パスワードを忘れた? アカウント作成
14144970 story
医療

「オーバーシュート」は正式な医学用語ではないと翻訳家界隈からの指摘 102

ストーリー by hylom
やっぱりそうなのか 部門より

Anonymous Coward曰く、

オーバーシュートと聞いて電気回路や制御工学で学んだことを思い出す方もここスラドなら少なくないと思うが、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による3月19日の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(PDF)以後、オーバーシュートは「爆発的な感染拡大」のような意味でも使われるようになっている。だが、英語圏のニュース記事や医学論文でこの用法をする例はないと翻訳家がブログで指摘している。

唯一発見できた例は、まだ自然免疫(「なあにかえってry」)路線をとっていた頃の英の担当者が「いわゆる」付きで語った記事のようだ。ニュースサイトに関しては「COVID-19」に限定して検索している影響があるのかもしれないが、PubMedで見つからないというのは致命的だろう。

なお、このブログ記事の終わりの方ではテキトーなカタカナ用語の濫用にも苦言を呈している。タレコミ人も同感である。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 正しい使われ方ならカタカナ語もありだと思うんですけどね。訳語が誤解を招くこともあるし。
    ただ、爆発的な感染拡大を「オーバーシュート」と呼ぶことにはやっぱり強い違和感を覚えます。

    一応、集団免疫に関連した話で「overshoot を最小化する」という表現を使っている研究グループがあるようでして、
    What is the best control strategy for multiple infectious disease outbreaks? [nih.gov]
    How to Minimize the Attack Rate during Multiple Influenza Outbreaks in a Heterogeneous Population [plos.org]
    ここでは、感染の余地がある人(susceptibles)の人数を最適に制御することが考えられており、最適な程度を越えて susceptibles が減ることを、overshoot と呼んでいるようです。

    で、制御不能なアウトブレイクが overshoot を生むという記載もあり、一応、感染拡大と overshoot とが対応している構図にはなっているので、この辺りが、爆発的な感染拡大を指して「オーバーシュート」と呼ぶ流儀の発端だろうかと思っています。

    • これ、英語圏でも見ました。「オーバーシュート」の語源はこれでしょうね。その plos.org の論文中では、

      アウトブレイクは複数回起こるが、介入は初回のみ可能であると仮定する。
      ・感染拡大を放置あるいは介入が不足すれば、将来、ウイルスがまた発生しても、感染可能な人(未感染者)が少なくなり、基本再生産数は小さいままに留まる(再度の大流行は発生しない)。
      ・感染拡大が非常に強く抑圧されれば、感染可能な人が多いままに留まってしまい、二度目の流行が発生して、累計の感染者数が介入不足時に近づいてしまう可能性がある。
      ・介入の多寡によらず、未感染者の数は臨界閾値水準(critical threshold level)、すなわち群免疫を定義する水準に到達する。
      この過度の抑圧を「オーバーシュート」と呼ぶ。最適な介入とは、一度目のアウトブレイクにおいて、二度目のアウトブレイクが生じえないような群免疫の水準を下回るように未感染者数を減少させるものである。

      とかなんとか書かれてますね。付いてる図1があって、感染拡大防止が強すぎれば感染爆発の収束後に基本再生産数が高止まりし、やがてウイルスが再度出現した時に、期間が延びて規模が下がった二度目の爆発が起き、急激に減少して介入過小の場合より少し下がって落ち着く、という推移が示されていますね。

      Optimal というのは何が optimal なのかという話ですが、「未感染者が減少し基本再生産数が減少する」というのは平らに言えば「人が死ぬ」ということで、「介入を程々かつ強力に保って適切なペースで人を見殺しにしていくと、死者の総数はむしろ抑えられる」、「オーバーシュートが発生する」というのは「介入によって人口の減る速度は制御が可能で、基本再生産数は減らす方向にのみ制御可能だが、人口を戻す方法はないので、人が死にすぎた場合その人は死んだままになる。これはよくない」みたいな話なんですかね。よくわからん。

