パスワードを忘れた? アカウント作成
16732665 story
ビジネス

MRJ計画失敗、技術者に「謙虚さに欠けていた」と元社長が激白 116

ストーリー by nagazou
失敗 部門より
過去に取り上げたように、2023年2月に国産初のジェット旅客機である「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の計画が中止となった。この開発中止に関する元三菱航空機社長の川井昭陽氏の回顧記事がテレビ愛知にて掲載されている(テレビ愛知動画版)。

この記事によると、計画の中止の原因は、型式証明書の取得に関する一枚の書類の問題だったという。型式証明書は旅客機の安全性を証明するための審査で、アメリカ連邦航空局(FAA)から発行される。川井氏は、この型式証明の取得が難しく、それを取得することがプロジェクトの最大の難関だったと説明している。

MRJ計画の中で川井氏はFAAと対等に話すことのできる、ボーイングで経験を積んだ経験豊富なアメリカ人技術者をプロジェクトに参加させることを試みた。しかし、日本の技術者たちとの間で溝が生じ、意見の相違が浮き彫りになったという。

川井氏は、技術者たちが過度の自信を持っており、飛行機を造ることと、安全性を証明していくことの違いを理解していなかったと述べている。結果、計画は成功せず、開発に費やした約1兆円の事業費とともに、日本の地位が低下した国家的な損失になったと述べている。

あるAnonymous Coward 曰く、

MRJ開発を見ていて三菱航空機・三菱重工の中にも民間機ビジネスを分かってる人と分かってない人が混在してるんだなとは感じてましたが、この社長さんはMU300の開発に関わった分かってる人だったのですね
営業関係でも雇った外国人経験者が表に出るようになったのはこの社長さんの頃かな?
YS-11の頃からの形式証明の苦労話はいろいろ伝わっていて、航空機メーカーに集まるような飛行機好きなら誰でも知っているものだと思っていたのですが、そうでは無かったようですね
結局、ホンダに集まった飛行機好きと比較して、三菱の飛行機好き技術者は質が低かったということになりますが(戦闘機作る分には関係ない話か)

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 言い訳がましい (スコア:4, すばらしい洞察)

    by NOBAX (21937) on 2023年08月25日 17時33分 (#4517031)

    技術者たちが過度の自信を持っており、飛行機を造ることと、安全性を証明していくことの違いを理解していなかった

    技術者に責任を押し付けてどうする
    そんなものは経営の問題だろう
    技術者の能力がないのなら、ボンバルディアと提携するとかM&Aで取得するとか選択肢はあったはず
    結局、経産省に唆されてウェスティングハウスに手を出して破綻した東芝と同じ構図で
    経産に乗せられて、成算もなしに事業を始めたのが敗因だろう

    • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 18時55分 (#4517106)

      型式証明に関して言えばトップが政治的手腕がまるで無かったのが原因
      STOL飛鳥でも分かる通り締め出しの厳しさは尋常じゃない
      ホンダは北米の合弁会社を設立して通した位
      当初から経営陣の無能さに尽きる

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 17時50分 (#4517050)

      社長が意見を通すことが出来なかった内部体制の方が気になります

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        ミツビシにとっては、このしゃちょーさんも中間管理職に過ぎなかったんだろうなあ、と少しだけ同情。

        • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 19時15分 (#4517128)

          > ミツビシにとっては、このしゃちょーさんも中間管理職に過ぎなかったんだろうなあ、と少しだけ同情。

          マジでそんな感じらしく、別の記事
          https://biz.chunichi.co.jp/news/article/10/57318/ [chunichi.co.jp]
          では、なんと社長なのに人事権がなかったとボヤいてますね。

          この記事によると、この人自身は技術者出身で国産ビジネスジェットMU300の開発に携わり

          > 当時、川井より5歳年上で先生役となった元ボーイングの技術者は、機体の性能と安全性のバランスを取りながら、
          > 当局を納得させつつ、自分たちの要求を通していく。この論理的なやり方を目の当たりにした川井は大いに刺激を受け、
          > そのノウハウを必死で吸収した。そして81年、ついにTC取得にこぎ着けた。

          という経験をしたそうです。
          (TCとは型式証明のこと)

          そしてMRJでも、外国から型式証明取得の経験のあるボーイングの技術者を招いたそうですが
          以下のような結果に終わったとのこと。

          > 開発の中心を担っていた名航出身の40~50代の日本人技術者たちは、(中略)
          > 誰ひとりとして「先生」の助言に耳を傾けなかった。
          > 「どうして三菱航空機の技術者は言うことを聞かないんだ」。
          > 素直に教えを受け入れない現場を前に、元ボーイングの技術者らは、あきれて日本を後にした。

