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日記

Pravdaの日記: PCMark新バージョンv2.0.2809(16/07/12) 1

日記 by Pravda

窓の杜ダウンロードページ、http://forest.watch.impress.co.jp/library/software/3dmark/より。

ちょっと前にダウンロードしたかと思ったら、もうバージョンの版数が上がってる…。またダウンロードと再実行か。

# 古いバージョンは、ウチのノートPC(lenovo G500, GPUはCPU内蔵の Intel HD4000)で、ときどきハングアップする問題があったけど、直ってるかな? たぶん直ってないだろうなぁ(笑)。

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マイクロソフト

Pravdaの日記: KB3033889 → KB3048778

日記 by Pravda

窓の杜ニュース、エクスプローラーの不調を招いていた更新プログラム「KB3033889」の修正版が公開 より。

米Microsoft Corporationは17日(現地時間、以下同)、11日に公開したWindowsのセキュリティ更新プログラム「KB3033889」の修正版「KB3048778」を公開した。現在、同社のサポートページからダウンロードできる。

面倒くさいなぁ。しかし、放っておくと忘れてしまってアレだし。
とりあえず、自宅のWin 8.1マシンにパッチ当てておくか。

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Linux

Pravdaの日記: 『日本人の知らない日本語 2』のあとがき

日記 by Pravda

蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語 2』(メディアファクトリー)より。

日本語学校での教師の悪戦苦闘ぶり(?)を描いた、面白くも興味深い漫画で、共著者の海野凪子さんが日本語教師で原案担当、蛇蔵さんが構成と漫画担当だそうですが、この本の「あとがき」の蛇蔵さんの文章に唸らされました。以下引用。

ある雑誌のインタビュアーが、凪子さんに
「成功した授業」について聞きました。
凪子さんの答えは「ありません」でした。
「生徒が完全に理解した=成功した授業であるならば、
複数の生徒がいる学校で、成功なんてありえない。
もし成功したと感じたならば、
それは自分のやるべき手順ばかり見つめて
生徒を見ていなかったということだと思う。
だから私は成功したと思ったら、反省するようにしています。」
そんな答えがさらりと出てくる人と
私は出会えて幸せです。〔p.157〕

社会人ともなると、お客さん先に出向いてプレゼンをする機会もありますが、個人的に「成功したプレゼン」と思っていたのは、パワーポイントのスライドの出来や論理の流ればかり自己評価していて、「お客さんを見ていたか?」と言われると答えに窮します。プレゼンに限らず社内研修でしゃべる際も、凪子先生の心持ちに少しでも近づけるよう、精進したいと思います。

以下脱線。教師が黒板に板書して説明し、黒板に向かって生徒が机を並べて授業を受ける教授法は、フランスの司祭ド・ラ・サール師が先駆なのだとか。たしか井上ひさしのエッセイに書いてあったと思います。日本の「ラ・サール高校」は、この教育者から名前をいただいたそうです。Wikipediaで調べると、ジャン=バティスト・ド・ラ・サール [wikipedia.org] は1651年生まれの1719年に歿ですから、17世紀末の人。ラ・サール式教授法は300年ほどの歴史なんですね。

それまでの教授法は、小グループでの対話形式か、マンツーマンの家庭教師かだったようです。ド・ラ・サール師の教授法は、効率とコストを重んずる近代にマッチした方法で、だからこそ普及したと言えましょう。逆に、講演などに呼ばれる身分になると、効率とコスト面から、なかなかおいしい仕事だとか。(と、また素直じゃない目で見る…。)

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Pravdaの日記: 〔書籍〕 暴走老人! 4

日記 by Pravda

藤原智美『暴走老人!』(文春文庫、2009年)、読了。2007年のベストセラーが文庫化されました。著者は1955年生まれですから、この本の執筆時は52歳くらい。(←これ重要)

以下、文藝春秋のWebページ、カバー裏の紹介文および目次概要。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784167773267