      おーこわ。

      親コメント
  • by NOBAX (21937) on 2020年03月26日 13時16分 (#3785886)
    はカタカナで書いてあるので日本語です。
    言っている人たちも医学用語として使っているわけではないでしょう。
    感染者数の日ごとの増減のグラフと一緒に使っているから、
    グラフの形状についての説明ということでいいのでは。

    小池知事は「感染爆発 重大局面(オーバーシュート 重大局面)」という
    パネルを使っていたけど、これはオーバーシュートが人口に膾炙したためでしょう。
    これからは「感染爆発」を使っていくのだろうけど「爆発」は不穏な感じもしますね。
    • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時31分 (#3785898)

      グラフの形状についての説明というより、想定していた基準を超えるといった意味ですね。それに専門家も、医学用語として用いていたわけではないのでは?と思います。
      「爆発的な感染拡大」とは一部重なる部分はあるとしても、違う概念なので、安易に置き換えればいいというものでもありません。
      訳すとすれば、想定外の感染者数増加、くらいでしょうか。

      「クラスタ」と「感染者集団」も微妙に違うんですよね、「集団」はクラスタという言葉が持つ「互いの距離が近い」という概念を持たないので。

      カタカタ語の濫用に苦言を呈することを否定はしませんが、日本語に勘弁かつ適切な表現がないから外来語由来のカタカナ語を使っている場合に、意味の異なる従来の表現に単に置き換えることは良くないと思います。外来語由来のカタカナ語を許容するか、新しく対応する日本語を作るかをするのが妥当でしょう。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        > 「クラスタ」と「感染者集団」も微妙に違うんですよね、「集団」はクラスタという言葉が持つ「互いの距離が近い」という概念を持たないので。

        ちょっと待ってください。
        クラスタが「互いの距離が近い」という概念を持つのはどの界隈ですか?
        一般英語? 物質科学? 染症医学?

        コメント全体の趣旨からしても何の注釈も無しで流していいところなのか疑問です。

      • by Anonymous Coward

        距離が近くなきゃ集団じゃないと思うが…それ以外に集団って
        どう定義されるんだ
        それとも物理距離に限るとかそういう話? でもクラスタにそんな意味ないよな

        カタカナだと英語っぽいから齟齬が気になるって言うなら新語作ろうよってのは良いと思うけど

    • >「爆発」は不穏な感じもしますね。

       大学の一般教養の化学で教わった先生が、「爆発も伝染病の感染も数学的モデルは一緒」っていってた覚えがあります。

      //核分裂反応も数学的モデルは一緒だったりして・・。
      //歴史専攻なので、外してたらゴメン。

      親コメント
  • by poly (42427) on 2020年03月27日 7時37分 (#3786385) 日記

    って疑うのは駄目なんだろうなw
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%... [wikipedia.org]

  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 12時54分 (#3785872)

    テキトーなどという適当なカタカナ用語の使用はやめましょう。
    カタカナにすることで深い意味があるかのような誤解を生みます。

    • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時19分 (#3785891)

      現代日本語において「適当」はポジティブな意味(「適切」と同義)とネガティブな意味(雑とかそういう単語に類義)の二通りの意味が存在してて区別が困難。
      一方「テキトー」という表記をするとほぼ間違いなくネガティブな方にしか読まれることは無い。
      実に適当(ポジティブな方)な使われ方じゃないか。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        実際自分は使う時にその基準で使い分けている。
        自分が他で見てそうなったのだから実際に同様に別の表現として使い分けている人はそこそこ居ると思われます。

    • アジェンダとかレジュメとかエビデンスとか…議題、概要、根拠で良いじゃ無いか。
      何故わざわざ解りにくい誤解されそうな表現を使うのかが謎だよなぁ。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 15時05分 (#3785989)

