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教育

Predatory Journals対策

タレコミ by minato_nakazawa
minato_nakazawa 曰く、
メールチェックしたら,American Journal of Nursing Science (http://www.nursingscience.net)というところから,Nurse Education Todayに載った論文を読んでオファーするのだが我が誌で特別号のエディタやりませんか,というメールが入っていた。

こういうオファーは大抵,いわゆるpredator journalからのセールスなので無視するが,看護分野では,三重大学の谷村さんが書いている(本文pdfは,リンク先の「機関リポジトリ」からダウンロードできる)ように,INANEというホワイトリスト(ここに載っていれば信頼できる雑誌であるというリスト)が存在し,Aで始まるジャーナルの中にAmerican Journal of Nursing Scienceはなかったので,信頼できるとはいえないようだ。

Journal Citation Reports (JCR)に載っていてImpact Factor (IF)が付いているような雑誌ならまず安心だが,IFが付くかどうかは,有力な出版社から出ているかとか,米国図書館業界との付き合いがあるかといったことと関係があり,日本熱帯医学会の英文誌も長年努力を続けて,漸く候補に入れて貰えるようになった(まだIFは付いていない)くらいハードルが高いものなので,IFが付いていないとダメだという判断はできない。学問の分野によっては,トップジャーナルでもIFが付いていない場合もあるので,ホワイトリスト方式には限界がある。

日本では通称ハゲタカジャーナルと呼ばれたpredatory journalsとは,peer reviewedのまともな学術雑誌のような体裁をとりながらも,内容はほぼチェックされずに高額な掲載料を著者から得ることでビジネスモデルが成立している雑誌群のことで,ほぼそれだけを狙って作られたような出版社さえ存在する。とくにオンラインのみのOPEN ACCESSをうたうものに多い。米国の図書館学芸員というか司書というべきか,ともかくlibrarianなJeffrey Beallがそれらのビジネスの興隆を指摘しブラックリストを作って公開した(経緯は国立国会図書館のCurrent Awareness Portal記事参照)ことで世の中に知られるようになった。カウンターアクションがあったり,いろいろ揉めたりしたことが原因か,2017年にBeall自身が作っていたリストやコロラド大学のBeallのページは消滅したが,Beall's Listなど,後継的なプロジェクトは存在する。5月1日付けのTHE SCHOLARLY Kitchenの記事Cabell’s Predatory Journal Blacklist: An Updated Reviewに紹介されている,Cabellのブラックリストは,矛盾も含んでいたBeallのリストを置き換える目的で作られたものとのこと。

おそらく,ホワイトリストに見つけられなかった場合は,これらの複数のブラックリストをチェックして,怪しくないかを確認するというのが,現実的な対策だと思う。

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