役所の受付で書類の不備を指摘され、突然怒鳴り始める。コンビニで立ち読みを注意されて逆ギレし、チェーンソーで脅しをかける。わずかなことで極端な怒りを爆発させる老人たちの姿から、その背後にある社会や生活意識の激変を探り、人間関係の問題を指摘して、「暴走老人」の新語を世に定着させた話題の書。解説・嵐山光三郎

■ 目次概要

  • 序章 なぜ「新」老人は暴走するのか
  • 第一章 「時間」
  • 第二章 「空間」
  • 第三章 「感情」

本の帯には、以下のような「新」老人の暴走ケースがあげられ、もちろん本文にも詳細が書いてあります。

  • スーパーのサービスカウンターでいつまでも怒鳴り散らす。
  • 病院の受付で、ダダをこねて床に転がる。
  • 高速道路のチケットをなくして、料金所でいすわる。
  • タバコの自動販売機で、「買うのが遅い」と、60歳が70歳を殴る。
  • 散歩中に大型犬を放し、歩行者が噛まれて怪我をする。
  • ゴミ屋敷の主人が、庭に糞尿を貯蔵し、悪臭を近所にまく。

こういった老人の暴走ぶりを収録し「嘆かわしい」と言ってるだけの本かというと、さにあらず。老人たちが青少年期を過ごした1960年代と現代との間で起きた、日本社会の変化を追い考察する部分に、大きくページ数を割いています。

1.「時間」
ゆったり時間が流れていた1960年代に比べ、現代人は時間を細分化・管理し、ムダな時間を排除しようとしている。さらにパソコンやケータイなどのIT機器の普及が、その風潮に拍車をかけている。会社生活をリタイアした「新」老人には多くの自由時間があるが、自分で時間割を作りコントロールすることは非常に困難で、時間割からの解放は同時に喪失でもある。

2.「空間」
1960年代以降、日本人の住空間に「個室」が発達した。それと同時に現代人の「テリトリー感覚」も変わった。現代人どうしは互いのテリトリー感覚を尊重し合い、暗黙の了解で摩擦が起きないよう暮らしているが、ほとんどが個室で成長した体験のない「新」老人には、どういう行動が現代人に迷惑をかけるのか、その空間意識が分からない。

3.「感情」
現代は「丁寧化社会」で、あらゆるサービスがお客さま第一主義になるとともに、サービス業従事者は本来の労働に加えて「感情労働」も要求されている。一方、スターバックスやマクドナルドなどファストフード店には「透明なルール」があり、お客もそのシステムに順応しなければならない。こういった新しい生活規範に、「新」老人は戸惑いを覚えている。

…と、乱暴かつ粗雑に要約してみましたが、筆者は暴走老人に対してただ単に「空気読め!」と老人批判しているのではなく、むしろ老人の側に歩みよって、日本社会の変動ぶりを考察しています。執筆時、筆者が50歳代だったことも少なからずあるのでしょう。「警笛としての新老人」と小みだしを付け、以下のように締めくくっています。

情報化社会という「社会風景」の地下では、人々の内面=感情、情動のあり方が地鳴りを響かせながら揺れ動いている。だとすれば新老人の暴走も、変化を無意識に感じとり苛立っているがゆえの防御なのかもしれない。彼らは「鈍感」なのではなく「敏感」なのであり、彼らの叫びと暴力はひとつの警笛なのだ、と私には思えてならない。〔p.222〕

現代社会を考える上で、いろいろな示唆に富んだ本だと思います。武士の情けで書名は出しませんが、某社会学者のセンセイが書いた同じようなテーマの本より、はるかに読みごたえがありました。

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Pravdaの日記: 「ガラパゴス」という言説 15

日記 by Pravda

NAZZさんの日記 [srad.jp] 経由、なぁ、日本が独自のことをするとガラパゴスと呼んで、アメリカが独自のことをするとグローバルと言うのはやめないか? [cnet.com] より。