        そうそう、レジュメはサマリで良いじゃないか。何故わざわざ解りにくい誤解されそうな表現を使うのかが謎だよなぁ。

        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 15時13分 (#3785998)

        深く同意します。

        「ギガが減る」も気持ち悪い事この上ない。

        親コメント
      • by Anonymous Coward

        厳密にはそれらは意味が異なり言い換えできないとか、
        それらを使う人にとっては前者の語の方が馴染みがあり誤解が少ないとか、
        それなりの理由があるのかもね。
        人の考え方は色々だし、そこまで謎ってほどのものではなさそう。

    • by Anonymous Coward

      オーバーシュート ≠ 大袈裟な姑の事です。(日本の場合)

    • by Anonymous Coward

      片仮名じゃなくカタカナ?

  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時20分 (#3785892)

    おそらく数学系か工学系の時系列分析の人が感染者数の予測を行っているから
    そっちの専門用語が使われているのだと思う。

    例えば、クラスターもHawkes過程などの自己励起過程で出てくる言葉だし。

    • by Anonymous Coward

      いやいや、前の記事にも書いたけど「ランプレートが高い」ことを「オーバーシュート」とは言わんて。
      制御工学の「オーバーシュート」は「行き過ぎて戻る」挙動だから。

    • by Anonymous Coward

      クラスターって元々「密」とか「収束」とか「集まり」とかの意味じゃん。
      オーバーシュートだって精々が「行き過ぎ」とか「上回る」とかでしかない。

      なんか中途半端にテクニカルタームだけ齧って変に使っている気がするんだよなあ。
      表に立つ人間がカタカナ言葉で他人をケムに撒く事を主体にした人間だらけになった弊害かな。

    • by Anonymous Coward

      クラスター(爆弾)、オーバーシュートなら軍事系の可能性も微レ存…。
      ていうか元々は戦闘機の機動のオーバーシュート(追い越させて撃つ)が語源ちゃうん?

  • アメリカの報道機関がよく使う「アウトブレイク」だと、扇動的な感じがするし、専門家が言うには少し恥ずかしいのかもしれない。株価や金融政策の説明で「オーバーシュート」という用語は使うらしいし、グラフ上の一定のパターンを飛び越えるイメージを持つ言葉として「オーバーシュート」と言いたいのはよくわかる。個人的には、むしろ海外メディアも overshoot という言葉を使ってもいいと思う。

    雰囲気によるのかもしれない。日本の場合、制御できてはいるが、あるときポンと飛び抜けるのを危惧してるから、それをイメージして「オーバーシュート」というが、アメリカの場合、制御できてる感じがしない。単にアウトブレイクと言うほうが今の状況に合っている。

    • by Anonymous Coward

      「アウトブレイク」は1995年の [google.com]

  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時02分 (#3785875)

    プリエコーってのを誤用で流行らせようぜ

  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時07分 (#3785879)

    どこかの記事で推測されているのを見たなぁ。

    • by Anonymous Coward

      誰が言い始めたかを探し当てて血祭りにあげよう。

    • by Anonymous Coward

      自分もそう思うよ。あえて「新語」を作って、レッテル張りした。

      専用の用語が出来ることで、曖昧模糊とした怪物を、実体化した。
      そいいう言霊的な行為だと思う。

      だから、正式な用語じゃないとか言う話は全く的外れだと思うですね。
      「感染爆発」と訳されるけど、それだと範囲が広すぎる・一般的すぎるので、あえて「今回の事象に限定した」オーバーシュートという用語を作ったんだと思うね。

      • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 14時03分 (#3785921)

        言った人そこまで考えて(以下略

        言葉というのは基本齟齬が生じるもので、
        だからこそ「元々あった言葉を意図的に違う意味で使う」ことは避けねばならないんだけどね。
        言葉は生き物とか言って意味の変化を無条件に許容してるような人がいるけど、
        それって裏を返せばコミュニケーションの拒絶と断絶なんだって事わかってるのかな。
        #現代日本人が古文がよくわからないのと同じ。
        #変化そのものは否定も防止もできないが、無理解から意図的に意味を変えることは極力戒めるべき。

