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日記

ChaldeaGeckoの日記: 論理療法の問題点

日記 by ChaldeaGecko

論理療法認知行動療法のもとになっていて

理論
心理的な問題や生理的な反応は、出来事そのものではなく出来事の受け取り方によって生み出されるものであり、非合理的な受け取り方から合理的な受け取り方に変えれば、そうした反応は弱くなるかなくなるという理論である[6]。それはABC理論とイラショナル・ビリーフに集約される。

ABC理論
A:Activating event(出来事)
B:Belief(信念、固定観念)
C:Consequence(結果)
出来事(A)があって結果(C)があるのではなく、間に信念体系(B)による解釈をはさんで、結果(C)である、感情や行動の反応、すなわち、不安や怒り、不適応な行動が生じる[6]。しかし、人は原因はBではなくAであると信じているので、あきらめてしまいがちである[6]。しかし、受け止め方に含まれている非論理的な信念をイラショナル・ビリーフと呼び、それが論理的に非合理的であることを理解して粉砕することを目的とする[6]。このような過程が論駁(D)である。

D:Dispute(論駁)
E:Effect(効果)
ABCD理論と呼ぶこともある[7]。

イラショナル・ビリーフ
イラショナル・ビリーフ(非合理的な信念)は「~ねばならない、~すべきである」という信念から起こっており、これが人々を情緒的に混乱させている[8]。

情緒的に混乱し、不安や落ち込み、怒りなどがあるときには、自分は非科学的に思考していることが仮定できる[9]。たとえば、イラショナル・ビリーフは以下のような特徴がある[10]。

事実に基づいていない 「親切にしたら必ず返ってくる」「試験に不合格ならホームレスになってしまう」
柔軟的ではない/論理的ではない 「ここで失敗したら、一生うまくいかない」
証明できない 「常に一番にならなければならない」
幸せな結果をもたらさない 「怒りに怒りで返す」
ラショナルビリーフ(合理的信念)は、確実性ではなく確率に基づいた[11]、「~にこしたことはない」という考えである[6]。イラショナル・ビリーフを論駁するために、そこに根拠がないこと、ラショナル・ビリーフなどとの違いを比較し、合理的な思考が使用できるようにしていく[12]。

こんな感じ。

これの問題点は、たとえば、「親切にしたら必ず返ってくる」という信念は事実ではないが、そういう信念が持ち主を親切な人間にしているのは事実です。その人が「自分はこんなに他人に親切にしているのに、ちっとも返ってこない」ということに苦しんでいるなら、論理療法では「親切は返ってこない」という、確率的に確からしい信念で置き換えることになります。しかしそうすると、もしその人が「世の中はギブアンドテイク」という信念を持っていれば、「親切なんてしても意味がない」という、別の誤った信念を持ち、「苦しみは去ったが、不親切な人間になった」ということになりかねません。
※「親切は返ってくるにこしたことはない」は真理値を持たないため、信念にはなりえません。

望ましい解決は「親切にしたら必ず返ってくる」「親切は返ってこない」という、矛盾した信念を同時に持ち、かつ「親切が返ってこなくても気にしない」という態度をとることです。しかしこれは論理療法や認知行動療法では達成できない。この、矛盾した信念を持つことが人間性の根幹にあることを文学は明らかにしています。「努力は報われないことのほうがずっと多い」というのは、みんなが知る事実ですが、「努力はかならず報われる」と思わなければ、努力する気も起きないのも事実です。しかし、運よく努力が報われた場合に「運がよかった」ではなく「努力は必ず報われる」と思ってしまうと、薄っぺらな人間になってしまいます。

治療により「薄っぺらだが、合理的」な人間になれたらまだマシですが、人間はそもそも合理性を持たないことを近年の心理学が明らかにしています。強烈なバイアスの元にある、その場限りの合目的性、しかもたがいに矛盾するものが競い合っているのが人間の心です。たとえばユニセフが募金しろと脅してくると、ちょっと罪悪感を感じますが、アグネスの下品な豪邸を思い出せば、突っぱねることができます。この合目的性と合理性の取り違えが、不幸の始まりなのです。

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UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

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