C0FFEEの日記： (ゲーム)CiNGが破産手続申請へ：追記あり

昨年(2009年11月12日)、DS「ラストウィンドウ 真夜中の約束」として、あるDSゲームについて発売前の期待のほどをエントリしていました。

それから結局、12月に怪獣バスターズ（モンハンパクリと言われる程モンハンじゃない良作ですよ）を買ってハマッてしまい、AGAINはスルーでラストウィンドウは買ったのですが…。
まさかこんなことになってしまってるなんて…かなりショックです。

[九州・山口倒産情報] ゲームソフト開発ほか（福岡）／(株)シング

３月１日、同社は破産手続申請の準備に入った。

福岡にある社員29名の小さなソフトハウスCiNGですが、開発作品の海外評価は高く惜しむ声が沢山届いているソフトハウスです。

CINGとは

株式会社シングは、ゲームを中心としたエンターテインメント・コンテンツをつくる会社です。

「CING」とは、多くの人々を感動させるCONTENTS（コンテンツ）をCREATION（創造）し、COMPUTER（コンピュータ）を使って、人々にCOZY（心地よい）環境を提供し続けていくCREATOR（クリエイター）をイメージした造語です。

シングにとって大切なことは「好奇心」と「挑戦する意欲」、シングは常に新しい作品を創造し続け、驚きと感動を、プレーヤーの皆様に提供することをお約束します。

2009年12月28日にGoogleにキャッシュされた社長メッセージは以下、

メッセージ

シングの2009年は2月、9月、12月と弊社が制作に関わった商品が続けて発売されました。

また、2010年は1月14日に「ラストウィンドウ　真夜中の約束」が任天堂様より発売されます。

これも皆様のご愛顧のお陰と感謝いたしております。

スタッフとの結束の中で前に進んで参りますので、一層のご支援の程お願い申し上げます。

皆様にとって、2010年が素晴らしい年でありますよう心からお祈り致します。

宮川　卓也

一見、任天堂プラットホームで開発していた小さなデベロッパーが破産するように見えますが、ごく最近まではトーセという会社の子会社でした。

Developer's Profile　第16回 株式会社シング

CiNGはトーセの子会社になっているようです。

ただし、これは2005年の情報なので内容が古いみたいです。

平成21年8月期 決算短信、15ページ目の当連結会計年度 (自平成20年９月１日 至平成21年８月31日)の所に、

（追加情報）
株式会社シングは、事業方針等の決定に対する支配関係がなくなったため、子会社には該当しなくなっております。

このように、正確には2008年8月31日以降は解消されており、親会社のトーセから回ってきていた仕事が無くなって、資金繰りが厳しくなったという感じかと思われます。

東京商工リサーチの（株）シング倒産情報(魚拓)の詳報によると、

ピークの売上高は平成２０年８月期の５億７７００万円で、任天堂ＤＳの「モンスターファーム」やＷｉｉ向け「アナザーコードＲ」などが寄与、利益も１０１５万円を計上した。
しかし、２１年８月期は２商品の開発がズレ込んだほか、世界的な不況を背景にゲームソフト需要が急激に落ち込み、売上高は２億８４１２万円に半減。損益も長期間の商品開発により諸経費負担が嵩み、１億１９００万円の赤字を計上、債務超過額は１億５９００万円に拡大していた。

…とのことで、資本関係が解消された所から悪化していますね。
商品開発の長期化による諸経費負担とありますが、親会社のバックアップがなくなったのでダメージ倍増でしょうか。

2008年9月以降の開発期間/発売日延長タイトルは3つ。
・アナザーコードR　2009年1月22日→2009年2月5日
・王様物語　2008年春→2009年9月3日
・AGAIN FBI超心理捜査官　2009年春→2009年12月10日
アナザーコードＲは任天堂タイトルであり延期した期間的にも軽微な調整でしょう。
やはり王様物語の紆余曲折が目立つ事と、AGAINの雰囲気の変更が気になります。
度重なる仕様変更に追従する体力が、親会社からの提携解消でジワジワ削られていたのでしょうね。

社運をかけた受注が取れなかった時点で、無理な延命より覚悟を決めたという感じでしょうか。
新規タイトルはそういう景気状況じゃないし、続編が提案できる作品の手駒は使い切って後がなくなったと。

シング　受注競争に敗れる

ＰＳやＤＳなどのゲーム開発業者への企画・提案を始め自社開発なども手掛けて2009年８月期には２億8,412万円の売上を計上していた。だが、昨年末連続して企画が通らず販売不振に陥っていたとされ、今年２月上旬には事業停止の方向だったと聞かれる。

元親会社だったトーセとは、普通の人は聞きなれない会社ですが、どのような所かというと。
・30年間で1680本のゲームを開発したトーセが裏方に徹する理由
・次世代亀 : トーセ。ゲーム業界の知られざる秘密。

