羽生善治、AIを語る 84
ストーリー by hylom
恐れない羽生 部門より
恐れない羽生 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
かつては将棋界のタイトル7つを独占し、現在でも王座・棋聖のタイトルを保有するプロ棋士・羽生善治氏が、人工知能について語っている(現代ビジネス)。
対談相手はNTT副社長の篠原弘道氏、「提供:NTT」のクレジット付きの記事ではあるのだが、羽生氏によるコンピュータ将棋への感想はなかなか面白い。自身はコンピュータ将棋ソフトウェアはあまり活用していないとのことだが、コンピュータ将棋界隈の流れはちゃんと把握しているほか、AIは絶対ではないなどと語るなど、冷静に分析しているようだ。
羽生2冠引っ張りだこ (スコア:5, 参考になる)
羽生善治2冠氏と日本トップクラスのAI研究者の一人である松尾豊さんの対談があります。
Re:羽生2冠引っ張りだこ (スコア:1)
スコア5に乗じて感想文を書く
羽生氏の謙虚さが印象に残った
中学生の藤井氏も年に似合わぬ謙虚な受け答えをする人だった
加藤一二三氏は天真爛漫だが…
羽生氏の謙虚さというのはたとえば安易に答えを出さないといったところによく表れていると思う
(スラド民とは正反対だ)
だからこれは美徳としての謙虚さだけでなく、方法論でもあるのだろう
方法論であれば凡人にも学ぶところはあるはずだ
しかしドヤ顔したいのも凡人の常
だからこれからは事実には謙虚でいつつ、他人を小バカにすることでバランスをとっていこうと思う
そりゃそうでしょ (スコア:1)
現行のAIは、AIとか言ってるけど実際には思考しているわけじゃないからね
こと将棋に関していうなら、読みの速さとこれまで出現した戦法に対する返しのセオリーのみで戦ってる
ゆえに誰かが新しい戦法を開発する度に負けるっしょ
そらもう戦法とは呼べないようなシロモノ、例えば成金にならずに歩のままさし続けたとか、そんなんでも負けるよ
しかもそれは、というかどうしてそうなるのかは、我々技術者が一番良くわかってるだろ
AI将棋が現行の指し方に満足せず、AI自らが藤井システムだとか、鬼殺しだとか、雀刺しだとか、ゴキゲン中飛車だとか、そういった戦法と呼べるものを考えだし指してこれるかどうかを、羽生さんは問うてるんじゃないのかな
そしてそれができない限り、「思考している」とは言えない
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
>そらもう戦法とは呼べないようなシロモノ、例えば成金にならずに歩のままさし続けたとか、そんなんでも負けるよ
これはやってみてから言った方が良いのでは・・・。
Re: (スコア:0)
実際に、これに近いことで、AI負けたやん。
歩ではなく、角だったけど。
http://shogi1.com/denousenfinal-hansoku/ [shogi1.com]
Re: (スコア:0)
その例は知ってしましたが、いくらなんでも
>例えば成金にならずに歩のままさし続けたとか、そんなんでも負けるよ
という言い方はひどいなと思った次第。
Re: (スコア:0)
実際、歩成りせずでも同じバグがでたって書いてあるけどね。
Re: (スコア:0)
囲碁では一度だけ似たような戦法で人間が有利を取ったけど、もうサーバ一台に縮小してもそんなのは通用しなくなったよね
Re: (スコア:0)
角不成されて負けたのはあったね。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1503/21/news033.html [itmedia.co.jp]
元コメの言っていることはズレていると思うけども。
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
角不成で勝ったのもあったりする。谷川だからこそというかなんというか絵になる
2ch名人 プロの実戦で現れた角不成
http://i2chmeijin.blog.fc2.com/blog-entry-1955.html [fc2.com]
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
伝説の谷川-大山戦にも、B1の杉本-渡辺戦をリアルタイムで見た記憶がある。
夜戦苦手な渡辺竜王と得意な杉本七段で深夜のぐだぐだで逆転した将棋だったような
これ以外にまともな角不成って実戦に出たことがあるのかな。
いわゆるマナー違反や切れ負け防止以外に。
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
打不詰めで困った経験はなんどかあるけど不成りで打開というのは
他にも見たことや聞いたことない
一生に一度あるかないかぐらいじゃないかなと想像
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
AIはすでに独自で定跡作るレベルになってますよ。
人間側がそれを名前の付いた「戦法」として捉えられてないだけです。
