アラブ首長国連邦（UAE）のアブダビ国立銀行が、仮想通貨技術の『Ripple』を統合した国際送金システムを稼働したと複数のメディアが報じた。（Ripple総合まとめ、ロイター）

Rippleはビットコイン技術を応用した即時グロス決済システムおよび外国為替・送金ネットワークであり、米リップル社により開発されている。RippleのコアはRipple Consensus Ledger（RCL）と呼ばれる分散型台帳で、FXのような為替システムと海外送金システムを統合することができる。こうした功績から、リップル社は世界経済フォーラムでテクノロジパイオニア賞を受賞している（「Technology Pioneer 2015」動画）。

情報元によれば、今回、アブダビ国立銀行が国際送金システムに統合したのも、このリップル社が開発する Ripple Consensus Ledger（以下RCL）ということだ。リップル社はRCLを利用して国際送金を実現するために『Ripple Connect』というコンポーネントを利用する。このRipple Connectにはインターレジャープロトコル（ILP）と呼ばれるインターネット決済プロトコルが統合されており、ワールドワイド・ウェブ・コンソーシアム（W3C）によって標準化作業が進められている。ILPはRippleの技術から派生したプロトコルで、その開発もリップル社が中心となって行っている。インターレジャーは『価値のインターネット』とも呼ばれ、このネットワークで世界中の金融機関や決済システムの台帳が結ばれる予定だ。これが完成すれば現在、情報がインターネット上で相互にやりとりされているのと同様に、通貨や証券、株式などの価値が統一されたプロトコルで交換可能になる。

これらの技術を採用したアブダビ国立銀行は、アラブ首長国連邦で最大の時価総額を誇る国営銀行だ。国営銀行が国際送金システムにRippleを統合して稼働させるのはこれが初めてであるが、現時点でみずほフィナンシャルグループ、りそな銀行などの邦銀43行を含む世界各国の大手金融機関がRippleの採用を表明している。Rippleは内部にXRPと呼ばれる中間通貨がプログラムされており、ビットコインなどの仮想通貨と同様に市場での取引が開始されている。この中間通貨を利用することで、クロスボーダー決済がよりスムーズになるというのが開発元のリップル社の主張だ。（Ripple総合まとめ）

英国王立造幣局が仮想通貨技術を用いたデジタルゴールドを発行することがわかった。（Ripple総合まとめ） 英国王立造幣局は Her Majesty’s Treasury（女王陛下の大蔵省）によって所有されるイギリスの硬貨の製造・造幣を許された機関で、その起源は1100年以上前にさかのぼり、イングランド王国さらにはグレート・ブリテン王国の硬貨を製造してきた。

情報元によれば、英国王立造幣局は商品先物取引所及び金融先物取引所のシカゴ・マーカンタイル取引所を運営するCMEグループと提携し、Royal Mint Gold（RMG）と呼ばれるデジタルゴールドのデリバティブ市場を構築するという。