「保険適用可能な高額な抗がん剤」の是非 85
ストーリー by hylom
高コストなのは分かるが 部門より
高コストなのは分かるが 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
昨年末、厚生労働省が「オプジーボ(一般名 ニボルマブ)」という新しい抗がん剤を肺がんに対して承認したそうだ。これにより、医療保険による金銭的補助を受けながらこの薬を利用することができるようになる。しかし、この薬の価格が「1ヶ月分で約300万円」と非常に高額である点が指摘されている。
日本の医療保険制度では、通常は70歳未満が3割負担、70歳以上は2割負担となっている。つまり、1か月分300万円のうち、210万~240万円が公費負担となる。また、そのほか高額療養費制度など患者の負担をより少なくする仕組みもある。オプジーボだけでなく、ほかにも高価な抗がん剤が多数登場しているという。
抗がん剤に限らず、薬の価格はその製造原価ではなく、開発にかかる費用なども含めたものになっている。近年では新薬の開発コストが上昇しており、そのため薬の価格も上がる傾向にあるようだ。
今後科学の発展により、人間の寿命を延ばすことのできる医薬品は次々と登場するだろう。しかし、それらは必ずしも安価であるとは限らず、高価な医薬品は社会の負担となる。いつかは一定以上の医薬品は個人負担となり、「金持ちだけが長生きできる」時代がやってくるのだろうか。
ニボルマブ(遺伝子組み換えである)は免疫治療ではない (スコア:3, 興味深い)
製薬メーカーのサイト [opdivo.jp]によると
オプジーボ(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は、ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体です。オプジーボは、PD-1とPD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との結合を阻害することで、がん細胞により不応答となっていた抗原特異的T細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を示します。
と遺伝子組み換えを用いたモノクローナル抗体だそうです。分子標的薬のようですね。
金食い虫の割りに効くかどうかよくわからない悪名高き「免疫療法」に手を染めた医師たちが、オプジーボ(ニボルマブ)保険適用を機に標準治療よりこちらを勧めて誘い水にし、
保険適用しても高額だからと標準投与量より薄めて、効かないリンパ免疫療法などに持ち込むとか。完全に詐欺ですね!保険適用なら高額医療補助もあるのに。。。
この薬の作用機序説明動画みてもわかるように、癌細胞は免疫を迂回して生き延びているのだからいくらリンパ(T細胞)を入れても効くはずはないのだが。
残念ながら金で魂を売った医者たちが日本にはたくさんいるようです。
Re:ニボルマブ(遺伝子組み換えである)は免疫治療ではない (スコア:1)
この薬の作用機序説明動画みてもわかるように、癌細胞は免疫を迂回して生き延びているのだからいくらリンパ(T細胞)を入れても効くはずはないのだが。
T細胞は標的ごとに存在しているので、その理解は間違いです。
癌細胞を標的とする(と推測する)T細胞を回復・活性化させると説明されています。
また、作用機序は「説明付け」と「推測」であって「事実」ではありません。
実際に起きていることをすべて把握する技術は現在ありません。
だから、薬の効果は、
効くか効かないか、
コントロールできる範囲の副作用かどうか
が全てで、
それを統計で裏打ちしたものをエビデンスと呼ぶ。
試験発表では効くとあるし、
なおかつ、承認前から海外や自費で使われていて、革新的と呼ばれているほど効く薬です。
Re:ニボルマブ(遺伝子組み換えである)は免疫治療ではない (スコア:1)
誤解させてしまったようで申し訳ございません。
ニボルマブが効かない薬といったつもりはなくて、巷の癌クリニックで行われているエビデンスの無い『免疫療法』が効くかどうかわからないという意図でした。
おっしゃる通りニボルマブ自体は画期的な薬と思います。他の種類の癌にも適用できるようになるといいですね。
Re:ニボルマブ(遺伝子組み換えである)は免疫治療ではない (スコア:1)
これは失礼いたしました。
ニボルマブは「誘い水」でしたか。
Re:ニボルマブ(遺伝子組み換えである)は免疫治療ではない (スコア:1)
そうですね。全く説明不足でした。
巷にはびこるいわゆる『インチキ免疫療法』(リンパ療法)とは異なるといいたかったのです。
免疫チェックポイント阻害薬と説明したほうがいいかも。
少し前のストーリに出てきた癌放置理論(というか宗教?)の近藤医師に物申している勝俣医師も癌免疫療法と区別したほうが良いとしている [nikkeibp.co.jp]ようです。
Re:ニボルマブ(遺伝子組み換えである)は免疫治療ではない (スコア:1)
後だしのようで心苦しいのですが、実はこの勝俣医師のの怒り・嘆き・警鐘 [togetter.com]みて書き込んだのです。
金持ちだけが長生き (スコア:2)
今でも混合診療(全額負担)ってのがあるので、金持ちだけが長生きには変わりないでしょう。むしろ、いままでは大金持ちの患者だけに与えられていた長生きのチャンスを小金持ちの患者にも与えよう、という感じでは?