将棋ソフトに詳しい棋士がソフト独自の指し方について
「(ソフト名)はこういう囲いが好きなんですよ」「よくこういう攻め方をしてきますよね」
みたいなことを言うことは多いですが、ソフトの手に棋士が勝手に名前付けるわけのも変ですし
一局のうちどこからどこまでを「戦法」と定義するかも難しいところがあります。
それでも俗称としてなら「Ponanza囲い」くらいは言われてますね。
Re: (スコア:0)
定石を作ってるんじゃなくて評価関数の特性上有利な傾向の有る局面に収束しやすいってだけの話だと思いますけど。
現代のAIはプログラムされたとおりにしか動きませんし、プログラムされたとおりにしか学習(最適化)しません。
どれだけ不可思議に見えても何らかの評価軸に沿ったパラメータの最適化が現代のAIのデファクトです。
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
> こと将棋に関していうなら、読みの速さとこれまで出現した戦法に対する返しのセオリーのみで戦ってる
未だに「棋譜の機械学習」をこんな風に解釈してる人もいるんだね。
将棋の盤面の評価にはいろんな要素があるけど、例えば抽象的な「玉の固さ」を
「玉の周りに金銀何枚いるか」「それぞれ何マス離れてるか」みたいな具体的な値から計算して
点数化するための係数をチューニングするため、じゃないのかな?
攻防それぞれ点数が高い盤面を重点的に読む過程でイレギュラーな(点数低い)盤面は捨てていたのを、
セオリー外だからパニくった、とするのは違うよ。
やねうらさんだったかな、人間の棋譜つかわずに機械同士の対戦棋譜だけ使う試みもすでに始まってる。
著名な戦法や囲い・定跡みたいな奴でも「車輪の再発明」的に使用されてたら
それは思考の結果といってやってもいいんじゃないの?
# かつて盤面評価の偏りから特定の囲いを偏重するソフトがあって
# 渡辺明に「一見素人くさいが攻略するのは厄介」と言わしめたぞ。
Re: (スコア:0)
思考って何?戦法って何?
Re: (スコア:0)
「将棋の名人は、盤面を見て直感で判断するから、思考はしてない」って言いたいんじゃね?
#ホームズ原作のあのセリフを思い出す。
でも名人の場合はAIと違って「だから名人は知的ではない」とは言われない不思議。
Re: (スコア:0)
AI自らが藤井システムだとか、鬼殺しだとか、雀刺しだとか、ゴキゲン中飛車だとか、そういった戦法と呼べるものを考えだし指してきても、たまたまそういう戦法を使えば勝つ確率が高かったというだけで、思考してるとは思えないですけど。
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
棋力に加えてネーミングセンスまで要求されるとは、AIも大変だな。
中二感全開の戦法名を付け始めたりして。
Re:そりゃそうでしょ (スコア:1)
ボナンザ囲いは、ちと戦法と呼ぶには厳しいか。
トップランナーの努力 (スコア:1)
2015年にオックスフォード大学などが発表した「12 Risks That Threaten Human Civilization 1」(文明を脅かす12のリスク)というレポートに、リスクの1つとして人工知能もあげられていました。
人工知能についてのTV番組で、羽生さんが上記についてコメントをされており「12のリスクのなかで唯一、人工知能は同時に文明を救う可能性を秘めている」と希望を提示されていました。
(ご本人の意見なのか引用なのか分かりませんが)
他にも羽生さんは、人工知能を研究している海外の学者さんと交流を持っていて議論に参加している発言などもしており、視聴していた自分は、AI学者にとってゲームは現在も変わらず良い研究材料であることを再認識したとともに、ゲームする側の羽生さんもAI研究の先端について行っているんだ(どの業界でもトップランナーの努力というのは凄い)と感じたものです。
Re:トップランナーの努力 (スコア:2, 参考になる)
>人工知能についてのTV番組で、羽生さんが上記についてコメントをされており「12のリスクのなかで唯一、人工知能は同時に文明を救う可能性を秘めている」と希望を提示されていました。
>(ご本人の意見なのか引用なのか分かりませんが)
あった。
https://wired.jp/2017/02/14/habu-ishiyama/ [wired.jp]
本人の意見っぽい言い方です。
ただ元の資料(日本語で読めるページだとたぶんこれ [nli-research.co.jp])を見ると、人工知能と並んで合成生物学やナノテクノロジーが上げられていて、「単なるリスクでしかない」というのは変な感じがします。
Re: (スコア:0)
擁護するなら「それらが制御不能に陥った時」で考えているのかもしれません。
強いAIが出現して制御不能になった結果人類を救う可能性はままありえますが、
その辺のテクノロジーが制御不能に陥った場合ろくなことにはならんでしょう。
これ、ほんと? (スコア:0)
>> どれだけAIが進化しても将棋そのものが完全に解明されることは理論上ありえない
そんなわけないと思うんだが...
