中国のドラマ、AI合成で女優を入れ替えて放送

あるAnonymous Coward 曰く、

この夏、中国で「勝算」というドラマがテレビ放送されていたのだが、ヒロインが宣伝時とは違う人物になっていることが話題となっている。

「勝算」は柳雲龍が監督・主演を務める、いわゆる抗日ドラマで、独ソ戦のモスクワの戦いを契機に北進しようとする日本の関東軍と、阻止しようとする共産勢力とのスパイアクションを軸に物語が展開する。製作費1.5億元（約23億円）と言われたこのドラマは、2015年5月に撮影が終了しており、ビリビリ動画にも予告編があるが、どういうわけかこの5年間お蔵入りになっていた。ネット上ではこの理由について、2016年の韓国のTHAAD配備表明の報復措置である限韓令の制約により、ヒロインで朝鮮人スパイ役を演ずるハン・チェヨンの出演が問題視されたのではないか、という観測があった（当時発表された禁止リストの46番）（柳云龙的《胜算》在2015年就杀青了，为什么现在还不播？）。

そして、ついに今年の7月16日から放送され、果たして、件のヒロインは蘇青という中国の女優が代役に立てられていた。そして、全編撮りなおしではなく、彼女の演技を撮影してAIで合成したと報じられている（柳云龙谍战剧《胜算》尘封4年未播，最新消息：女主角AI换脸）（胜算！苏青版蔡梦，不输韩彩英）。ただし、全50話だったはずのドラマが全42話に圧縮されたのは、5年前の出演者全てを揃えることができなかったのが原因とみられ、AIで全てを解決できたわけでもないようである。

費用対効果のほどが気になるところだが、限韓令は今年に入って緩和されるという話もある一方で、先週には逆に強化されるという報道もあって、よく分からない状態が続いているので、テレビ放送にこぎつけたという点では成功と見るべきなのか。

ちなみに、中国のドラマがAIで顔を入れ替えるのには前例があり、2019年秋に放送された建国70周年記念作品「光栄時代」も主役の趙立新が張譯に挿げ替えられている。この件は、趙立新が2019年4月に「日本人为什么不烧故宫?（日本人はなぜ故宮を焼かなかったのか？）」とSNSに投稿して炎上したのが原因とみられている（错失与张译飙戏《光荣时代》，赵立新言论背后的真相被揭开）。

張譯の身長は趙立新より10cm低かったため、趙立新の降板後の撮影でも別役の俳優（黄志忠）を撮影して、頭部だけ取り替えていたことが判明している（光荣时代赵立新为什么被换?黄志忠用换脸技术顶替）。

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