          MRJの開発には7人の社長が関わったんですが、川井氏はそのなかの3代目で、
          2年3カ月間社長を務めたあと、その座を降りた(親会社の意向で降ろされた?)そうです。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            まぁ、殿様、商人、野武士と分けられる重厚長大の大手で殿様となる人が居たら、その人の意向だけで、型式認証と趣味とどっちに進めるかは殿様に従うよね。

      • by Anonymous Coward

        半導体産業が没落した時のアレでしょ
        バブル崩壊後、半導体の設備投資規模の急膨張に及び腰になって「選択と集中」を錦の御旗にして競争から逃げた
        これが半導体一本でメシを食ってる会社だったら、撤退は死を意味するので、意地でもかじりつく
        だが日本では大企業の一部門にすぎなかったので、新プロセス工場が数千億円となると半導体部門の一存では決められず、膨大な時間を政治で浪費した挙句「総合的な判断」で却下される
        一方、サムスン電子は財閥の一部門でありながら社長の権限が強大で、素早く動いて1993年に東芝を抜いてDRAM世界シェア1位になった
        台湾TSMCも同じく

        技術者を制御できなかったというのは結果で、原因は、三菱という財閥の構造

        • by NOBAX (21937) on 2023年08月26日 15時36分 (#4517665)
          事情が少し違う
          日本の半導体産業といってもDRAMのこと
          4MBで天下を取ったが、16MBにするときに国内のメーカーは呉越同舟すればいいのに
          互いに牽制しあってまとまらなかった
          アメリカは製造会社が死に絶えてしまったので、設計と設計ツールで覇権を取ることにして
          海外に製造拠点を作ることにした
          日本がDRAMを売らなければ米国のミサイルは飛べないと言い出す極右がいたりして
          日本は候補から外された
          当時、弱小だったサムソンに技術支援をしたしたし技術者も受け入れ教育して送り返した
          韓国政府も日本を追い抜くチャンスと見て税制や補助金で支援した
          台湾のTSMLやオランダのASMLも同じ構図
          最近、米国が日本と組もうと言い出したのはもはや日本には米国に楯突く力はないと見たから
          親コメント
        • by Anonymous Coward

          どちらも同じストーリー上にある要素。何が良ければうまくいったかはよく考えるべきでしょうね。

          財閥の中だったら絶対に成功できないというわけでもないでしょう。
          ゼロ戦は三菱重工が開発した訳だし。

          • by Anonymous Coward

            軍隊が無限の予算をくれるとか?

    • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 17時58分 (#4517060)

      経営の問題があったとして、
      技術者に(よその会社や国に比べて)そういった意識が足りなかったという振り返りの視点は重要じゃないの?
      それともそんな事実は無かった?

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      敗軍の将だから、兵を語るんじゃないかな。
      (違

      • by Anonymous Coward

        敗軍の将は兵を語らずの逸話に沿うと、

        韓信「MRJが失敗した責任は、社長の策を入れなかった技術者のせいで、社長のせいではないですよ、だから語ってちょ」

    • by Anonymous Coward

      > 技術者の能力がないのなら、ボンバルディアと提携するとかM&Aで取得するとか選択肢はあったはず

      三菱の小型ジェット開発では当初ボーイングから協業のオファーがあったと記憶しているが。
      ボーイングのオファーを蹴って日の丸プロジェクトにしてしまったのは、三菱と経産省じゃないかな。

    • by Anonymous Coward

      いつかのふじつうみたいな
      あとはおちていくだけかな

    • 優れた技術者が優れた経営者というわけでないというのはそのとおりだが.

    • by Anonymous Coward

      でもITのエンジニアの世界でも動くこと優先で品質の担保をどうするか考えてない人は山ほどいるし、
      時と場合によってそういう人の方が重宝されるのはあるあるじゃない?
      そしてそういう人は往々にしてコントロールが難しいのもあるある。
      別に押し付けてるんじゃなくてそういうマインドセットが組織的にできてなかったって自戒も込めて言ってると思うよ。

    • by Anonymous Coward

      そのうち技術者側からも「社長のせいで失敗した」が出てくるだろう

  • by goldenslamber (49013) on 2023年08月25日 22時04分 (#4517261)

    これほどの大失敗をブッこいたんだから、社内的に総括した報告書作ったりしてるのかな?

