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Passing Windの日記: とりあえず日記でも 2

日記 by Passing Wind
書こうかなと。
世の中、拉致被害者家族で喧々諤々だが、なんだかなぁ。
確かに、日本政府は今まで無策だったし、ジェンキンス氏の件も他の落としどころがあったろう。
だが、「身代金代わりの援助をなんで払う必要があったのか」という批判は的を射ていないと思う。
確かに、普通の国家の在り様としては、自らの国民を守るために「犯人」に利益を供与するのは
昨今の「テロリストとは交渉しない」というテーゼに大きく反している。が、これはあくまでも
普通の国家なら、という仮定があるのだ。

拉致問題解決の手段としては、以下の手段があるだろう。
  1. 金で解決。(今回はこれ)
  2. 話し合いで解決。(時間がかかる)
  3. 軍事力を背景に恫喝。(日本では現実的ではない)
  4. 特殊部隊など、軍事力を投入。(日本にはその能力がない)
  5. 拉致問題のことを忘れる。(ありえない)

5.は国論がそれを許さないのはいうまでもないだろう。4.にしても、憲法との兼ね合いで
現行の憲法を維持する限り、たとえ国論がそれを求めても憲法を変えるまでは行うべきではない。
3.もやはり憲法問題がでるだろうし、そもそも日本に海外侵攻能力がないので空手形に過ぎない。
結局、1.と2.が残るのだが、2.にしても、所詮は軍事力の裏づけがあるからこそなのだ。

「そんなことはない。人間、話せばわかる」という意見もあるだろう。

では、話し合いでイラク戦争が避けられたのだろうか?
なぜ日本は北朝鮮という小国にこれだけ振り回されているのであろう?
話せばわかるはずだが、話し合いの結果である1年7ヶ月前の平壌宣言は履行されたのだろうか?

「話し合いで解決された事案」を見ても、実はその結果がパワーバランスで決まっている
ことが多い。つまり、国際情勢は未だに力と力がぶつかり合う場なのだ。
このような情勢で、1.以外の手段を取れない日本は外交カードを限定しすぎているだろう。
にもかかわらず、一方では「軍靴の音が聞こえる」といい、他方では拉致問題における日本政府の
姿勢をとやかくいうのはいかがなものか?
確かに、家族の皆様にとって、10人の安否すら明らかにならなかったのは、それこそ断腸の思いだろう。
家族の皆様がそのことを批判するのは当然のことである。そして、それを報道するのも当然だろう。
しかし、政府批判のためだけに「家族の心情」を利用する各方面の姿勢には辟易とする。
ジェンキンス氏の件にしても10人の件にしても、このような結果に終わるのは目に見えていたし、
事実、首相の訪朝前からそういった論調もあった。
しかし、にもかかわらず、結果が出てみれば「それみたことか」と言わんばかりの批判である。

事前にわかっていたのだから、なぜ事前に批判しなかったのか。
そして、なぜ代替案を出さなかったのか。


今回の訪朝は、明らかに来る参院選対策も含めてのことで、準備不足だということも事前に
見えていたはずだ。首相は、準備不足でこういう落とし所になることを承知で、国益のみならず
参院選で与党有利になることも踏まえて訪朝しているはずである。なぜなら、この手の交渉は
ほとんどが事前の実務者協議で決まっているおり、その結果を踏まえて「合意」のために行くからである。
事前協議の結論が意に沿わないものであれば、訪朝することもなかったであろう。ましてや、訪朝前に
ジェンキンス氏の件を報道させ、8人全員が帰国(または来日)できないだろうという予想はできたはずで、
当然批判の余地はあった。曾我さんの心情を慮ったとしても、慮ったなりの批判はできたはずだ。
なのに、その時点では批判せず、蓋を開けた段階で激しく批判するのはいかがなものだろうか?
なんとも釈然としない週末である。

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  • by Anonymous Coward on 2004年05月23日 15時41分 (#554368)
    それほど長くない文章に、すごく上手にまとまっていますね。
    ものの分かった大人なら、普通そういうふうに考えますよね。
    小泉首相にも選挙向けの思わくがあるのだろうけど、今回は
    何もしないでいるという、もっと最悪の選択よりはベターな
    結果だと思います。家族会のあの態度は、政府と国民の反感
    を買っただけだと思いますね。1じゃなければ0という傲慢
    さでは政治は動かないですよ。
    • ありがとうございます。

      家族会の場合は、先のイラクの一件と違い、日常生活の中で家族の拉致という
      非日常に遭遇し、しかも20年も政府から無視されてきました。20年待って、
      一縷の望みを今回の訪朝に託し、結果として「裏切られた」わけで、
      そう考えれば、家族会の皆様があのような態度を取るのは仕方がないこと
      かもしれません。

      政治的には、あの場では「含みを持たせた評価」をすべきだったでしょう。
      10人の安否もわからず、しかも8人ではなく5人しか帰ってこなかった。
      しかし、今回の訪朝がなければ5人すら帰ってこなかった。その意味では、
      小泉首相をはじめとする政府の方々、ご支援いただいた国民の皆様に
      感謝したい。そして、全ての拉致被害者の帰国のため、これからも
      ご尽力賜りたい。
      こう言うだけで、政府にとってはプラスの意味でプレッシャーになりますし、
      国民の賛同も得られたでしょう。残念なのは、家族会やその周辺に 政治的センスの
      ある人間がいなさそうなことですね。
      親コメント
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にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー

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