ADの日記: W3Cについて
私は、度々「W3Cは専門家や情報企業が集まって技術的なことを決める団体だから信用できる」という類の話を目にする。しかし、捻くれ者の私は、「専門家が集まっているから信用できるかといえば、そうでもないだろう」と思う。IE開発チームだってWeb技術の専門家なわけだし──と思うわけで。
結論から言えば、私はW3Cを(全面的でないにしろ)信頼しているし、高く評価している。もちろん、専門家云々というだけの理由ではない。
以下はW3Cについての説明と雑感。
W3Cは、主として
- HTML
- CSS
- PNG
- XML
- DOM
上記のようなWeb技術の標準化を行う団体である。
W3Cは、WWWに関連する企業、大学、研究所、個人などからなる団体であり
- マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所(MIT/LCS)
- 欧州情報処理数学研究コンソーシアム(ERCIM)
- 慶應義塾大学SFC研究所(Keio-SFC)
上記の研究機関のほか
- Microsoft
- IBM
- HP
- Sun Microsystems
- AOL
と、上記のように情報系の企業も多く参加している。
なお、日本からも多くの企業が参加しており
- NEC
- SONY
- 富士通
- 東芝
- 日立製作所
- 松下電器産業
企業に限らないが、特に目を引くのは
- NTT / NTT DoCoMo
- NHK
- トヨタ(現在はメンバから外れた模様)
といったメンバーたちだろう。(NTTやNHKには思うことがある or 言いたいことがある人も居られるだろうが、今回の趣旨に反するので取り合えず触れないでおく。)
なお、参加団体はW3Cメンバーリストに記載されているので、興味のある方は見てみるとよいかもしれない。
前置きが長くなったが、本旨に入ろう。W3Cという団体は、信頼に値する団体であるのか。──誤解を恐れずに言えば、私はW3Cという団体を信頼する反面、胡散臭い団体でもあると思っている。
W3Cとは上に挙げたように複数の団体からなる共同団体である。個々の団体や企業そのものが公共的に好ましい方法を選択するとは限らない。(陰謀説を挙げるのは気が引けるのだが、)強力なメンバーによって、ある仕様の策定に対して強い圧力がかかることは考えられなくない。──この点において、W3Cに対して一定の疑念を持つことは好ましいことであると私は思う。
なお、レンダリング制御言語として検討されていたHTML 3.0は、結局のところ策定にいたらず破綻している。このあたりにW3Cに一定の正常化作用があることが伺えることにも留意したい。
W3Cは民主的ではない。書籍『Webの創成 World Wide Webはいかにして生れどこに向かうのか』などをご覧になれば分かると思うが、W3Cはある意味、WWWの開発者であるTim Berners-Leeの理想を実現するために作られた団体である。現在も彼がW3Cのディレクターを勤めている。
一応補足しておくと、W3Cがある仕様を決める場合、ワーキングドラフトと呼ばれる草案を幾度も発表し、広く意見を求め今後の草案の参考にするという方法をとっている。W3Cが民主的でないというのは、必ずしも多数決的に決定を下す訳ではないという意である。
「技術的には正しいこと」、或いは「即効的ではないが後々のコストに直結するような正しさ」というものは、蔑ろにされる傾向がある。人は現物に弱い生き物だ。──そういう意味では、W3Cが完全民主主義に則っていないスタンスを取っていることは好ましいように思う。少なくとも、Tim Berners-Leeという人物が過去に考え出したモノに共感でき、かつ、彼が抱いているであろう思想を信じることができるのであれば、W3Cは一定の信頼に値すると思う。
また、あくまで一般論としては、W3Cには各分野での世界有数の専門家たちが参加していることも、少なからずW3Cを信用するステータスにはなると思う。これまた一般論だが、W3CにはHTML、XMLをはじめとする仕様を勧告してきた実績がある。
[追記] 書き終えてから思ったけれど、W3Cについて云々書いてるページはかなりの数がある。しかし、参加しているメンバー(特に日本企業など)について触れているページが少ないのが不思議。知っている人は知っているの類かしら。
あと、W3CメンバーがW3Cの勧告に従ってないとか、実装的にほぼ無視してるとか、訳の判らない解説を垂れ流しているとか、そういうメンバ側のアレな点を指摘されているのを余り目にしないのは、なぜだろうか。少なくとも「みくの」(謎)には過去の実績がある。
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