パスワードを忘れた? アカウント作成
12106716 submission
法廷

最高裁がプロダクト・バイ・プロセス・クレーム特許について初判断

タレコミ by semialt
semialt 曰く、
最高裁が、製造方法によって発明の対象となる物を特定した、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム特許(PBPクレーム特許)について、その効力が請求項で開示されていない新規の方法で製造された同じ「物」にも及ぶとの初判断を示した(NHKニュース)。

薬剤を「物の発明」として特許申請する場合は、化学式などでその構造又は特性を特定するのが通常であるが、特許の申請時にはその構造又は特性が明らかになっておらず、「~~して~~することでできる~~なプラバスタチンナトリウム」のように、薬剤を生産する方法を請求項(クレーム)に記載することで薬剤を特定して特許を取得することがある。これがPBPクレーム特許だ。

PBPクレームで特定された「物」について、特定された製造方法とは別の方法で製造された場合、PBPクレーム特許の効力が及ぶのかは、議論が分かれていた。PBPクレーム特許を持つハンガリーの製薬会社が、別の製造方法を利用する協和発酵キリン株式会社を訴えた事件で、原審の知財高裁は「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法の記載がある場合における当該発明の技術的範囲は,当該物をその構造又は特性により直接特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するときでない限り,特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物に限定して確定される」と判断し、特許の効力の範囲外としていた(裁判例情報)。

しかし、最高裁は逆に「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定される」と判示。PBP特許の効力が、請求項で特定された方法以外で製造された物にも及ぶと判断して、事件を知財高裁に差し戻した(裁判例情報)。

一見、特許権者に有利な判断と見えるが、最高裁はPBPクレーム特許が認められるのは「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られる」とも判示。本件では知財高裁がすでに「物をその構造又は特性により直接特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情」が認められないとも判断しており、知財高裁で改めて審理した結果、特許が無効とされる可能性もありそうだ。

情報元へのリンク
この議論は、 ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

※ただしPHPを除く -- あるAdmin

読み込み中...