パスワードを忘れた? アカウント作成
587542 journal

Francisの日記: ミステリを買ったらミステリがついてきた

日記 by Francis

#ネタバレしていないつもりですが未読の方は第2段落以降読まないほうがいいと思われます。
#どうでもいいがミステリとミステリーとミステリィの使い分けがわからんです

ブックオフで宮部みゆきの「人質カノン」を買った。文春文庫である。
ところが難読漢字に鉛筆書きでルビが振ってある。うあぁ。
明らかにシャープペンシルではない。ちょっときたなめの字だが小さい子とも思われない。ときどきルビが間違っているので辞書を引いて書いたのでもないらしい。一つのルビの中で平仮名と片仮名が混在していたりする。

なんだかミステリを感じるなあ。なんかの暗号だったりして。
そうでなくても、小さいのに背伸びして宮部みゆきを読みたがる妹に、あんまり頭の良くない兄さんがわからないと言い出せずに無理して書いてあげたルビとかだと萌える。
まあ辞書を引いていない以上、関係のある二人が同時期にこの本を読んだわけだ。

謎はもう一つ。2箇所に付箋が貼ってあるのだ。「過ぎたこと」という短編の台詞部分である。
探偵を、いじめられている少年が訪ねてくる所に始まる短編の、謎とき部分。
206ページの最後の台詞と208ページの最初の行の中間部分だ。

ここが心に響いたのか――?
この何でもない台詞が響いたとしたら、その子はいじめられた、もしくはいじめに遭遇した経験があるのではないか。

付箋の所をよく読めば、「いじめの解消に力不足だった」事態によって心にトゲが刺さっていなければ、ただの謎解きに過ぎない内容だ。
いじめられた当人よりも相談を持ちかけられた周囲の人間により強く響くメッセージである。ふむふむ。

何も書いていない無地の付箋に込められた魔力というのは「注意喚起」である。
ルビの記述者がルビの記述依頼者に。もしくはその逆に。もしくは自分自身に。
ここで、付箋の前後でのルビの出現頻度をさらっと見返すと、付箋の後ではルビの頻度が減っているように思える。そして短編小説「過ぎたこと」の中には鉛筆書きのルビは存在しない。

記述依頼者は記述者に、この部分を読んでもらいたかったのではないか。
漢字がわからない、とルビの記述をねだることで、記述者に強制的に読ませることができる。
「いつまでも気に病まないで」と、記述者の心の傷に届けたかったのではないか。その優しさはきっと通じたことだろう。
記述依頼者がいじめられた当人なのかもしれない。
その場合コレは「わたしはもうだいじょうぶ」というメッセージなのだ。

私は上記のように勝手に解釈し、新品の本では味わえなかった物語を手に入れたのだった。
#そういう思い出の本売るわけないじゃんとかいうな。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds

読み込み中...