あるAnonymous Coward曰く、
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決まったが、もんじゅで使われている液体ナトリウムの回収が困難であることが明らかになり、廃炉計画の立案も困難になっていると毎日新聞が報じている。
記事では、もんじゅでは設計レベルでナトリウムの抜き取りを想定していないとされているほか、原子力機構が「設計当時は完成を急ぐのが最優先で、廃炉のことは念頭になかった」と認めているとの記述もある。
もんじゅでは冷却剤として金属ナトリウムを使用しているが、ナトリウムは容易に化学反応を起こしており、扱いを間違えると簡単に火災を起こす問題がある。実際、もんじゅではナトリウム漏洩による火災事故が発生している。さらに原子炉内のナトリウムは放射能を帯びているという問題もあるという。
また、福井新聞では原子力規制委員会の更田豊志委員長が「1次系ナトリウムの取り出しは難しい」との認識を示したと報じられている。これらに対し、日本原子力研究開発機構(原子力機構)はナトリウム取り出しは可能と発表、記事については「事実関係を十分に取材せずに掲載」と抗議している。
「記事解説」と題された発表によると、「原子炉容器内のナトリウムは燃料取り出しが終了するまでは、原子炉容器から抜き取ることは行わない」としている。そのため、現在準備している廃止措置計画の認可申請ではまず燃料取出し作業についての認可申請を行っており、ナトリウム抜き取りについては別途変更認可申請を行う計画だという。
また、運転段階においては原子炉容器内のナトリウムを抜き取る設計にはしていないとのことで、まだナトリウムをどう抜き取るかについては決定していないとのことだが、「メンテナンス冷却系の入口配管を活用するなどにより抜き取ることが技術的に可能と考えている」「その上で原子炉容器の最底部に残留するナトリウム(約1㎥)については、更なる抜き取り方法を検討するが、技術的に十分可能なものである」としている。
ナトリウムの放射能レベルについても、運転を停止してから長時間経っていることから低く、人が近づけないレベルではないという。
ただ、ナトリウムの処理が難しい問題であることは事実のようだ。たとえば1998年に運転を終了したフランスの高速増殖炉「スーパーフェニックス」では、10年かけてナトリウムの処理を行い、ようやく2017年末に抜き取りが完了する目処が立ったという(毎日新聞の過去記事)。