パスワードを忘れた? アカウント作成
14101144 journal
日記

Ledの日記: 「銃・病原菌・鉄」でQWERTY 4

日記 by Led

最近世界史に興味を持っていろいろ読んでいるのだが、ジャレド・ダイアモンド著 倉骨彰訳「銃・病原菌・鉄」でQWERTY配列に関する話を見つけたのでメモ。

以下は下巻60ページに書かれている一節。

一八七三年に開発されたQWERTY配列は、非工学的設計の結晶なのである。このキーボードは、さまざまな細工を施し、タイプのスピードを上げられないようにしている。頻出度の高い文字を(右利きのタイピストに、力の弱い左手をあえて使わせるために)キーボードの左側に集中させ、しかも、上中下の三列に分散させている。こうした非生産的な工夫がなぜ施されたかというと、当時のタイプライターは、隣接キーをつづけざまに打つと、キーがからまってしまったからである。そこでタイプライターの製造業者は、タイピストの指の動きを遅くしなければならなかった。しかし一九三二年には、技術的問題が解決され、効率的配列のキーボードが開発され、試用者によって速度は二倍、使いやすさも九五パーセント向上することが示された。

日頃スラドでおなじみのyasuoka先生が真っ向から否定している説を採用しているようだ。当時のタイプライターの機構まで調べたソース画像を提示してあって(ここの下にぶら下がってる議論)、この画像を見ればキーとタイプバーの配置が独立というyasuoka先生説が説得力がある。

というわけで、「銃・病原菌・鉄」に書いてあること全てが正しいというわけではなさそうだ。そもそも参考文献ついてないし。それにしてもなぜQWERTYの対抗馬をDVORAKと明言しなかったのか、など疑問は残る。ちょっとググればわかるわけだが。

-----

読み終わったので追記。QWERTYのエピソードはお気に入りだったらしく、最後にもう一回出てきた時にDVORAKの配列名も言及された。

細かい事実認定には誤りもあるかもしれないが、全体としては説得力を感じさせる論旨で大変面白かった。できるだけ豊かな多様性に恵まれた上で、そこから一番都合の良いものを選び取れた集団が優位を獲得してきたのが世界史という、そういう話と理解した。

この議論は、Led (7726)によって ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
  • by yasuoka (21275) on 2020年02月02日 0時50分 (#3754653) 日記

    あ、どうも、リンクありがとうございます。実はジャレド・ダイアモンドは、この『Guns, Germs, and Steel』と同時期に、Discover誌1997年4月号で『The Curse of QWERTY』という小文を書いてまして、まあ、こっちもガセネタだらけなのです。13年ほど前に英語でツッコんでおいた [blogspot.com]ので、よければごらん下さい。

  • by ChaldeaGecko (48775) on 2020年02月02日 0時29分 (#3754646) 日記

    いわゆるソーカル本ですが、これと同じように、専門外の人が安易に比喩に用いて間違えたものをソーカルたちが鬼の首を取ったように触れ回りました。
    一般的に、本質的な比喩なのか否か、本筋に影響があるか否かを専門外の人が見極めるのは難しいですよ。
    バリバリの理系の〇ビが言ってるんだから間違いないルン。

    • コメントありがとうございます。「銃・病原菌・鉄」は様々な分野にわたる話題について「総括するとこういうことだろ?」と書いている感じなので、各分野でのそれぞれの話題は俗説に引っ張られたりすることもあるのかなという、QWERTYの話はそういう例だと思いました。特に詳細な部分についてはその道の専門家でないと真偽判定は難しそうということには同意いたします。

      --
      Something really matters.
      親コメント
typodupeerror

アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い

読み込み中...