Pravdaの日記: サブプライム問題とは何か 2
春山昇華『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』(宝島社新書)より。
NBonlineの書評欄 [nikkeibp.co.jp] では、“世界が「バブルへGO!」だったってことさ!”と題名で簡潔にまとめていますが、もう少し詳しく。
サブプライムとは元々、ローンの延滞履歴があるような低所得者向けの住宅ローンで、通常金利に3%程度上乗せされた、優良顧客(プライム)では無いサブ層向けのハイリスク高金利な貸付。今回は返済金利が10%以上になった例も多いとか。何故そんなところに大量の資金が流れ込んで米国で住宅バブルを引き起こしたかがポイントになります。
まず、2000年のITバブル崩壊後、株に懲りた個人投資家が不動産に目を向けたこと、さらにユーロ高ドル安で欧州の投資家が米国不動産投資に注目したことなど、世界中が高利回りの資金運用先を探していたのが第一の背景。また今年まで米国人の大半が「住宅価格上昇率がマイナスに転じるのは数年先」という“神話”を信じていたのが第二の背景。
そして、500件とか1000件といった住宅ローンを、米国の銀行が一つにまとめて売却し、売却されたローン集合体を証券会社が債権のようなもの(仕組み債)に仕立てる、いわゆる「証券化」という金融技術がキーワード。世界中の投資家が元々のリスクを理解せずに高利回りを期待して買い、その一方でローンをまとめる銀行は「住宅ローンを証券化して売り、その資金をまた別の人に住宅ローンとして貸せる」と、“どうせ他社に転売するから破綻しても構わない貸し出し”を競争で行います。
また、そうやって市場に出た証券化商品に対し、アメリカの格付け会社が最高位の「トリプルA」を大盤振る舞いしたのも、バブルを生んで加速化させた要因、と著者は指摘しています。
では借りた方は責任がないかというと、住宅価格上昇率がピークだった2005年には、NINJA(ニンジャ)ローンと呼ばれる種類まで登場。NINJAとは「ノー・インカム、ノージョブ・アンド・ノー・アセット(資産)」の頭文字で、収入も職も資産も無い人でも借りられたとか。どうせ最初からローンを返せないと判っていてもサインするだけで簡単に住宅が手に入り、また住宅が値上がりすればその値上がり分を担保に別のローンを組んで現金まで入手できるのですから、ダメで元々。トクするとなるとモラルもヘッタクレも無くなるのは、日本は土地バブルで経験済み。
NBonlineの書評欄には、「最悪のシナリオとして、サブプライム関連の損失は3000億ドル(33兆円)という試算が出ている」とありますけど、どうなんでしょう。いずれにせよ次のアメリカ大統領は火中の栗を拾うハメになりそうです。
この本の最後の章は「終わりのはじまり ~アメリカ帝国の終焉」と題し、第二次大戦後のアメリカが国内市場を開放して日本や欧州からの輸入品を受け入れ、その代わり貿易赤字をたれ流す枠組みはそろそろ終わり、との見方を示しています。また、米国サブプライム問題と同じように日本でも、自宅を担保として金融機関から借金しその借金を年金という形で受け取る「リバース・モーゲージ」制度の悪用が起こるのでは、との懸念を表明しています。
個人的には経済にはウトいのですけど、現在、なにが起こっているかがよく分かった一冊でした。
よく理解できた (スコア:0)
> 「リバース・モーゲージ」制度の悪用
だけは意味が分からなかった。
これって、遺産を残す気が無い(残す相手が居ない)高齢者が、
不動産等を死ぬまでにキッチリ食い潰す事を目指す制度だよね。
担保が重複しない限り悪用できないと思うのだが...。
Re:よく理解できた (スコア:1)
ケチンボと思われるかも知れませんが、ここへは「本の紹介」というスタンスで書き込んでいますので、ご興味が湧いたら実際に書店などで手にとって下されば、著者や出版社も含め、みんなハッピーになれると思うのですけど。^^;
著者がブログなどでネタを公開されていたら、ここに書くのに躊躇はないんですが…。著者のブログは以下の所です。
・おかねのこねた : 春山昇華の賢楽投資生活
http://www.doblog.com/weblog/myblog/17202 [doblog.com]