Re:これ、ほんと? (スコア:2)
今の強いAIってのはいわば何千万枚もある答えを書いたカードから、当りをできるだけ効率よく引くってやつなので、決して将棋というゲームのルールや特性を解明して強くなったというわけじゃないってことですよ。
※個人の推測です
Re:これ、ほんと? (スコア:1)
投了の美学における「美」のあり方など哲学的な思辨は AI では解明できないんじゃないかな.
Re:これ、ほんと? (スコア:1)
>投了の美学における「美」のあり方など哲学的な思辨は AI では解明できないんじゃないかな.
そこもAIに理解されると、人のアドバンテージもなくなりそうだし。
かと言ってすべての人がそういう思想を理解できているものでもなし。
#感じることくらいはできる。はず。
Re:これ、ほんと? (スコア:1)
「理由は説明出来ないが、この手で投了することが美しいか美しくないかは判断できるようになる」というのがまさに今はやりのディープラーニングなんだよね。
それができるだけで「解明できている」と言えるのかどうかは微妙だが、人間のプロ棋士が投了の美しさの理由をちゃんと誰にも分かるように説明できるのかというとそれもまた微妙。
つまり、「美」のあり方など、人間にも解明できているとは必ずしも言えない。
「将棋そのものが完全に解明される」の定義がわからん (スコア:1)
無限とも言えるあらゆる局面の最適解が解明される可能性はゼロではないが、
そこらの暗号解析に匹敵する難易度になるし、
出そろったとして、それは人工知能じゃなくてデータベースのお話よねという事に。
「眼前の局面に対して」「リアルタイムで」「制限時間内に」「最適解を計算する」
という意味なら、まあ現状いくつのブレイクスルー必要になるんだよという意味で
有りえんと言ってもいいのでは。
Re:「将棋そのものが完全に解明される」の定義がわからん (スコア:1)
先手なら必ず勝てるとかの必勝法が導き出されたら「解明」されたことになるのかな。
Re: (スコア:0)
必勝法自体が巨大な一つの定石になりそう。人間の脳みそに収まらないから定石じゃないとは言えないはず。
Re: (スコア:0)
存在しうる任意の局面において、そこからの「何故この手が良くてこの手がダメなのか」を人間が理解できる論理で説明し、
最善手を指南できるようになったら、完全解明と言って良いんじゃね。
Re: (スコア:0)
そんなの説明してもらう人間の能力に依存してるじゃん。
お馬鹿な人間はどうやったってこの手は理解できないよってのもあるかもしれない。
Re: (スコア:0)
将棋の局面って無限というほど多くないのでは。
駒が合計40個。
それぞれの駒の取りうるステータスは
・先手/後手(2通り)
・位置(9×9+駒台=82通り)
・成/不成(2通り)
しかないので、たかだか 328(2×82×2)の40乗。
成れない駒があるし、盤上の同じ位置には複数の駒は置けないからもう少し小さくなる。
このすべての「局面」に対し、一意に次に指すべき手が決まれば完全解明。
Re:「将棋そのものが完全に解明される」の定義がわからん (スコア:1)
前提はさておき、電卓してみたところ
4.314731233172920313752390004464e+100
10の100乗オーダって事ですかね
Wikipediaによると
観測可能な宇宙の情報量:10の90乗
人間の脳のベッケンシュタイン境界:10の45乗
局面が無限では無い事は確かですが。
Re:「将棋そのものが完全に解明される」の定義がわからん (スコア:1)
諸々含めてより厳密に計算したところ、10^72のオーダーでした。
まだ考慮できていない点は、
- 盤面上がすでに詰んでいる
- 二歩
などがあります。
もっと少ないと思って計算してみたのですが、意外とこんなもんか...