池田信夫の記事を見て笑った。アメリカがやっているモデルを次々と上げてグローバル化だ、日本はガラパゴスだと言い立てるアナリストが多い。まぁ、そう書くと釣られる人も多いからだろうね。(ぼく含む。)

池田信夫センセといい、野口悠紀雄センセといい、経済アナリストやらは、アメリカだけ見てそうことを言う人が多いようですね。

個人的に「ガラパゴス」と聞いて連想するのが、近世以降のヨーロッパの歴史。あんな狭い地域に多くの国がひしめき、戦争をドンパチして富国強兵に邁進してたなんて、世界史全体から見ると特異です。境を接する同時代のイスラム圏の人々は「ヨーロッパって野蛮だよなあ」と思ってたかも。

以下、海堂尊『ジェネラル・ルージュの凱旋 下』(宝島社文庫、2009年)より引用。

沼田は唇を震わせる。
「私はハーバードの標準(スタンダード)に従っている」
速水はゆっくり首を振る。
「語るに落ちたな、沼田さん。あんたの言う倫理ってヤツは米国の片田舎、ハーバードのドメスティック・ルールであって、世界標準(グローバル・スタンダード)には程遠い。カントだ、ヘーゲルだ、と西洋かぶれのことばかり言ってないで、たまには大乗仏教仏典や諸子百家の叢書(そうしょ)でも読んでみやがれ」
蒼白になった沼田に、速水は短く、そして鋭くとどめを刺す。
「俺ならエシックスの本家、米国を支配している大統領に老子(タオ)の考えをぶちこんでやるがね。それこそ倫理が求める世界平和達成のためには一番の早道さ」
速水の啖呵(たんか)は完全無欠、全くもってそれは見事なものだった。〔p.84〕

経済学って学問は、社会の経済活動を対象に、社会をより良いものにするための学問ですよね? アメリカ万歳を唱えるための学問じゃないですよね? 人口1億3千万人もいる日本の情報インフラの一翼を担って、しかもコンテンツ配信で利益を出しているケータイを揶揄するための学問じゃないですよね? 「おカネを通じてどう世界の人々の暮らしをより豊かなものにしていくか」くらいの高邁さは持ってもらわないと。

# 「アメリカでは…」などと口をそろえて言う連中の方が、よほど米国方面に視野狭窄な「ガラパゴス」なのかも。そういう賛美や信仰告白を、少なくとも私は聞き飽きました。

195016 journal
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Pravdaの日記: レベルの低い仲間褒めの構造

日記 by Pravda

先日、堀川哲『エピソードで読む西洋哲学史』(PHP新書、2006年)という本を読んでたら、アダム・スミスの箇所に以下のような文章がありました。

マンデヴィル(1670~1733)は「利己心」と「虚栄心」を軸に人間を考え、ホッブズ(1588~1679)は「権力への意志」を柱にして人間を考えた。
人間は誰でも自分の利益を優先するけれど(利己心)、しかし「あいつはいい奴だ」と他人から思われたい、ほめられたい、という欲望もある(虚栄心)。利己心オンリーで生きることはほんとうは難しいのである。そういうことをすると友達をなくすのである。友達なしで生きていくことは難しいのである。だからたいていの人びとは、利己心を適度に抑えて生きていく。利己心を抑えるのは、マンデヴィルがいうには、「虚栄心」である。スミスの場合は、「同感」という言葉がキーとなる。〔p.179〕

まあ、利己心も虚栄心も、根本はその人の「欲」が源泉なのですから、欲を適度に抑えてコントロールすれば良いワケです。あるいは虚栄心を優先させたければ、ものすごく刻苦勉励して、常人がとてもマネできないような実績を積み上げる、とか。

一方、他人から高く評価されたいけど努力するのはイヤ、という向きの人が使う手段があります。それは、「自分は評価されるべきだ」と周囲にアピールすることです。自己宣伝というか、セルフ・プロデュースというか。アピールの具体的方法を、思いつくまま3つほど。