        んでオーバーシュートって元々ある言葉なんだよ。
        今回の事象に特定したいならより完璧な(他に使われていなかった)造語を作り出してほしいね。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          まぁ新たな造語作ってほしかったのは同意だけど、
          多分名付けたのは政治家とかそっち方面の人だと思うね。

          学者が、「グラフがこう、オーバーシュートするような形状になります」
          政治家が、「じゃ、これはオーバーシュートと呼ぶことにする」
          ってな感じな。
          都知事とか、ワンフレーズでまとめるの得意そうだし。

          でも実際は政治家が「オーバーシュート」という用語を誤用と知らずに使いまくって、会議内で定着しちゃっただけかもね。
          いずれにせよ、名付けたことの効果は如実に表れてるので、意味はあったと思うですね。

  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時18分 (#3785889)

    もともとの専門家会議とやらの時点で、よくわからん使われ方をしていたのか。

    「目標とする患者増加数(=現行の対策により上手く制御できた場合の想定患者増加数)から大きく外れて増加する」という意味から、前半部が取れたのかと思ってました。

    # まあ一度増えてしまったら、しばらくは戻らない気もするけど。。

    • 忖度してみる。

      集団免疫戦略では完全に封じ込めず、ゆっくり感染が広まるようにしたい(英国がこれ言い出してすぐ引っ込めたーワクチンが出来るまで時間稼ぎする方が人的犠牲が少ない)。そのコントロールに失敗してオーバーランした状態をオーバーシュートと呼ぶ。

      クラスターは房でいいや。ハブがあって、そこからつながっている一連の群。誰かがまたハブになって新たな房を作ったりする。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時20分 (#3785893)

    医学用語じゃなくて制御工学用語として用いられているのだと思う。
    ただ,元の意味とは違うんじゃないっていうのには同意。

    • by Anonymous Coward

      なら、ポジティブ・フィードバックと呼ぼう。
      なんかポジティブって好感もてるし。

      #小池ちゃんはコレからやり過ぎた感染者削減策はじめて発振しそうなので。

    • by Anonymous Coward

      ターボに空気送りすぎてエンジンごと壊れる事象のことかと

  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時37分 (#3785903)

    航空関係(戦闘機関係)のオーバーシュートしか知らなかったよ

    http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?%A5%AA%A1%BC%A5... [sakura.ne.jp]

  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 13時51分 (#3785912)

    矩形波の伝送で出力端では普通の(?)矩形波なのに入力端では
    立ち上がりでヒゲが出るのをオーバーシュートと言うので
    一瞬増加するけどすぐに戻るもの、ぐらいの感覚。
    詳細はこのあたり [macnica.co.jp]を参照。

    実社会にダンピング抵抗を入れるわけにもいかず、ううむ…

    • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 14時28分 (#3785949)

      回路設計の定格に少し余裕を持たせているので、若干かつ短時間なら戻ります。
      しかし、過度にor長時間越えると素子がダメージを受け寿命が短くなり最悪壊れます。
      (電気屋さん的に戻る感覚なのでしょうが、半導体チップの信頼性設計だと壊れる感覚。)

      それに似ていて、若干かつ短時間だけ医療キャパを越えてもなんとかなりますが、
      過度or長時間越えると医療崩壊するということでしょう。
      ダンピング抵抗にあたるのが、人の流れの制限でしょう。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2020年03月26日 14時17分 (#3785935)

    スカイラブハリケーンは正式な気象用語ではない、みたいな、何を今更感。

typodupeerror

一つのことを行い、またそれをうまくやるプログラムを書け -- Malcolm Douglas McIlroy

読み込み中...