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Iguchi_Yの日記: 今年も対策を採らなかった長野県辰野町の移入ホタル

日記 by Iguchi_Y

長野県辰野町では,県外から観光用に移入したゲンジボタルで地元のゲンジボタルが絶滅してしまいました。
http://www.ab.auone-net.jp/~biology/Tatsuno.htm

これは辰野はもちろん,近隣地域にもゲンジボタルが当時生息していたにもかかわらず,それらを採集して増やすのは大変だから(辰野町誌の記述)という安易な理由で県外から移入した結果,こうなってしまったのです。

移入自体は過去のことだから仕方ないとしても,その拡散が今では問題となっています。

ところが町役場は,私や福井工大の草桶教授らが,何度申し入れても移入ホタルの拡散軽減,在来ホタルの保護の対策を採ろうとしません。

それどころか,役場に移入ホタルの影響調査をしたいと言ったら,「学会で結果発表するのは勝手だが,マスコミに話すなら調査を認めない」と言われる始末です。

一昨年(2008),この問題の第一報が朝日新聞・長野面に載りました。

すると後日,役場庁舎内で,ホタル保護担当のH課長補佐から,なんで新聞社に言うんだ,と私は怒鳴られたのです。
ちょうど,生物多様性基本法が成立した時期でもあります。

今なお,観光優先,生態系無視の公共事業しかできない自治体の姿がここにあります。

私たちは,移入ホタルを駆除しろとか,使うなと言ってるのではありません。

周辺の在来ホタルへの影響を抑えるような方策を皆で一緒に検討しましょう,と言ってるのに無視されているのです。

その最大理由は,移入したことを隠して,地元のホタルを保護し増やしたかのように宣伝して観光に利用してきたからです。

辰野町を訪れた昆虫写真家・ 海野和男氏に対しても,役場は「ここで見られるホタルは全てここで育ったもの」と説明
http://eco.goo.ne.jp/nature/unno/diary/200310/1065185947.html
海野氏は「確かにこの環境なら放流の必要など全くないだろう」と感心したが,実は見事にだまされたという感じです。

また,卒論で辰野の蛍保護を調べた滋賀県大の学生にも移入の事実を伝えませんでした。結局,卒論を書き上げ,ネットで公開後,指摘を受けた指導教授が追加コメント書くはめになったのです。 
http://laboratoryofbiology.blogspot.com/2010/10/blog-post_09.html

この移入地,松尾峡は,県天然記念物指定のホタル発生地でしたが,それにも関わらず県外から移入したのです。
ホタルだけでなく,カワニナも県外から移入です。

一昨年,辰野町役場は,長野県自然保護課の塩入課長から
「ホタルが町おこし役立っているのは事実だが,生物多様性にも配慮を」
という指摘を受けましたが,それを町民にも知らせず,現在なおその指摘に応じていません。

近年も,さらに3倍に増やす計画で,東京板橋のホタル飼育施設にホタルとカワニナの供給をお願いに行った役場管理職がいました。しかし,施設の阿部宣男氏に,ホタル移入は問題があると,きっぱり断られたとのことです。当然です。全く情けない話です。

最近では,ここで,カワニナとともに,有害外来種の巻貝コモチカワツボが生息しているとの報告が,11月10日に長野県庁で開かれた「生物多様性長野県戦略策定委員会」でなされました。

しかし町は,この件も沈黙したままです。

役場のホタル担当のH課長補佐は,「観光客は,移入だろうが在来だろうが,区別してないから」と言い放つ始末です。

また移入地近くの観光用駐車場や遊戯施設は,観光の役に立たないヘイケボタル生息地をつぶして建設されたものです。
http://laboratoryofbiology.blogspot.com/2010/10/blog-post_22.html
http://laboratoryofbiology.blogspot.com/2010/10/blog-post_31.html

このような駐車場に1000円,さらにホタル保護育成協力金と称して,移入養殖ゲンジに300円払って鑑賞しているのです。
皆さん,ご存知だったでしょうか?

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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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