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日記

Kyoutarou.Nekoの日記: ネットワークの中の律子さん(その32) 6

日記 by Kyoutarou.Neko

その32
私、田村律子は新年度からドクタに上がった。変わったことといえば色んな研究のための会合に出席することと、日本国内でやる国際会議に参加しなければならないことだ。4月に京都であったProfesには参加してきた(京太郎は来なかったけど)。初めての国際会議だったが、英語が聞き取れないのでよくわからなかった。不思議な点としては、なんであんなにミネラルウォータが置いてあるかってことだ。外国人は好き勝手に飲んでいたが私はよく分からなかったから手をつけなかった。三日目の夕方にあった伝統芸能の狂言が印象的だった。

研究は元々教官の指示ではなく一人でやっていた。京太郎同様、国際会議の論文の直しがあるけど。そしてちょっと大きな規模のプログラムを書かなければいけなくなって4年生が下に二人付いた。コアの部分を私が、誰でもできそうな部分だけを4年生に任せる。ドクタとなればプロジェクトマネジメント能力を問われる。できない4年でもできる4年に変えなければいけない。

「律子さん、そろそろ夕飯行きません?〇の屋に。残っている後輩もつれて」京太郎が提案してきた。
「あー、もうそんな時間か、いいよ行こう」

!!!Hello,World???

あたし、五十嵐雲雀は常々思ってた、京太郎さんと律子さんがどんな会話をしているか。それを理解するのが京太郎さんを口説き落とす一手になるんではないかと。今も京太郎さんと律子さんは話をしている。京太郎さんの左隣があいていたのでそこに行き会話を聞いてみた。

二人の会話を聞いてみたら専門過ぎてさっぱりだ。メタ情報だのシソーラスだのいわれても分からない。少なくとも授業では習っていない。知らない用語を織り交ぜて会話している。嗚呼、これが学部生と院生の違いか。

〇の屋についてテーブル席に座り注文し終えたあと、ちょっと京太郎さんと律子さんの会話が途切れたから京太郎さんと話したくて話題を振った。
「京太郎さんWinnyの開発者が京都府警に捕まったことはどう思いますか?」
「んー、東大の助手だったよね。マルウエアを開発したってわけでもないのに捕まったのは残念だね。WinMXの作者とNapsterの作者は捕まってないわけだし。うちの学科でもマルウエアでなくても違法性が問われるものは作れないってことだもんねえ」
気をつけなくちゃ、と京太郎さんは付け加えた。
「モラルの問題ですものね」
「まあ、そうだね。でも法的根拠はあるのかな?あいまいだね」
そう話していたら注文していた料理が運び込まれてきた。京太郎さんと律子さんの会話にあたしは口を挟めない。

エピローグ 
〇の屋の帰り。京太郎さんは律子さんと専門的な会話に終始している。あたしはこれを見て、京太郎さんはゆっくり口説こうと決意するのでした。あたしもマスタに上がるつもりだし、京太郎さんはその間、研究室にいるんだしね。
その32終わり
第11話終わり

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皆さんもソースを読むときに、行と行の間を読むような気持ちで見てほしい -- あるハッカー

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