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Anal Cuntの日記: Calamari Union

日記 by Anal Cunt

<最近観た映画の感想文>

カラマリ・ユニオン Calamari Union (1985) フィンランド

映画「カラマリ・ユニオン」を見た。Aki Kaurismaki監督のモノクロ映像の作品。荒廃した、殺伐とした空気感。シュールでロックで狂った話。ここまで通常ではありえない支離滅裂とした非現実的な事が連続して描かれると爽快感がある。15人のフランクが現状の生活から脱出すべく理想郷 (隣町) を目指して旅をし、その途中色々な事件が起こる。たかが隣町まで移動するのにやたら必死だし、苦労してもなかなかたどり着けないのは、いったいどうしたものか。馬鹿らしくておかしな出来事に引き込まれて最後まで魅入った。これはきっと人生そのものをブラックユーモアで表現しているのだろうと勝手に解釈。仲間が死んだり、自殺未遂したり、助け合ったり、裏切ったり、挫折、絶望、希望… 生きるとは厳しいことだ。最後の最後まで諦めずに手漕ぎボートで海を渡って行こうとする無謀な行為は、どんなことがあっても諦めず突き進めということなんだろうか。場面場面に使われてるブルーズィーでジャズィーな渋い音楽が見事シーンにカッコ良くハマっていた。映像的にも退廃感や哀愁があってカッコイイ。独特の間や空気の流れが漂っててなかなかおもしろかった。まず一般受けはしないだろうけど、この監督はミニシアター系のコアな映画ファンにはかなり人気があるようだし、変わり種が好きな人には観る価値あり。

と、ここまで書いてネット上でこの映画に関して有益な情報はないかとググってみた。そしたら詳しく説明されたレビューを発見。うぅっ、そうだったのか!ここまで深いメッセージがあったとは!!この話の舞台となったヘルシンキの街のことや、フィンランドの時代背景を踏まえて見なければ意味がまったくないじゃないか!!! 浅はかだった。目から鱗が落ちた。要予備知識。

* フランクは気さくな田舎者のアメリカ人を連想させる。ペッカはフィンランドの典型的な男の名前。
* 生まれ育った「カッリオの地」を離れ、先祖から聞かされた黄金境「エイラの地」を目指す物語。カッリオはヘルシンキの下町、エイラは大使館などの多い高級住宅街。その距離は直線距離で2.5kmと地理的には近いが社会的には遠い。
* フィンランドにもヨーロッパ流の階級社会の尾ひれが一杯残っている。
* 庶民、労働者、若者たちの「連帯感」は日本では想像できないほど強い。
* 沢山のフィンランドの若者達がel Doradoを求めて、社会主義の理想郷を求めてソ連に移っていった歴史がある。
(以上レビューから抜粋)

実は物語を通してフィンランドの社会的な問題や歴史経緯など、暗くて重いテーマを皮肉ってるようだ。表面的な事柄より、ストーリーの裏に托された伝えたいことの方が重要だろう。このレビューを読まなかったら、「音楽の渋い、投げ遣りで必死で、おもしろおかしな変な映画」で終わってしまうところだった。知らないとは恐ろしい。LOPPU

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あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall

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