    見てたいけど、絶対に外部には出ないだろうなぁ

  • 航空機部品産業における生産管理・品質保証ガイドブック-経済産業省- [meti.go.jp]

    航空機産業は、高度な安全性の確保が大前提となっており、この要請に応えた高度な生産管理・品質保証体制を構築することが不可欠となっている
    求められる品質マネジメントシステムを完全に理解・実施できておらず、発注側で更なる指導が必要との指摘が多く、サプライヤー側の理解とギャップがあることが判明している

    航空宇宙産業は各国特有の規制もあり、今回は北米のFAAに準拠した品質マネジメントシステムを規定し、それが履行されていることを証明する文書記録、監査対応なども必要だと思った。
    このガイドブックは一般的な話しの範囲だけど、FAAならではの要求や空気感(これはボーイング技術者がFAA担当官とやりとりできていることから文書化されない照会対応などが含まれる)を求められるのがあるのだろう。

    実際のところはどうか不明だが、ボーイング技術者(≒FAAの要求)の「そのやりかたでは駄目だ。FAAは受け入れない」という指摘は、日本の技術者にとっては「今さらそんなこと言われても困る。それをやり直すには出戻りが大きすぎる」などが頻発したのではないか。

    ホンダジェットがアメリカ合弁会社でアメリカ主導でFAA型式証明とったようなやり方は理にかなっている。そのようなトップの英断はやはり社長クラスの経営陣が行う必要があって、その点では今回の社長は何言ってんだかという感想はあります。

  • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 23時39分 (#4517321)

    テレビ愛知は結構攻めていて、国と三菱の間のドタバタも特集している。

    【MRJ計画中止】国交省の審査トップが証言 審査現場は「最後の最後まで混乱が続いていた」 [youtube.com]」

    ――三菱航空機に知見がないと感じる部分はありましたか?

    清水 所長:
    「あまり申し上げると審査の個別の話になってしまうので申し上げられませんけれども………

    そうですね………。

    それ(知見不足)で、手戻りが起こってしまったと思い当たる節はあります」

    役人にここまで言われちゃうとは…

  • 自分たちが造っていたものは空を飛ぶゴミであって民間航空機を名乗る資格など無い代物だったと正しく認識するところから始めないと何も変わらない。
    紙切れ一枚の問題じゃないんだよ。

    • by Anonymous Coward

      偉そうにどちら様でしょうか?

      • by Anonymous Coward

        神様です

      • by Anonymous Coward

        メーデー民だよ。
        俺達は型式証明が血文字で書かれていることをよく知っている。

  • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 17時38分 (#4517035)

    当初の開発と承認プロセスは別の部隊がやるのが普通だが、MRJの場合は当初の開発部隊が承認プロセスに絡んでたの?
    そんなんうまくいくわけないじゃん、必要な専門性が違うんだから。
    組織の構造の問題でそれは社長の問題。それを技術者に責任転嫁してるように見える。

    • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 17時59分 (#4517062)

      設計者がFAAに認めてもらいうる設計をしなかった、ということでしょ? 機体配線を始めとして。
      Certificateのことを単なる事後承認だと誤解してるの?

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        設計者がFAAに認めてもらいうる設計をしなかった、ということでしょ? 機体配線を始めとして。

        別記事で国交省の(日本国内の)型式証明の審査担当者のインタビューがあったが、その件に関しては参考になった

        https://www.youtube.com/watch?v=6Fv0sC2pznU [youtube.com]

        こちらは(画像)国土交通省の耐空性審査要領の一部。第3章の強度の項目には、次のような記載があります。
        ()
        ただその証明の方法は示されていません。

        清水 所長:
        「我々からここの部分はダメですと言った時に、我々が想定している内容ではない直し方をしてくることは当然ございます」

        • by Anonymous Coward

          定形回答が古くて無意味だったり逆効果なケースも当然あるとは思うけどな。
          だが、たとえそうでも、それ込みで審査に通るように設計するのが仕事。
          だから仕事をするにあたっての発想の良し悪しじゃなくて、
          すべき仕事をしなかった、する体制に持ち込めなかった、それだけの事。

      • by Anonymous Coward

        設計者なんて
        ヤレ
        ハイ
        じゃないのか。
        三菱の技術者ってどんな権限持ってたんだよw

        • by Anonymous Coward

          > 設計者なんて
          > ヤレ
          > ハイ
          > じゃないのか。

          命令をまったく聞かなかったわけじゃなくて、
          型式証明が取れない、すなわち安全性の面での問題点の指摘をクリアできないことが分かると
          設計変更して再度型式証明取得にチャレンジというのを何度も繰り返していました。
          それでもずっと型式証明を取得できなかったようです。