  1. 「私は素晴らしい、私は常に正しい、私を尊敬しろ」と、機会あるごとに発言しようとする。
  2. 「あれはダメだ、あれは間違ってる、あれは下劣だ」とさんざん悪口を言い、「オレって辛口だから」などと、相対的に自分の地位・評価を高めようとする。
  3. ブランドものの服装や装身具に身に固め、高級車を乗りまわすなど、俗に「ステータス・シンボル」と呼ばれるものを見せびらかし、無言のうちに「自分はすごい」と周囲に印象づけようとする。

しかし、世の中の人もだんだんスレてきてますから(笑)、そう簡単に勝手な言い分が通らなくなっています。そこでどうするか? 一番簡単なモデルで「A氏とB氏のペア」を考えてみましょう。

  • A氏が「B氏は優秀だ、B氏は尊敬に値する人物だ」と周囲に言う。
  • B氏が「A氏は優秀だ、A氏は尊敬に値する人物だ」と周囲に言う。

で、A氏とB氏がグルだと、意外とこの戦法は効果があるワケです。サッカーのワンツー・パスじゃありませんが、シンプルな戦法はそう簡単に廃れません。脱線しますが、別に個人に限った話ではなく、戦後しばらくまでの岩波書店と大学アカデミズムの関係とか。

  • 岩波の本は、大学の先生が書いているものが多い。だから岩波書店は権威がある。
  • あの大学の先生は、岩波書店から本を出している。だからきっと偉いに違いない。

ペアでこれですから、三者以上の「フォーメーション」で褒め合われると、なかなか構造が判りにくいワケです。けなすと見せかけて実は褒めている、なんて高等(?)レトリックもありますし。

なんでもかんでも疑ってかかるのは、一種の陰謀論につながってしまうので深入りは禁物でしょうけど、「はて、おかしいな。こいつら、たいしたことのない連中どうしが褒め合ってる。さてはツルんでるのかな?」くらいの批判精神は、あってもいいのではないかと思います。

# ある人を知りたければその友人を見よ、ということでしょうか。

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Pravdaの日記: 人に向かって「好っきやねん」と言う?

日記 by Pravda

表のストーリー、日本語の「愛します」よりもクリンゴン語の「qaparha」のほうがロマンチック? [srad.jp] の、pranksterさんの発言 [srad.jp] にコメントするには、ネタが判る人が少なさそうですしオフトピなので、こちらに。(^^;

現代関西方面では「好っきやねん(んは弱い)」みたいですよ。

私は神戸が一番長かったのですけど(親父が転勤族)、関西で好きな相手に面と向かって「好っきやねん」って言うかなあ? (まあ、人によるのでしょうが。)

すごい昔の話で、子供の頃に見たテレビの『細うで繁盛記』を、ちょっと思い出してしまいました。
加代 「清二はん、うちは、うちは前からずっと清二はんのことを…」
清二 「女将(おかみ)はん、それ以上言うたらあきまへん。この山水館に、いらん波風がたってしまいます」

山水館女将の加代は新珠三千代、板長(いたちょう)の清二は高島忠夫でしたね。加代をいじめる正子は冨士眞奈美、糸商の旦さんは、Wikipediaの記述では 大友柳太朗 [wikipedia.org] とありますが、たしか初めのうちは西条凡児だったような…。

# 「自分、ほんまのトシいくつやねん?」 > 私 (笑)

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Pravdaの日記: 〔DVD〕 愛染かつら 総集編

日記 by Pravda

去年(2009年)が田中絹代生誕百年だったので、戦前の大ヒット作品より、野村浩将監督『愛染かつら 総集編』(1938年)。花も嵐も踏み越えて~。

小さな娘を抱える未亡人の高石かつ絵は、娘を姉に預けて津村病院の住み込み看護師として働いていた。娘と会えるのは病院の公休日だけである。そんなある日、医学博士号を取って病院に戻ってきた若先生・津村浩三と馴れ初め、愛染かつらの木の下で愛を誓い合う。しかし幾多の困難によって二人は別れ別れになる運命に…。

