ならまだしも(1)で「実際に取り締まられる物質は不特定多数です」なんて法律だったら、そんな法律がまかりとおる国なんて身の毛がよだちますね
Re:760種類 (スコア:2, 参考になる)
実は法改正しないらしい。
厚生労働省令を改正するだけ。
Re: (スコア:0)
>「実際に取り締まられる物質は不特定多数です」なんて法律だったら、そんな法律がまかりとおる国なんて身の毛がよだちますね
基本となる構造が指定されていて、その類縁体が規制される場合は、数量は不定ではあるけど不特定では無い(基本骨格が指定されているから『不特定』じゃない)から不特定多数って言い方は変かな。
でまあこの「範囲で指定」ってのはアメリカとかイギリスとか、結構やられてる。
基本骨格となる薬物を指定してあって、「およびその誘導体」とか言う形で分子が指定されていたりする。
Re: (スコア:0)
(2)だとがんばって「類似」概念を導入する意味ないじゃん、って思ったけど(だって、「類似」の解釈をめぐって
問題が起きないようにしようとすると、ものすごく大変そうだし、それでも問題が起こるかも知れないし)、
760種類というのは「いま知られている化合物のなかでは760種類」という意味なんだとしたら話が通じる。
類似化合物が760種類、と数が分かる(曖昧じゃない)ということは、かなりかっちりと「類似」の定義が
なされているということだろうし、一方で、新しいアブナイ化合物ができたときにはその定義に照らして
自動的に規制されることになるし。
ただ、「いま知られている化合物」の集合なんて誰にも分からないような気がする。
どうやって760種類って導き出したんだろう。
「炭素数いくら以下の炭化水素」のような定義のやりかただと、「いま知られている化合物」の具体的内容に
関係なく、定義に合致する物質の数は明確に決まるけど、新たに見つかることもありえないし。
Re: (スコア:0)
合成カンナビノイド系ってそのまま書くだけじゃない?
それなら今わかってるのは760種類ぐらいかな?って思ったのは報道機関だろうし、今後増えても大丈夫だし。
Re: (スコア:0)
未だとシミュレーションで構造を考えられちゃうから、そのものズバリ指定だと、その発表の直後から抜けられちゃいますからね。
となると有効な構造を持って居る系統を纏めて指定するしか方法は無いのでしょう。
全く目新しい構造の物については、今まで通りに、物が出てから検証するしかないでしょうし。
手抜き感が (スコア:0)
要件の曖昧なDL違法化/罰則化といい、リッピング違法化といい、2種医薬品の通販禁止といい、最近の立法はジャイアンに命令されたのび太がドラえもんの道具で安直&楽に従ったフリする並の"手抜き"感を拭えない。
# ドラえもんだと大抵ジャイアンかのび太が痛い目に遭うオチがあるけどなぁ・・
Re:手抜き感が (スコア:3, 興味深い)
手抜き言うな!
いや、実はね、裏では面倒くさい検討とか議論がスゲェ重ねられてんのよこの手の適用範囲が広い法律って。
濫用されないための条項入れて、運用規則とか省令とかも原案作った後なんども審議会にかけて……という感じで、見た目以上に手間。
いやほんと。手を抜きたかったら、もっと適用範囲の狭い法律の方が遙かに楽。狭めれば狭めるほど実効性がなくなっちゃうけど。
今回のも、準備段階から含めれば2-3年以上はかかってたはず。
まあそれだけ手間暇かかってるからと言っても、だからといって出来上がったものが素晴らしい出来かというと必ずしもそうじゃないのは確かなんだけど。
濫用禁止の方向に進み過ぎちゃって実効性が微妙だったり、漏らさず禁止しようとしすぎて適用範囲広くなりすぎて問題が出たり。
Re: (スコア:0)
> 出来上がったものが素晴らしい出来かというと必ずしもそうじゃない
危険運転致死傷罪を思い出しました。
「なんでこの事故で適用されないの?」というぐらい条件厳しくて、成立したけどイマイチな法律。
Re: (スコア:0)
実効性が手抜きと変わらんなら、やっぱ手抜きじゃん。
やっとか (スコア:0)
法律の濫用とか知識人ぶったこと考えて今頃になったんだろうけど、命に関わることなんだからもっと早く縛れよって思う。
Re: (スコア:0)
そんなに緊急性のある話?まともな人間は被害に遭うことがまずないと思うのだが。
拙速で、まともな人間にはメリット少なく、デメリットばかりになるほうが、ずっと問題。
壮大な計画 (スコア:0)
カフェインやニコチンの構造式が近い合成物から、コーヒー、お茶やタバコ等の禁止を目指す。
アルコールの合成品をもと思ったが.......構造が簡単すぎて。
# 禁煙、禁酒の流れからの妄想です。