          この川井氏が社長だったのは、そういうサイクルの初期の頃だったので
          技術者たちはまだ型式証明取得を甘く見ていたんでしょうね。

          最後の方になるとさすがに安全性の証明が一筋縄ではいかないことが分かったんじゃないかと思いますけど
          その頃になると川井氏も、川井氏が招いたボーイングの技術者もいなくなっていたってことなんでしょうか。

          • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 23時18分 (#4517316)

            当時の転職サイトの状況を覚えているならわかるかもしれませんが、
            あの頃MRJは前歴の業種問わずとりあえず「エンジニア」と言える「技術者」なら片っ端からかき集めてました。
            # 全く畑違い(自動車)の自分達や大学時代の同期・同業他社・取引先、手あたり次第に声がかかっていて、一時ネタになりました…

            そんなことをしていた様なので、当然ながらFAAの型式証明どころの話じゃなかったんじゃないかなと思います。
            悪いのは技術者じゃなくてプロジェクト管理と人事担当じゃないかなぁ…

            親コメント
        • by Anonymous Coward

          社長に従うのではなく、自本部だか自部門だかのボスに従ってたのではないですか?

        • by Anonymous Coward

          つまり「ヤレハイ」じゃあ民間の飛行機は飛ばないってこったな

      • by Anonymous Coward

        社内の品質保証部門が設計レビューをする体制にするんですよ。
        品質保証部門が承認しないと進まないようにしとくの。

        ふつうの設計者が品質保証なんてわかってるわけないんだから、
        「技術者たちが〜理解してなかった」とか何言ってるんだってこと。

        • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 20時48分 (#4517211)

          >ふつうの設計者が品質保証なんてわかってるわけないんだから

          なわけあるか。設計者はどういう意図で設計基準が決められ品質が保証できるか理解している。
          だからこそちゃんと設計基準を守って設計する。設計基準を守れば品質保証できなければならない。
          設計基準を守ったのに品質保証されなければ、そりゃあ設計部門の技術者は怒るしごねる。
          品証部門がまともな設計基準を作れないってことだから、そんな品証部門は駄目だろう、って話。

          親コメント
    • by Anonymous Coward

      組織の問題だが、飛行機作りはリーダの能力が大事で、それなのに組織の三菱で対処しようとしたのが間違い。

  • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 17時58分 (#4517058)

    ITもそうだけど航空宇宙分野もアメリカさんのほうが技術・経験・実績すべてにおいて桁違いに上なのは明らかなわけで。
    ましてやアメリカでの型式証明だし。
     
    それなのに過度の自信があってアメリカさんのいうこと聞かないなんて滑稽な人材いるかな?

    • by Anonymous Coward

      大した文量が無いのでわからないことばかりですが、リンク先読む限りでも実際に述べている対立は「社長の言うことを技術者が聞かなかった」みたいな話だけなんですよね。
      アメリカの技術者と日本の技術者の間には「溝のようなものを感じた」とものすごくぼんやりしたことしか言っていない。
      なので実情は経営も含めてもっと複雑な対立があったんじゃないかなぁ。
      仮に「過度の自信でアメリカの技術者の指示に従わない」場面があったとしても、問題のごく一部に過ぎなかったように思えます。

      • by Anonymous Coward

        この人途中参画なんでしょ。
        それでアメリカから人つれてきて、言うこと聞けやってやらかして社内で対立作った話じゃないの、これ。
        足元で何が行われていたか全無視で米国人ありがたがるだけで、日本の技術者を媚び諂いが出来ない連中と蔑んでたからああなったんじゃ。
        「あいつのせいで」はまだ聞く耳もってもいいだろうけど、「だから僕は悪くない」だから話にならんよ、こいつ。

  • by Anonymous Coward on 2023年08月25日 18時32分 (#4517088)

    「飛行機を作るのは簡単です」とまで言ってこのざまじゃ
    明らかに足りないのは経営力、政治力、調整力、統括力だな

    • by Anonymous Coward

      まあそうですね
      同時に技術者の能力の問題に焦点を当てない理由も無いですが

      • by Anonymous Coward

        技術者の素直に言うことを聞く能力不足だな。
        技術者といっても何も作れない技術者だけど。
        負債は作れるか。

typodupeerror

あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

読み込み中...