京都には創業300年級の企業がごろごろあり、企業が長く続くことのステータスが非常に大きな意味を持つそうである。
また京都の経済界は狭く、企業を倒産させた経営者の情報はすぐさま広まり、再チャレンジがしづらい風土があるという。
そうした状況があって、会社を保持するために「メーカー」（開発と販売）になるのではなく、確実な受託開発の道を進むのだという。

…まあ確かに堅実ではあると思うのですが…「トーセの個人大株主や取締役には父や弟の名前がある」という同族経営である点も考慮すると、福岡の会社じゃなかったら違った展開があった気がします。

開発していたフランチャイズは、各販売メーカーに版権があるような感じでしょうから続編が出ないという事はないでしょうし、主要作品に関係したスタッフには声がかかるんじゃないでしょうか。

このような会社整理の動きは今年はますます増えそうな気配だとか…いやーどうなっちゃうんだろ。
積みゲーにするくらいなら買わない派だったけど、やっぱり気になったら買っていくべきなんだろうか。
でも、そうやって内容がどうであれ届く声が出ない売り上げが声が大きいけどゲームを求めていない層の声を底上げして、救いようの無い腐女子向けゲームに成り下がったゲームとかあるから笑えない…。
悩ましい。

[2010/04/06追記]
京都新聞に業績予想修正 トーセが出てました。

トーセは、１０年２月中間の業績予想（連結）を９月発表の売上高２３億３６００万円から１６億３２００万円（前年同期比４９・６％減）に、経常利益１億７千万円から２００万円（同９９・３％減）に、純損益９５００万円の黒字から１５００万円の赤字に下方修正した。ゲームソフトの開発中止やスケジュール変更などがあったため。通期予想も経常利益４億２６００万円から１億５２００万円（同６６・４％減）に、純利益２億４２００万円から３４００万円（同６５・７％減）に見直した。

元親会社のトーセも相当苦しい状況だったみたいですね。

トーセの出した業績予想の修正に関するお知らせ（PDF）によれば、

家庭用ゲームソフト業界では、各ゲームハードメーカーがゲーム機器の値下げや新型ゲーム機器の販売を実施した中、各ソフトメーカーの主力大型タイトルの販売は好調に推移したものの、全般的には前期と同様にゲームソフトの販売本数は伸び悩む傾向にあります。また、海外市場におけるゲームソフトの違法コピーの影響も残る中で、現行ゲーム機器の普及にも一服感がある上、次世代ゲーム機器への対応も含め、新旧いずれのゲーム機器にてゲームソフトを開発・販売するかを見定める時期も重なって、新タイトルの投入については各ソフトメーカーともに慎重な姿勢を崩しておりません。
(略)
当社グループでは、ゲームソフト開発事業におきまして、実行中であるプロジェクトの見直しが行なわれました。その結果、開発スケジュールの変動や中止案件が発生すること、来期以降に開発完了予定の大型タイトルの試作品に関する開発売上で、企画内容の大幅な変更に伴う取引内容の変更が発生し、売上計上時期が変動することなどから、開発売上は当初予想を大幅に下回る見込みです。
(略)
前述の事業環境の変化を受けて、引き続きゲームソフト開発事業におきましては、売上計上が来期以降になる開発スケジュールの変更や中止案件が発生する見込みです。特に、下期はゲーム機器の世代交代を原因とした端境期にあたると考えられ、次世代ゲーム機器を視野に入れた開発プロジェクトの見直しに伴い、開発完了時期の変動が発生する見込みです。その結果、売上計上時期が来期以降に変更される案件が複数発生すると見込んでおります。また、モバイル・インターネット開発事業におきましても、当初スマートフォン向けに開発を計画していた案件が家庭用ゲーム機器のネットワーク配信対応に変更するなど、プロジェクトの見直しによる開発完了時期の変更や中止案件が発生する見込みです。さらに、上期において不採算サイトの閉鎖・統合が発生したことに伴い、運営サイト数が減少する見込みです。これらの結果、全体の開発売上、運営売上が当初予想を下回ることから、全体の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益ともに当初予想を下回る見込みです。しかしながら、当社グループといたしましては、次世代ゲーム機器に関する取り組みを積極的に行うことで、顧客である各ソフトメーカーからの信頼をより一層強固にしていく予定です。また、モバイル・インターネット業界における市場の変化はこれまでにない大きなものでありますが、ユーザの分布の変化を的確に捉え、コンテンツ開発に取り組むハードの選択または配分を適正に行い、市場環境の変化に伴い発生する新たなビジネスチャンスを積極的に取り込んでまいります。

トーセのような丸投げ案件上等の便利屋が儲からなくなっているということは、業界が楽観的に企画を進められない状況を如実に示すと思います。
ギリギリの資金繰りで維持していた所などは、受注が停滞すると債権者や株主の目が厳しくなってくるのではないでしょうか。
6月のE3で3DS、PSP2他が発表されれば再び盛り上がってくると思いたいところです。

（業界関連）
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