癌と戦わない人はもちろん、この限りではありません:-)
Re: (スコア:0)
癌と闘わない人からも強制的に徴収した金で、
小金持ちが長生きのチャンスを手にするのは間違ってると思う。
Re:金持ちだけが長生き (スコア:1)
癌と戦う人だけが加入できる健康保険を作ってみてはどうだろうか。
保険料がいくらになるのか計算してみ。
皆保険のうち問題なのは国民健康保険。
農林水産業や自営業の人はこれになるが、無職の人もこれになる。
もちろん無職の老人や親に経済的に依存するニートもこれになる。
世帯扶養の子供も一人ずつの計算になる(保険料がかかる)。
貧乏人が貧乏人同士で助け合う保険なのだが、当然赤字だし、高額。
大金持ちもこれに入れるが、上限額が50万円くらいなので、大金持ちにとっちゃ大した金額ではない。
300万円の高額新薬を使う場合、自費分でも100万円近くかかるので保険適用しても一般庶民には無理。
ところが大金持ちなら100万円はポンと出せるので、年50万円の保険料で200万円分を国保から出させることも可能。
国保は、金持ちが貧乏人たちに出させた保険料が金持ちによって使われてしまう仕組みになってる。
貧乏人には高すぎる保険、大金持ちには激安な保険、それが国民健康保険。
Re: (スコア:0)
国民皆保険やめて貧乏人は医者にいけない世の中のほうがいい?
上には上がいるものだ… (スコア:1)
固定費 (スコア:1)
製造原価が高い薬はともかく、
開発費が高いので薬価が高い薬は
保健で広く使われるようになれば
薬価下げられるようになるんじゃないの?
Re:固定費 (スコア:1)
広く使われるといっても対象の病気の人が増えるのでも無いし、保険適用前提の薬価にしたのだろうかという想像しかないですね。あまり高価すぎると叩かれるのは海外の事例あるわけですから。
ジェネリック普及によって各薬品価格が適正化された結果、使用期間・使用者が少ない薬はどうしても高くなるのでしょうね。
Re: (スコア:0)
製造原価を基準に定める、それなり以下のお値段で提供されていない薬は保険適用しません、とすれば良いんだ。
開発費の分は、どんだけでも金をつぎ込んでくれるアーリーアダプタの足下を見て出して貰おう。
一般ユーザへの本格的な普及は、それからで十分。
価格の妥当性 (スコア:1)
この薬にこの値段をつける根拠に妥当性はあるのかね?
そのうち価格"だけ"が高い「亜薬」とか出てきそうだ。
Re:価格の妥当性 (スコア:2)
そんなもんをどうやって承認通すかだね
まあ順当なのは袖の下か
Re: (スコア:0)
あまり安い値段をつけるなと外圧がいろいろろりろりかかっているそうですからあちらからみると日本農場は収穫シーズン
Re: (スコア:0)
値段は市場の中でついていくものだ。
その値でも需要があるから、その値段が保たれる。
買う人にとって妥当だという話だろう。
今は競合品がないから独走状態だが、そのうちほかの製薬会社からも
よく似た薬効の製品が出てくれば、値段も下がっていくだろう。
Re:価格の妥当性 (スコア:3, 参考になる)
薬の価格は市場で決まっていません。厚労省が価格を決めています。
なので、普通の商品のように需給によって病院やメーカーが価格を変動させる事は許されていません。
ジェネリックではなく、似た薬効の製品が出てきた場合、既に存在する類似品と同じ薬価になるよう
厚労省が値付けを行うので、基本的に価格が下がる事は有りません。
Re:価格の妥当性 (スコア:1)
>よく似た薬効の製品が出てくれば、値段も下がっていくだろう。
自分が使っているサインバルタは、すでにインドあたりで同一の薬剤が作られていますが、日本ではある程度の期間は保護されるようなこともあって、アレコレの事情でジェネリックとして認められていないの。
まあ、ストーリーで言及されているほどの高価な薬剤じゃないですが。
Re: (スコア:0)
特許の問題があるから難しいところ。似た薬効だけど作用機序や組成はまったく別です、って薬がそう簡単に作れるわけじゃないし。
だから皆保険がすべての元凶 (スコア:0)
自分の経済力以上の治療を受けるなんてのはどう考えたって無理な話。
Re:だから皆保険がすべての元凶 (スコア:1)
保険や皆保険は、自分の経済力以上の治療を受けるためのものではない。
ミクロには、リスクに備えるためのもの。マクロには、社会を安定させて経済を活性化させるためのもの。
Re: (スコア:0)
保険料は上限があるから、金持ちが得する仕組み
Re:だから皆保険がすべての元凶 (スコア:1)
無茶言うなあ。
上限に満たない人は大勢いるし、
第一ホントの金持ちは保険外診療も使うのに、保険料は同じく払うんだよ。
それに健康保険には税金も入ってるし。
皆保険無くなって困るのは結局貧乏人。
まあ現状過剰な保護ではあるから、高額医療補償とか順次なくしてくのかな。
Re: (スコア:0)
健康保険の上限が税金その他に比べてはるかに低いということを理解してから言ってくれ。
Re:だから皆保険がすべての元凶 (スコア:1)
保険はリスクに備えるためのものだから、金銭的には大部分の人が損をするのはあたりまえ。そのぶん、安心が得られている。
自分がもし大きな病気をしたときの支払いのことを心配せずに生きてきた、というメリットを享受してきたことを忘れて、
「払い負け」と考えるなんておかしい。
病院に行かせる?すでに保険料を支払うという、あなたの考える「損」をしているのに、さらに
用事もないのに病院に行くという、時間の「損」を積み重ねるのですか?