いわゆるスレ違いメロドラマです。実はこの映画、本来は『前篇』『後篇』『続篇』『完結篇』と4部シリーズになっていたのですが、前後篇あたりをまとめて1本にしたのがこの『総集編』で、現在はこのフィルムしか残っていない模様。

スレ違いメロドラマというと、観客をじらしてナンボですから、同じジャンルならばハリウッドの監督でも、もっとネッチリと撮ります。しかし、てんこ盛りの内容を89分に詰め込んだおかげで、アップテンポな、戦前の松竹映画のモダニズムばかりが印象に残る、妙に爽やかな作品になってしまいました(笑)。

戦前の風俗、たとえば院長一家のブルジョアぶりと、住み込み看護師のつつましい生活。あるいはアメリカからの客船が着く埠頭に荷運び用の馬がいる、などを除けば戦後の映画と変わらない気がします。院長一家の娘・津村竹子や、浩三の婚約者候補・中田美智子が活発な洋装モダンガールですので、よけいにそう思えるのかも。

看護師・高石かつ絵に扮するのが田中絹代。1909年生まれですから、この映画の撮影時は29歳くらい。メーキャップ技術の発達していない時代ですけど、欧米の女優さんと違って日本の女優さんは、年齢による美貌の衰えが少ないので得ですね。田中絹代が演技派になるのは戦後からで、戦前は一種のアイドルスター的な存在です。

相手役の若先生・津村浩三の役は上原謙。加山雄三のお父さんですな。上原謙自身はこの『愛染かつら』シリーズが嫌いで、役を降りようとまで思ったとか。その、気の乗らなさ加減が逆に、いまひとつ煮えきらない色男役にハマってしまったのではないでしょうか。戦後、成瀬巳喜男監督と組んだ『めし』(1951年)とか『山の音』(1954年)とか、それに近い役柄ですよねえ。

戦前の日本映画の通例で、フィルムの状態はかなり悪いです。まずはレンタルなどでどうぞ。

以下、DVD裏のデータより。

■ CAST
田中絹代
上原謙
佐分利信
大山健二
水戸光子
三枡豊
桑野通子
藤野秀夫
葛城文子
森川まさみ
河村黎吉
吉川満子
小島敏子
斎藤達雄
坂本武
岡村文子

■ STAFF
原作:川口松太郎
監督:野村浩将
脚本:野田高梧
撮影:高橋通夫
音楽:早乙女光、萬城目正
録音:妹尾芳三郎、大村三郎
編集:斎藤正夫

公開年:1938年
日本語字幕あり
89min.
モノクロ
発売・販売元:松竹株式会社

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Pravdaの日記: 〔DVD〕 アデルの恋の物語

日記 by Pravda

いきなりですが、フランソワ・トリュフォー監督の『アデルの恋の物語』(1975年)です。トリュフォー監督の映画は個人的に好きなんですけど、語るのが難しい人ですね。ヌーベルバーグの旗手で評論家からスタートしたトリュフォーはフランス古典映画を罵倒していましたが、映画作家として古典的ストーリー主義への回帰を決定づけた作品。

1963年、英領カナダの州都ハリファックスに一人のフランス娘が降り立つ。文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女アデルで、イギリス軍中尉ピンソンへの愛を全うするため、家を出て彼の任地まで追いかけて来たのだ。しかしピンソン中尉の心は、すでにアデルから離れ、冷めてしまっていた…。

ヒロインのアデルに扮するのがイザベル・アジャーニ。この映画の撮影当時、芳紀19歳。まだ少女の面影を残しており、冷たい空気にふれたり興奮したりすると赤みがかる頬や小さな鼻、ブルーがかった灰色の瞳の真剣なまなざしなど、これらの要素がなければ、ただのストーカー女の気持ち悪い妄執の話になりかねません。山田宏一『フランソワ・トリュフォー映画読本』(平凡社、2003年)という本によると、トリュフォー監督はテレビで18歳のイザベル・アジャーニを見て、即座に彼女のために脚本を書き直して映画化を決定したのだとか。

