Brujoの日記: Crows and Kite
動物たちの行動の多くを人間は装置論的な本能や偶然という言葉
で説明しようとする。だが、彼らも我々と同様に肉体を持ち、
精神や魂を蔵している生き物だ。彼らが我々と関わり合う時にも
偶然はあり得ない。彼らの意図の元に、そうした出会いは起こる。
この谷には様々な鳥たちがいる。
フクロウは夜に深く悲哀に満ちた声で鳴く。カケスが騒がしく鳴く。
カラスは多い。しかし日によっては全く姿を見かけないときもある。
いまはヒヨドリたちがやってきてさえずっているが、トビは見あた
らなかった。先日までは。
カラスは、もっともにぎやかに私の周りを飛び回っているが、その
カラスの中に二種類あることに私は気がついていた。乾いた高い声の
カラス、そして低く深い潤いのある声のカラス。
数としては後者が少なく、よくこの谷にやってくるのは一羽だけだ。
満月の近づいたある朝、遠くその声が聞こえ、瞑想の中で私は
彼からの友情を感じた。静かにその友情に応える事を試みる。
「友達だというのならもっと近くに来い」と呼びかけてみる。
遠かったカラスの声が突如家の屋根の上で聞こえた。彼は私に応えて
家の上を旋回したのだと解った。彼からの声が聞こえた。
「外にでよ」
裏口から彼の姿を確かめた。
「おまえに新しい友達を紹介しよう」
カラスはさっと身を翻すと、悠然と飛び去った。彼が身を翻した
先にたっている電柱の上に、若いトビがとまっていた。
背中をこちらに向けていたが、首がこちらを見つめていた。
私もしばらく彼を見ていた。なかなか飛び立とうとしないその若い
トビは何かを躊躇しているように見えた。10分ほどそうしていた。
その夜、ここしばらく連絡を取っていなかった友人から電話を受ける。
悩みを抱え、私に意見と経験談を聞かせて欲しいという内容だった。
私はその日の朝に起こった出来事の意味をその時理解した。
飛び立てず躊躇していたのはその友人だったのだ。
私がすべきことがなにか、その出来事は明確に示唆していた。
それからもトビがこの谷にやってくることは、相変わらず少なかったが
今朝は半月ぶりに対面した。メッセージを持って挨拶に来たらしい。
私も彼の友情に答えた。
彼が今日何を私に示したのか、動き始めた一日の中でおそらく私は
知るだろう。
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