Re:だから皆保険がすべての元凶 (スコア:2)
ホントそうですよね。
健康保険も生命保険もそうですが、博打と考えると絶対勝てないですよね。
病気をしなかったら、金銭的に負け。
病気をしたら、金銭的には勝ちだけど生活の上では負け。
保険は、そのかわり安心が得られているというのに同意です。
健康でいられたなら、金銭的には負けでも人生的には勝ちでしょうね。
Re: (スコア:0)
さもしいなぁ
Re: (スコア:0)
やめてくれ
Re: (スコア:0)
人工透析なんか自己負担でやったら年収なんかぶっ飛ぶよ。
塩分控えめのものばかり選んでとってりゃいいが、日常的にファストフードやラーメンなんか食ってるのだったら将来確実に恩恵受ける側だ。
無治療でもすぐには死なないが生き地獄。
なに、そうなったらさっさと死ぬ?
みんな口ではそういうんだわ。
Re: (スコア:0)
> 人工透析なんか自己負担でやったら年収なんかぶっ飛ぶよ。
大体年間で500万円位かな。年収が飛ぶかどうかは分からないが、相当な金額である事は確か。
普通の人の可処分所得は超えているだろうね。
患者数は30万人超だから合計1兆5千万円の医療費を健康保険が支出している訳だわね。
> なに、そうなったらさっさと死ぬ?
> みんな口ではそういうんだわ。
自分が高額な治療を受ける段になって、ころっと意見が変わると思う。想像力が足りないから、そういう事になるんだろうね。
Re: (スコア:0)
>自分が高額な治療を受ける段になって、ころっと意見が変わると思う。
大丈夫、僅かな人の意見がころっと変わった所で大勢に影響は無いから気にする必要は無い。
みんな口ではそういってる間に、そう決めちゃえば良い。
もし、いざとなってから何か騒ぎ出すやつが居ても「そうですか、でも決めちゃったことですし、残念でしたね」で済ませればOK。
自分の番が来たときに心穏やかに受け入れられる覚悟はないけど、
「酷い! 助けろ」と泣きわめく他人を「自業自得じゃん」と見捨てる覚悟ならある。
それで十分、制度としては回る。
結局話が以前のトピックに戻る (スコア:0)
「がんの治療など無駄だ」
が正しいと。
なんだかんだ、高額医療の筆頭だものねがん治療薬は。
ハーボニー 「呼んだ?」 (スコア:0)
たいとるおんりー
ビンボー人には無理 (スコア:0)
>「金持ちだけが長生きできる」時代がやってくるのだろうか
既にそうなってるような気がしない事もない。
だって今回の薬だけ見たって
>1か月分300万円のうち、210万~240万円が公費負担となる
保険適用でも月に60~90万円の自己負担が必要なわけで。
当然薬代だけでは済まないわけで月に100万オーダーの金をつぎ込めないと
治療できない時代は既に来ている、と考えたほうが自然っぽいのですが。
# 小さなお子さんならともかく、年寄りになってからのがんなら
# 緩和ケアだけ保険でカバー出来ればいいような気がしてます。
Re:ビンボー人には無理 (スコア:2, 参考になる)
高額療養費制度があるので、保険診療の範囲内であれば
「月に60~90万円の自己負担」が生じることはありません。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakayamayujiro/20160427-00056588/ [yahoo.co.jp]
Re: (スコア:0)
高額療養費制度ってご存知ない?
