The Registerの企画「
Register Debate」で、サイバー犯罪を「ハッキング」と呼ぶことの是非について議論が行われている(
The Registerの記事[1]、
[2])。
論戦の口火を切ったのはAlyssa Miller氏。元々テクノロジー用語としての「hack」「hacker」は犯罪や悪意を示すものではなく、独創的な方法で問題を解決する(人)といった意味で使われていたが、1990年代のハッカー映画「Sneakers (邦題: スニーカーズ)」「Hackers (邦題: サイバーネット)」「The Net (邦題: ザ・インターネット)」といった映画では善悪ハッカーの対決が描かれているなど、比較的早い時期から善悪両方の意味が割り当てられていたと指摘する。
しかし、犯罪者の間で流通しているマルウェアキットのようなツールを利用する技術的専門性のないサイバー犯罪者をハッカーと呼ぶのは、銃を使った銀行強盗を一律に銃の愛好家と呼ぶのも同然だという。このような表現は不正確なだけでなく、サイバー犯罪から人々を守るための情報を提供する倫理的ハッカーをサイバー犯罪者と同一視することにもつながるとのこと。
これに反論するIain Thomson氏はMiller氏のような意見に共感しつつ、一般の人にとってハッキングはサイバー犯罪と同義語だと悲観的だ。残念ながら倫理的でエレガントなハックは多くの人に知られることはなく、犯罪者の書いたコードはエレガントでなくても多くの人に被害を与え、注目を浴びる。
ただし、悪いイメージがついているにもかかわらず、サイバーセキュリティやハードウェア改造に関するイベントを良い意味で「ハッカーイベント」と呼ぶことも多い。このような用法を広めていけば本来の意味を取り戻せるかもしれないが、一朝一夕に実現することではない。生きた言語は進化するものであり、「tablet」「cloud」「tag」などと同様に「hack」「hacker」「hacking」も複数の意味で使い続けられる可能性があるとのことだ。
記事に連動して行われている投票は、「ハッキングは犯罪ではなく、メディアはハッカーという言葉を批判的な意味で使うのをやめるべきだ」という主張に賛成(for)か反対(against)か選ぶものだ。投票は月曜夜(英国時間3月8日夜)に締め切られ、火曜日に結果が発表される。スラドの皆さんのご意見はいかがだろうか。