Maxの日記: リサイクル雑感 2
日記にも書いた大工仕事のインストラクター氏は、大工になる
前は海外青年協力隊に在籍していたり、環境問題にとりくんで
いたりして、ときおりそういうたぐいの話をする。
先日、彼から聞いたのは「アルミ缶の再生率は30%程度」という
話だった。ところがぐーぐるなどでざっと検索すると、流布数値と
しては7割から8割と高くなっている。
家内によると実勢では17%という数値もあるらしい。
# 彼女はキャンパス・エコリーグに参加していた経緯もあり、
# そのあたりは私より明るい。
どういうことかと・・・・
実際、市場に出回るアルミ缶封入製品の回収率をさらに考えると、
自治体調査などをみると5-7割だから、世の中にでたアルミ缶の
うち実際は3-5割の間をうろうろするわけだが、彼の話は
「再生業者から直接聞いた話」
とありおそらく受け入れたアルミ缶を母数とする数値だ。
さらに、実は缶のふたの部分はマグネシウム合金、ボディはマンガン
合金となっているらしい。トップ部分は、軽く開栓するためにボディ
とは別素材にしないといけない。精製過程で揮発する塗料の残りや
ら、灰皿代わりに使われた場合の問題もあるにはあるが、彼によると
それ以外の問題があるという。
実際、マグネシウムやらマンガンの混入したリサイクル素材は精錬
過程で分離するのは困難なので、バージン原料をリサイクル原料の
1.7倍投入しないと使えないという話があった。
アルミ缶のリサイクル協会によると現状では、67.8%の再生アルミ
がまた缶としてよみがえったという。しかし、手元にある飲料缶に
「再生アルミを使っています」という表示はないのだ。
缶として再生される以外の用途では、自動車のエンジンブロック
などの鋳物やダイカストに使用される他、脱酸剤(これはスチール
缶のリサイクルにも使用される)にも使われる。だが、高熱と
高い負荷にさらされるエンジンブロックにさほど再生素材が使用
されているとはあまり考えられないし、もしそうだとしたら
別な問題があると思う(自動車自体の寿命が短くなる)。
スチール缶は破砕した後、磁石で選別することで不純物やら錆を
かなり除去できる。アルミ缶はその多くを手作業でやらねばなら
ない。精錬にかかるエネルギーの比較で、バージン原料とくらべて
アルミの再生は大幅に使用エネルギーを節約できるというはなしも
あるが、実際は再生原料の精錬以外の過程でより多くのエネルギーを
必要としているはずではないかとおもうのだ。
家内によると「ネット上の情報操作はかくも容易だ」という。
もちろん、リサイクルや環境保全のための投資が新たな産業需要を
喚起するという側面はあるにはある。ドイツがそうだと。gust
arbeiter(移民など)による労働力によって失われた雇用が、
環境保全のためのとりくみにより補填されたというし、先の
リサイクルデータにより、「日本は欧米よりも高いアルミ缶
リサイクル率を達成している」と喧伝されている。
原子炉の設置密度も高いし、電気精錬によりアルミは作られるわけ
だし、CO2排出に関するペナルティは回避できるという風に
「政策上有用な数値」に使えなくもない。
調べが行き届いていないので、あくまで観念的な感想でしかないが
国民の多くが「自分でできるリサイクルの結果」として操作された
数値を同意したものだとして引用するなら、その信憑性はさらに
増すわけだ。人民の善意に基づく行為を利用することもできうる。
だが、私は悪意を前提とする理論構築をするつもりはない。
それを糾弾することよりやることがあると思うから。
一番よいのはそういうものをつかわないことだ。
recycle binに投入するアルミ缶の量を増やすより、ガラスや陶器を
使った素材で商品提供をするのがよりよい方向だと思うだけだ。
実際、缶ビールはまずいし、酒の回りとともにそういう幻想に酔い
たいとも思わない。
GW。
多くの人々が廉売店で購入した缶ビールやら肉を手に、河川敷やら
郊外でそれぞれの休暇を楽しんでいる。だが、「楽しむ」という以上
に、それまでの生活で自分が背負い込んだひずみを解消しようと
しているように思う。台数は少ないが国道を走る車の運転は平素より
粗雑に見えるし、酒屋でビールを買い求める人の姿はどこか狂気を
感じさせる。
その狂気やらひずみがどこからきているのか、彼らが考えない限り
きっと彼らの置かれている環境は変わらないのだと思う。
リサイクルにまつわる幻想がその一端を示しているのではないかと、
行楽地のゴミ箱を見て思った。
せめて、自分の時間を自分のものとして楽しむことのできる時間に
無粋な日記を書いてしまったけれど、ゆっくり物事を考えられる時に
日頃見過ごしていたところに思いをはせる余裕を期待して。
総論賛成。 (スコア:1)
指摘の通り、アルミ部材のリサイクルは、古紙再生と同様の問題を抱えています。
アルミに限らずほとんどの金属製品は、単一の素材ではなく、その用途に応じた材料特性を得るために添加材を追加した合金を利用します。
問題は、この合金を特性的に安定して生産するためには、高い純度のベース素材が必要になる、ということです。でないと、ベースとなる材料の成分に合わせて添加材の量をいちいち調整しないといけないので。「漂白するのにコストがかかるから、再生紙よりもバージンパルプ使用の紙の方が安い」というのと同じ理屈です。成分の微調整をあまり必要としない場合もあるので、一概には言えないんですが。
とはいえ、数字上アルミリサイクル材の利用は進んでいます。何故か。
ここからはあくまで推測ですが、リサイクルという単語の定義によるのではないかと考えます。鋳造製品などでは、製品に加工する段階で発生した不良品を、同じ製品の材料として利用するために再度溶解する、ということがメーカーで日常的に行われています。これであれば、前述の成分調整は最小限で済みます。統計上はこうした再利用もリサイクル材の使用比率の中に含まれているのではないでしょうか?
環境やリサイクルを声高に叫んでも、所詮営利企業である以上、経済活動の原則に縛られます。つまり、儲からないことはやらない、ということです。環境に優しいという企業イメージが向上しても、そのためのコストを消費者に転嫁した結果シェアを失うのであれば、営利企業としては本末転倒です。
自給自足の生活に戻れない以上、ほとんどすべての環境問題は消費者の意識の変革なしには解決しないと思います。
Re:総論賛成。 (スコア:1)
コメントありがとうございました。
> 統計上はこうした再利用もリサイクル材の使用比率の中に含まれて
> いるのではないでしょうか
なるほど。問題のある不良品を一旦外に出して、それを再度再生
資材として受け入れる形にすればおっしゃるとおり使用比率は
高くできますね。伝票だけが行き来しているケースもあるのかも。
いい視点をいただきました。
今後気をつけて見ていきたいと思います。
> コストを消費者に転嫁した結果シェアを失うのであれば、営利企業
> としては本末転倒
社会に貢献することの対価として利益を得るというのが本筋だと
したら、営利企業がコストを消費者に転嫁することで、シェアを失い事業体としての維持ができなくなることの方がむしろ本末転倒なん
ですが、それを支えているのはまさに消費する側の意識ですね。
だれも負担しないコストが最終的にどこにいくのか。
思想無き安直な価格競争の末に自らの首を絞める結果になっていく
としたら、企業にも消費者にもメリットはないでしょう。
-- (ま)