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日記

ChaldeaGeckoの日記: J.G.バラード「太陽の帝国」

日記 by ChaldeaGecko

冗長だし間違いもあったので、アマゾンカスタマーレビューからコピペしましたわ。

「翻訳とは言い換えれば"徹底的に読む"作業であり」(訳者あとがき)
バラードの原文は徹底的に誤読させるつくりになっていて、山田和子氏はコロッとひっかかってますわ。常識的なことが書いてある文章が、幻想的、ってゆっかトンデモのデタラメ訳になってますの。💛は文法的なひっかけで、とくに面白みがあり、バラードがどういう作家か、ここを見るだけでわかりますわ。

Wars came early to Shanghai, overtaking each other like the tides that raced up the Yangtze and returned to this gaudy city all the coffins cast adrift from the funeral piers of the Chinese Bund.

戦争の波が早くも上海に押し寄せていた。揚子江を勢いよく遡る上げ潮が、葬送桟橋から投じられた中国人たちの棺をすべて外灘に再び押し戻してくるように、戦争の波は互いに競い合いながら次々とこのけばけばしい都市に到来した。

山田氏はcityを「都市」としてしまったので、Warsは日中戦争だとしかいえなくなりましたわ。文も意味深な無意味ですの。これは太平洋戦争の話なので、cityは都市ではなく「大聖堂のある町」すなわち租界のことですわ。1941年12月8日の真珠湾攻撃と同時に、上海の租界にも日本軍が侵攻して、バンドにあった租界の葬送桟橋からいままで流した英国人の死体がぜんぶ戻ってきた(くらいの人が一度に死んだ)という意味ですの。英国人は故国に帰れるよう流すのですわ!中国人は埋めるの!

Jim had begun to dream of wars.

ジムは戦争の夢を見るようになった。

山田氏が時制を変えたため、Warsが夢を見る引き金になったとしか読めませんわ。第一次上海事変が1932年、第二次が1937年ですが、いったいいつの話なのかしら?

夜になると、同じサイレントのフィルムが繰り返し、安和寺道(アマースト・アベニュー)の家の寝室の壁にちらついているようにも思え、眠りに落ちていくジムの頭の中を無人のニュース映画劇場に変えた。

この文だけは問題ありませんわ。スペースの都合で書かなかった分も、ぜぇんぶ問題アリですの。

During the winter of 1941 everyone in Shanghai was showing war films.

一九四一年の冬、上海では誰もが戦争映画を見ていた。

なぜか「見ていた」ですが、日本占領下の上海のだれもかれもが自前で映画を映すのは非現実的な光景ですわ(映写機やフィルムは日本軍がくれるのかしら)。これも戦争の夢の比喩で、「人々の姿が戦争映画がさながらだった」という二重の意味もありますの。第一章は冬の「前」の話ですが、この文だけ冬の「あいだ」ですわ。上海市と租界も区別してないし、山田氏はホント能なしですわ。

Fragments of his dream followed Jim around the city; in the foyers of department stores and hotels the images of Dunkirk and Tobruk, Barbarossa and the Rape of Nanking sprang loose from his crowded head.

夢の断片は街なかでもジムにつきまとい、デパートやホテルのロビーでは、戦争映画でいっぱいのジムの頭の中から解き放たれたかのように、ダンケルクやトブルクやバルバロッサや南京虐殺の映像が流されていた。
「~かのように~流されていた」と、実際に映画を映していたことが確定してますけど、映画は明るいところでは映せませんの。ジムくんの戦争の夢がフラッシュバックしたという意味ですわ。cityも租界のことですの。

To Jim's dismay, even the Dean of Shanghai Cathedral had equipped himself with an antique projector.

驚いたのは、上海大聖堂の主席司祭までもが古い映写機を持っていたことだった。

山田訳には「実際に映画を映す」という文脈があるため、司祭が本物の映写機を手に入れて、教会が自主的に子供に戦争の映画を見せていた、と解釈せざるをえませんが、これも戦争の夢の比喩ですわ。「古くてホンモノの映写機を、自分自身に備えつけた」のだから、第一次世界大戦で従軍司祭に志願したと考えられますの。

Still wearing their cassocks, they sat in a row of deck-chairs requisitioned from the Shanghai Yacht Club and watched a year-old 'March of Time'.

