Lupinoidの日記: [Wikipedia]はともかく、『極限推理コロシアム』
日記 by
Lupinoid
[[メフィスト賞]]受賞作には何故か、現実味を喪失した、少なくとも非日的常な閉鎖世界で展開される「館もの」・「吹雪の山荘もの」といったジャンルに属するものが多い。千葉の富豪氷室流侃の住む屋敷の1階とそっくりな間取りで、しかし出入り口も窓も階段もない「二重館」で連続殺人が起きる『ドッペルゲンガー宮』([[霧舎巧]])。赤神イリアの所有する鴉の濡れ羽島に招かれた「天才」たちが殺される事件を描いた『クビキリサイクル』([[西尾維新]])。同賞第30回受賞作品である 『極限推理コロシアム』 (矢野龍王)により、このような歴史に新たな1ページが追加された。
注意: Lupinoidの日記にはネタバレがあります
最近の小説としては珍しく、章立ても節番号もない。このため、「きりの良いところで一区切り」ということが少々難しいかもしれないが、文章は読み易く総頁数も300程であるため一気に読み切ってしまうことも可能だろう。
いずことも知れぬ部屋で目覚めた主人公駒形は、自分が謎の建物(後に「夏の館」と呼ばれることになる)内に閉じこれら……もとい、閉じ込められていることを知る。ドアに付いているささやかな覗き窓の外は、コンゴウインコが舞う深い森。(今は一月だというのに。ここは日本ではないのか?)夏の館には、同じ境遇-何者かに拉致されてきた-に置かれた男女合わせて七人の人間が集められていた。
間もなく、正体不明の主催者により、彼らをプレイヤーとする恐ろしい推理ゲームの開始が宣言され、ルールが説明される。主人公たちと同様に七人の男女が集められている雪に覆われた「冬の館」の存在が明かされ、これから「夏」「冬」二つの館で発生するはずの連続殺人の犯人二人を探偵役として推理することを要求されたのである。無論、被害者もプレイヤーたちの中から選ばれるのだ。
主人公たちがプレイヤーとしての勝利、すなわち自由と賞金を獲得するための唯一の条件は、二人の犯人役を同時に指名すること。解答権を行使できるチャンスは1回限りで、しかも「冬の館」のプレイヤーよりも先に正解に辿り着かねばならないという過酷なものだった。はたして、その夜双方の館で最初の犠牲者が出た……
著者は『ニコリ』等でパズル出題者として知られた人物とのこと。なるほど、クライマックスで解決されるゲームの謎はいかにもパズル的なものであり、このアイディアを小説化してみたくなったという気持ちはわからぬでもない。しかし、ミステリとして読者に満足感を与えられる小説になったかというと疑問が残る。
注意: Lupinoidの日記にはネタバレがあります
最近の小説としては珍しく、章立ても節番号もない。このため、「きりの良いところで一区切り」ということが少々難しいかもしれないが、文章は読み易く総頁数も300程であるため一気に読み切ってしまうことも可能だろう。
いずことも知れぬ部屋で目覚めた主人公駒形は、自分が謎の建物(後に「夏の館」と呼ばれることになる)内に閉じこれら……もとい、閉じ込められていることを知る。ドアに付いているささやかな覗き窓の外は、コンゴウインコが舞う深い森。(今は一月だというのに。ここは日本ではないのか?)夏の館には、同じ境遇-何者かに拉致されてきた-に置かれた男女合わせて七人の人間が集められていた。
間もなく、正体不明の主催者により、彼らをプレイヤーとする恐ろしい推理ゲームの開始が宣言され、ルールが説明される。主人公たちと同様に七人の男女が集められている雪に覆われた「冬の館」の存在が明かされ、これから「夏」「冬」二つの館で発生するはずの連続殺人の犯人二人を探偵役として推理することを要求されたのである。無論、被害者もプレイヤーたちの中から選ばれるのだ。
主人公たちがプレイヤーとしての勝利、すなわち自由と賞金を獲得するための唯一の条件は、二人の犯人役を同時に指名すること。解答権を行使できるチャンスは1回限りで、しかも「冬の館」のプレイヤーよりも先に正解に辿り着かねばならないという過酷なものだった。はたして、その夜双方の館で最初の犠牲者が出た……
著者は『ニコリ』等でパズル出題者として知られた人物とのこと。なるほど、クライマックスで解決されるゲームの謎はいかにもパズル的なものであり、このアイディアを小説化してみたくなったという気持ちはわからぬでもない。しかし、ミステリとして読者に満足感を与えられる小説になったかというと疑問が残る。
- “フーダニット”として - 犯人と指定するための根拠は、○○○○時点で生き残っていた人物の中からヒントの条件と○○○○と推測される人物を勘案して消去法的に求められたものであり、いまいち論理的なサプライズに欠ける。何より、結果的に○○○○ため、肩すかしを喰らったような気分を味わうことになる(これがアイディアの根幹なのだろうが)。
- “ホワイダニット”として - 「犯人役を割り当てられたから」という理由が最初から示されており、「意外な動機」等の要素が入り込む余地はない。
作中では示されていないが、犯人達は元々主催者側により送り込まれた人物だったのだろうか? それとも他のメンバー達と同様に館で目覚めてから、密かに「犯人役を担当すること、およびその勝利条件(や犯人が利用できる道具や仕掛け)」を明かされたものだったのであろうか? 前者であれば、クライマックスで○○○○のが解せない。後者だったとすると、手際が良すぎるし、躊躇や葛藤なく(?)殺人に手を染めるような人物だったということになり、都合が良すぎる(主催者がそのような人選を行ったということなのだろうが)。 - “ハウダニット”として - 「夏の館」の事件に限れば、第2の殺人の時点で個室の抜け穴の存在が明らかにされ、不可能犯罪への興味で引っ張ることはできない。第3の殺人では○○○○おり、○○○○の出番かと思ったがさにあらず、何故このような展開にしたのか理解に苦しむ(次作の伏線だったりして……そんなことはないか)。
読者には、ストーリー中ではプレイヤーたちにも明確には知り得ない情報が提示されているため、両方のプレイヤーに与えられたヒントを注意深く考慮すれば真相に到達できるチャンスがある。もう一つ発想の飛躍が必要だが、類似[[トリック]]を使用した先行作品もある(それも○○○○に)ため、腐ったミステリマニアにとっては容易なことだろう。
ゲームが終わった後、コロシアムでの出来事の記憶を留めているのもまた読者だけとなる。何らかの手段で短期記憶を奪われ現実世界に戻された駒形が、手元に残された大金を訝しみつつ河原で物思いに耽っていると、偶然「彼女」と再会することになる。だが、死と隣り合わせの状況で想いが触れあったはずの二人は、もはや相手が何者か明確に認識することができず、もどかしさを残して物語は幕を閉じる。二人の運命が再び交錯するときは来るのだろうか……
ラストの一行では次のコロシアムの存在が示唆されるが、この作品の(生還した)キャラクターではシリーズを支える力に欠けよう。連続出演となるのは謎の主催者だけなのだろうか?
# ドラマ化……って関西ローカルかよ!
# この娘は篠崎役ということだろう
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