なお、この映画の冒頭に「史実に基づく」とありますが、実際のアデル・ユーゴーがイギリス軍中尉を追ってカナダに渡ったのは33歳で、身も心もボロボロになりフランスに戻ったのが42歳の時。しかし、トリュフォー監督は19歳のイザベル・アジャーニに「老け役」をさせることなく、ほとんど素で撮っています。前掲書によると、イザベル・アジャーニが「わたしはこの役には若すぎるのではないか」と言ったところ、トリュフォーは「そのとおりだよ。でも、口実が必要だったからね。だから、もうそのことを考えるのはやめよう。誰もそんなことは考えないだろうと思うよ」と答えただけだった、とか。〔p.416〕

まさに、イザベル・アジャーニによる、イザベル・アジャーニのための映画。撮影は『天国の日々』(1978年)でアカデミー撮影賞を受賞した、名匠ネストール・アルメンドロス。空気感の表現が素晴らしい。音楽は、ジャン・ヴィゴ監督 『新学期 操行ゼロ』(1933年) [srad.jp] 以降、フランス古典映画の数々の名作に楽曲を提供したモーリス・ジョーベール。なお、ジョーベール本人は1940年に第二次大戦で戦死していますから、この映画の音楽編集には当然ながら直接かかわっていません。

この映画の43min.頃、ヒロインのアデル(イザベル・アジャーニ)が恋人のイギリス軍中尉と会いたさに、男装してパーティーに紛れ込むシーンがあります。また72min.以降のアデルは眼鏡をかけています。男装の麗人萌えとか、眼鏡っ娘萌えな方にもオススメできます(笑)。トリュフォー作品でもこの頃になるとヌーベルバーグ臭が抜けてきて、安心して(?)観ていられる、って部分はありますよね。

以下、DVD裏のデータより。

■ CAST
イザベル・アジャーニ
ブルース・ロビンソン
シルヴィア・マリオット
ジョゼフ・ブラッチリー

■ STAFF
監督:フランソワ・トリュフォー
原案・脚本・台詞:フランソワ・トリュフォー
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:モーリス・ジョーベール

公開年:1975年
字幕スーパー、日本語字幕&フランス語字幕&英語字幕
98min.
カラー
発売元:20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社

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Pravdaの日記: 読書好きがつい言ってしまう「見栄」 2

日記 by Pravda

前のエントリ [srad.jp] の拙文を、mujiさんの日記 [srad.jp] でパロッていただけたので、なにやら気が楽になりました(謎)。調子にのって行ってみましょう、「読書好きがつい言ってしまう、10個の見栄」。

  • 精力的な読書家を気取る「けっきょく去年は400冊読んだのか。十年連続で年間300冊超だなぁ」
  • 本がわかることを自慢する「大きな書店に行くんだったら相談してよ」
  • 本がわからない、特に詳しくないフリをする「まあ、ゴーストライターで文章を書いたことあるけど、それはあくまでも仕事だからね」
  • 大会社に関わりがあると言い出す「新潮社の人とちょっと話をしたことあるよ」
  • 有名人との関わりを自慢する(固有名詞自粛)
  • 戯曲、評論関係以外、特にアウトドアの趣味を披露する「パッと思い切って気分転換するから、また読書に集中できるのさ」
  • 経済に明るいことを自慢する「いやぁ、稀覯な古本の値付けとかって難しいね」
  • 書評は全て紙で読むと言い出す「書評も一種の作品なんだから、リアルにそこに無いと、なんだか落ち着かなくてさ」
  • 英語やフランス語ができるのだと匂わせる「日本語訳も優秀だけど、やっぱり原書のニュアンスにも触れないと」
  • 「読書好きが、いや、俺が出版文化を支えている!!」と言い出す

個人的には上のようなことは言わないですけど、うず高く積まれた本の山をどうするか、それなりに真剣に考え中…。(本を捨てられない性格なんだよなー。)

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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家

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