医療費が高額の場合、上限が決まってて、月10万円くらい(年収などによる)が上限ですよ。
それ以上は国から支給されます。
最初に一度満額払って後で支給という形だけどね。
Re:ビンボー人には無理 (スコア:1)
>最初に一度満額払って後で
事前に手続きすることもできます。
Re:ビンボー人には無理 (スコア:2)
限度額適用認定が使えるのは入院するときだけで、通院には使えませんよ、と書こうと思いつつ念のため調べたら
平成24年1月から、外来診療にも使えるようになってた [mhlw.go.jp]んですね。これは便利だ。
高額療養費制度自体は、世帯でかかった全医療機関全医療費の合算でかかる(つまり世帯負担の上限が月額10万円ぐらいになるもの)ですけど、
限度額適用認定は医療機関単位なので、複数の医療機関にかかった場合には、それぞれの医療機関に10万円ほどを支払ってから、あとで払戻を受ける必要はありますね。
それでも、その場合にも8割相当見込額を無利子で借りられる「高額医療費貸付制度」 [kyoukaikenpo.or.jp]というものもあります。
あとは、継続的なら4ヶ月目からは月額5万円ぐらいに [kyoukaikenpo.or.jp]なりますし、保険診療の負担額は何をやってもだいたい現実的な金額に収められると思いますね。
Re: (スコア:0)
>当然薬代だけでは済まないわけで月に100万オーダーの金をつぎ込めないと
>治療できない時代は既に来ている、と考えたほうが自然っぽいのですが。
(従来の治療法の価格が上がって)治療できない時代が来たのではなく
高い金を払えばより効果の期待できる治療ができる時代が来たのでは?
Re: (スコア:0)
>当然薬代だけでは済まないわけで月に100万オーダーの金をつぎ込めないと
>治療できない時代
発想が逆だと思う。100万単位で金をつぎ込めたらより一層長寿に繋げられる可能性がでてきた時代。
昔から比べると、貧乏人の早死にが激減することで、金持ちと貧乏人の平均寿命の差がどんどん縮まって来ていた。
それが今後は、「金持ちの逃げ越しパワーが増してきていて、再び差が開いていく」というだけ。
その見通しの「差が開いていく」だけ取り出したら問題にも聞こえようけど、
貧乏人を今居るところから蹴落とす話ではないので、あんまり気にしなくても。
この手の作用機序の抗がん剤が儲かるという話になれば (スコア:0)
参入する製薬会社が増え、競合品が増えて市場原理で薬価も下がるんじゃないの?
高いのも短い期間だけだろう。そういう市場の推移(じきに値下げせざるを得ない)
を見越しての今の値付けだとも考えられる。
Re: (スコア:0)
10年以上前から、リンパ腫のある種のタイプではリツキサン(リツキシマブ)というモノクローナル抗体が使われていて、
治療成績の大幅向上に寄与しているのですが、薬価は高いままみたいですね。
体格にもよりますが、私のときは1回40万以上かかっていました。それが6回。
もしかすると昔はもっと高額だったのかもしれませんが…
究極的には社会制度設計の話になるのでは? (スコア:0)
大量の税金(保険料)を投入して一人の生命を延ばすことが可能だとして、
それが社会の利益にそった施策なのか。
生命を維持することが絶対的な善だという道徳を留保して、
医療もコストベネフィットで(政治的な再分配の枠組みで)考えざるを得ない時代なのでは?
国費は有限なのだから、、、
Re: (スコア:0)
マクロにはそうでも、
ミクロで見ると「癌になった老人が居る。高額な抗癌剤で余命が伸びる。貧乏だからって使えないのは非人道的!」こうですよ。
これを否定すると選挙で落ちます。
Re: (スコア:0)
究極的にも何も、全員に行き渡らせられないほど高額な薬のコストを保険で払うべきかどうかって議論は
社会制度設計の話以外の何物でもないと思うんですが…?
Re: (スコア:0)
そもそもじゃあ新薬開発も国有化してしまって国費投入すれば?
いや、現状でもある程度はしているでろぅけどさ
Re:究極的には社会制度設計の話になるのでは? (スコア:1)
わたしとしてはどうせ日本は火葬なので死ねば嫌でも焼かれてしまうのだからもう別に好きにすればいいよみたいな感じだけど、臓器提供したくないって人はどれくらいいるんだろう?
ジレンマ (スコア:0)
基本的にくすりのコストのほとんどは開発費
高く売れるとわかっているから莫大な開発費を捻出できる
原価は安いから需要が多いものはまだいいけど
需要がないものは途方も無く高くなる
そういう意味ではある程度仕方がないのかもしれない
でも
それじゃあ金ないといい薬ができないかというと
キューバは孤立した環境の中独自の医療を発展させ
安くて高品質なワクチン、治療薬を世界中に輸出している