BAKの日記: 人の造りしもの
と,漠然としたタイトルを付けてみる.
初心者がコンピュータを触る際,つまづいてるところとして
- 操作の不統一性
例えば Windows で,ファイルをフォルダにドラッグすると,同一ドライブの時は「移動」になるのに,別ドライブだと「コピー」になってしまうようなこと - 過剰な意味づけ
コンピュータに慣れている人にとっては「どうでもいい」と思うようなところに深い意味があるように思ってしまう
というのがある. その底辺には「コンピュータは最新の科学技術の結晶であるので,何かきれいな,統一された理論で動作している」という思い込みがあるのではないかな,と思う.
が,実際は,人間が操作する部分はそういう理論の枠外で,人間の手によるものであったりする. つまり,いくら考えてもそういう「深遠なもの」というのはなく,ただ単に「作った人がそうなるように作った」というだけの話であることが多い.
話は飛んで,会社や役所の組織での事務について考えてみる. 多くの人はおそらく「これってこうやった方が効率いいんじゃないか」「これって変」とか思ったことがあると思う. この原因については
- 組織構造の問題
- 仕事の内容の変化に組織構造が対応していかない
- 旧来の組織からのしがらみと,過去の資産
- リソースの問題
というあたりが絡んでるのであろう. 人間が造ったものなので,組織構造の作り間違いはありうる. あと,造った当初はベストな組織であっても,仕事の変化に伴ってそれがベストでなくなることはある. となると「組織改革」となるわけだが,過去の組織の財産や今までの経緯から,新規に組織構造を一から造る時のようにはいかない. また,資金やオフィスとかの制限もある.
というわけで,大抵の人は「しょうがないなぁ」と思いつつ,書類を書いたり仕事してたりするわけである.
で,コンピュータ. 確かにハードウェアの根本部分は,2進法と電気回路の理論に支配された論理的な世界が広がっている. が,われわれが操作する「ウィンドウ」とか「フォルダ」とかいうあたりになると,実は確固とした理論は無い(よね.多分). 造った人が「ここをこうやったらわかりやすくて操作しやすいだろう」と考えて,設計・作成したものである.
つまり,組織と一緒で,人が基本的なポリシーを考え,それを元に造ったものなのである. 確かに部分部分では数学などの自然科学の理論に従っているところもあるが,根本的には,単に「人の考えたポリシー」の実現に過ぎない.
というわけで,コンピュータには「バグ」という名の誤りが存在する. さらに,「互換性」という名の過去とのしがらみ・過去の財産があるのも組織の例と一緒. あと,コストなどの問題で「仕方が無い」と妥協してしまった部分も存在する.
と,まぁ,コンピュータというものは,実に属人的で人間臭いものだったりするのである.
では,初心者にコンピュータについて教える時,どうすればいいのか,というところ. まずは,最初に述べた「科学技術の粋」という誤解を解くあたりかなぁ. 「人が考えて造ったもの」とわかれば,もっと気楽に向き合えるのかもしれません.
あとは,「ポリシー」の話. 造った人は,あるポリシーを持って,それに従って造ったわけで. この「ポリシー」があることを意識しながら触っていくと,理解が早まるのかもしれません.
と,適当に締めることにする.
人の造りしもの More ログイン