原子が"観える"顕微鏡
日経D&M ONLINEの記事(登録が必要)および日経BizTechの記事より。IBM社が米Nion社と共同で,個々の原子を観測可能な走査型透過電子顕微鏡(STEM)を開発しました(プレスリリース)。「多重極子レンズ」と呼ばれる電子レンズで電子の収差を補正する事で,個々の原子の識別が可能になったとの事。点分解能は0.075nm。こちらの画像を見ると,シリコンの結晶構造や金結晶の個々の原子を観測できている様子が分かります。Nature誌にも論文"Sub-angstrom Resolution Using Aberration Corrected Electron Optics"が掲載されています(登録が必要)。
走査型トンネル顕微鏡(STM)が試料表面の構造をより精密に観測できるのに対して,STEMでは,STMで困難な試料の内部構造の観測が可能という特徴があります。また,透過型電子顕微鏡(TEM)では日立と東大が0.0498nmの格子分解能を達成していますが,(今回のIBMの研究成果である)電子レンズの収差補正をうまく適用すれば,点分解能でも同じ分解能が得られる可能性があるそうです。装置そのものの利用や他への応用を含めて,今後のナノテクの発展に大きく寄与する研究成果と言えそうです。