Re: (スコア:0)
持ち駒に何があるかで局面が変わるから
328(2×82×2)の40乗では、収まらないんだなぁ・・・
Re:「将棋そのものが完全に解明される」の定義がわからん (スコア:1)
「+駒台」の部分が持ち駒ですよ。
むしろ駒台の上で成っているとか同じ場所に駒が重なっているとか玉が盤面にないとか玉が両方一方の手駒になっているとか、発生し得ないパターンも含んでいるので局面数はコレより下がるはず。
将棋が大変なのは持ち駒が原因ってのは正しいですけど、
その意味は「持ち駒を何処に打つかの選択肢が多い」「駒の総数が減らず後々まで戦局に影響を与える」等が原因です。
これは先読みの難易度や計算量が増大することを意味するだけで、
全ての局面に対して最適解を決定出来た場合には先読み自体が不要なため影響しない要素です。
先読みの計算量は、合法手の数の先読み手数乗となるため、合法手の数が多いと一気に爆発します。
Re:「将棋そのものが完全に解明される」の定義がわからん (スコア:1)
で、なぜか最後の審判 [biglobe.ne.jp]の局面に落ちてしまって、AIのルール解釈の違いでおかしくなると。
Re: (スコア:0)
全局面での必勝となる1手のデータベースか、どの状態でも適用可能なレベルまで分割・細分化した定石の組み合わせで必勝法を構築できれば、「将棋そのものが完全に解明された」って表現できるとして。
前者は完全にデータベースだけど、後者はエキスパートシステムの類と見なせばれっきとした人工知能の一種になるかと思います。
後者の定石や定石の関係を出力するような学習系が実現されたら面白いんだけどそういうのはあるのかしらん?
Re: (スコア:0)
書いてあるじゃん
Re: (スコア:0)
理論上だったら、無限な記憶容量と無限な時間があれば、解明出来ちゃいますよね。
Re:これ、ほんと? (スコア:1)
本将棋を解明したら、中将棋、大将棋が待ってますので……
Re: (スコア:0)
無限という概念を分かってない人って結構多いね
Re: (スコア:0)
3目並べみたいに必勝法(不敗法?)を導けなきゃ完全とは認められないってことじゃないの。
重み付けを排除して全手走査するか偶然の産物(理論じゃないけど)でしか導けないと思うけどな。
Re: (スコア:0)
書き忘れた。
全手走査ってAIじゃないよね。
Re: (スコア:0)
二人零和有限確定完全情報ゲームだから、理論上は完全解明できる。
実行時間とか記憶容量の関係で、現実的にはできないだろうけど。
Re: (スコア:0)
ディープラーニングではなくて、純粋にアルゴリズムだけで最強のAIをくめれば解明できたといえるだろうね
Re:これ、ほんと? (スコア:1)
ディープラーニングでチューニングされたプログラムは膨大な「結果」から帰納的に最善と思われる手を打つようにしたデータで、
「アルゴリズム」とは違うような気が(汗)
#チューニングの仕方やデータを実際の打つ手に反映させるやり方は
#アルゴリズムなんだろうけど
Re:これ、ほんと? (スコア:1)
体操にできればアルゴリズムと言えるでしょう(えー