カソック姿のまま、一列に並べられたデッキチェア--上海ヨットクラブから徴用したものだ--に座った少年たちの前で、一年前のアメリカのニュース映画シリーズ『マーチ・オブ・タイム』が始まった。

徴用するというのは「権力が取り上げる」ことですが、「上海ヨットクラブから徴用したものだ」では教会権力が取り上げたようにしか読めませんわ。子供に「一年も前のニュース」を見せていたのも異様です(この先に書いてあります)が、それも訳せてませんの。

Thinking of his unsettled dreams, and puzzled by their missing sound-track, Jim tugged at his ruffed collar. The organ voluntary drummed like a headache through the cement roof and the screen trembled with the familiar images of tank battles and aerial dogfights.

心騒がせる夜ごとの夢のことを考え、夢の画面にサウンドトラックがついていないのはどうしてだろうと思いながら、ジムはカソックの襞襟を引っ張った。セメントの天井を通して響いてくるオルガン演奏が頭痛に似たリズムで頭を叩きつける中、震えるスクリーンに映し出される戦車戦と空中戦のシーンは、ジムにはもうすっかりお馴染みのものばかりだった。

his unsettled dreamsというのは、フラッシュバックするジムくんの夢のことですわ。settleされていないから勝手に飛び出るんですの。💛(The organ voluntary drummed like a headache through the cement roof and the screen) trembled with the familiar images of tank battles and aerial dogfightsと読み、オルガン独奏がtrembleして戦闘の映像にBGMをつけたという意味ですわ。山田氏は雑に集会室としていますが、聖具室を接収してセメントで固めて防空壕にしてあり、壁に直に映画を映して、オルガンが漏れ聞こえてますの。ジムくんは荘厳なBGMつきの戦争映画を見て、頭がズキズキして息苦しくなって襟を引っ張ったのですわ(これも先に書いてありますの)。「夢のやつには音楽なんてついてないのに」というカンジですの。

There would be the drive through the Japanese lines to Hungjao,

まずは、ロックウェル邸がある虹橋(ホンチャオ)まで日本軍の駐留地域を抜けていくドライブがある。

開戦直前ですのよ?ありえなーい!共同租界の日本人地区との境界線にそって、という意味ですわ。

The dances and garden parties, the countless botlles of Scotch consumed in aid of the war effort (like all children, Jim was intrigued by alcohol but vaguely disapproved of it) had soon produced enough money to buy a Spitfire - probably one of those, Jim speculated, that had been shot down on the first flight, the pilot fainting in the reek of Johnnie Walker.

ダンス会やガーデンパーティで戦争活動支援の一環として消費される大量のスコッチは(すべての子供がそうであるように、ジムもアルコールに興味をそそられていたが、そこにはどことなく後ろめたい気持ちが伴っていた)、あっという間にスピットファイアを一機買えるだけの資金を生み出した。初飛行で撃墜されたスピットファイアのうちの一機はたぶん、パイロットがジョニー・ウォーカーの強烈な臭いで気絶してしまったからだ。ジムはそう思っていた。

💛(The (dances and garden) parties, the countless bottles of Scotch consumed) in the aid of the war effortと読みますの。戦闘機一機分(一億円)がたまったのは、租界の金持ちが戦争支援の名目で楽しくパーティを開いたり、酒を飲んだりするたびに、競って戦争基金に寄付していたからですわ。ほんのスコッチの利益を集めても、何十万本分も必要ですの。想到他們被送到集中營是愉快的!💛Jim speculated, that (the pilot fainting in the reek of Johnnie Walker) had been shot down on the first flightと転置法になっていますの。泥酔したパイロットが搭乗を降ろされた(shot down=rejected)んじゃないか、という意味ですわ。子供のジムが、酒臭い息をジョニー・ウォーカーの匂いだと思ってますの。これはパーティの客がみな泥酔していることの表現ですわ。a Spitfire - probably one of thoseは、スピットファイアのたくさんある形式のどれかなら、という意味ですわ。ジムが酒を飲もうとするのをメイドさんが「ぼっちゃま、それよりもこちらのジュースのほうが美味しゅうございますわ♡」とやんわり止めますのよ。中国人のおばちゃんだけどな!まさに外道
💛のどちらも、山田訳は文法間違いですわ。自分が考えた内容にあわせて作文してますわね。

ここまででやっと最初の1ページですわぁ♡
山田和子さんは戦時の具体的なイメージをなにもお持ちでなくて、かわりに幻想で補ってますわ。いったいバラードのどこが気に入ったのかしら。鏡に映った自分の姿を見ておられるのだわ。

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