米海軍がソフトウェアを大量に不正コピーしたとして、未払いのライセンス料など5億9,630万ドル以上の支払いを求め、ドイツのBitmanagement Software GmbHが米政府を相手取って訴訟を提起した(
訴状: PDF、
The Registerの記事、
TorrentFreakの記事、
Consumeristの記事)。
不正コピーされたのは3D地理データを視覚化する「
BS Contact Geo」というソフトウェアで、インタラクティブ機能と高品質なグラフィックにより、仮想軍事基地として利用可能だという。そのため、米海軍施設技術部隊(NAVFAC)では大規模な導入に向けたテストを2011年に開始。Bitmanagementの再販業者との間で38本のライセンス契約を結んでいる。大規模導入の準備として海軍から要請を受け、BitmanagementではBS Contact Geoの不正コピー防止機能を削除したとのこと。
BS Contact Geoの機能が海軍の要求を満たすものであったため、NAVFACはBitmanagementとライセンスの交渉を開始したが、交渉中にもかかわらず海軍はBS Contact Geoを数十万台のコンピューターに無断でインストールしたという。2013年10月には海軍のコンピューター104.922台にインストールされたという内容の電子メールがBitmanagementの重役あてに転送されており、現在までに少なくとも558,466台にインストールされていると考えられるとしている。
海軍が不正コピーを開始した当時、BS Contact Geoのシングルライセンス価格は800ユーロ(当時のレートで約1,067ドル76セント)であり、これによる損害額は少なくとも596,308,103ドルにおよぶ。数年にわたり、Bitmanagementは問題を解決すべく海軍との交渉を繰り返し試みてきたが、ライセンス料の支払いは一切行われていないという。
著作権侵害に対して厳しい態度をとる米政府だが、米軍がソフトウェアの不正使用で訴えられるのは初めてではない。2013年にはApptricityの
兵站管理用ソフトウェアを契約数よりも多くインストールしたとして、米軍が5,000万ドルを支払うことで合意に達している。