パスワードを忘れた? アカウント作成
13675503 submission
日記

「トリチウムは容易に有機結合し食物連鎖で高度に生物濃縮される」というデマ

タレコミ by masakun
masakun 曰く、
トリチウムは容易に有機結合し食物連鎖で高度に生物濃縮されるというデマがあるそうだ(Togetter)。

ネタ元は8月3日に原子力資料情報室CNICに掲載された記事「ブリーフィングペーパー 「トリチウム水と提案されている福島事故サイトからのトリチウム水海洋放出について」で、長年海洋の放射性物質を調査している Tim Deere-Jones 氏から寄せられた情報(英語 PDF)だという。その和訳要旨によると、「最近の研究では、有機結合型トリチウムは魚類・鳥類・哺乳類が水産物を摂取することで容易に吸収されること、非常に高い生物濃縮率で有機結合型トリチウムの生体内濃度を高めることが、決定的に示されている。同程度に重要なこととして、遅まきではあるが、有機物負荷の高い沿岸水域は、トリチウム水の放出により、有機結合型トリチウムの製造に極めて適していることがわかった」(原文ママ)とある。

しかしながら英語原文の参照資料を調べてくれた方によると、沿岸の海洋生物から高濃度の有機結合型トリチウム(OBT)が検出されている実例はあるが、「研究用の「有機結合型トリチウムの試薬」を製造している事業所からの排水」からのもの(生物学や薬学では体内の化合物の分布を調べるためにトリチウムH-3が広く使われているそうだ)。またトリチウム水(FWT)が水系中のタンパク質性物質に「吸着」されやすそうだという報告については、タンパク質性物質に吸着された FWT が生態系の中で OBT に変換されるかどうかは示されていないとしている。また福島沖で捕獲されたヒラメから FWT は検出されるものの、OBT は ND であること(魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域>)も指摘されている。よってトリチウム水 FWT が有機結合型トリチウム OBT として食物連鎖で生物濃縮するという根拠はないことを専門的に示していて、この Togetter は非常に興味深い。

なお経産省のトリチウム水小委員会の資料(2016/6/3)内の参考資料4(2014年2月7日)「トリチウムの水産物への影響評価について」で、水産総合研究センターの森田貴己氏が「直接、有機結合型H-3を取り込んだ場合は、見かけの濃縮係数が非常に高くなる場合」の例として、Tim Deere-Jones 氏が示しているのと同じ資料を挙げていたりするw

この議論は、 ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

ハッカーとクラッカーの違い。大してないと思います -- あるアレゲ

読み込み中...