Pravdaの日記: FORTRAN漫談
荻谷昌己『ソフトウェア考現学 ─ 基礎概念への最新おもしろガイド』(CQ出版社)より。インターフェース誌の連載記事をもとに1985年に出た本で、現在は絶版です。
この本に出てくる、FORTRANほか言語同士のかけあい漫才が面白いので、少しご紹介します。
FORTRAN 何が百万人のBASICや.それもゆうなら,百万人の英語やで.だいたいやな,BASICなんちゅう子供のおもちゃは,遅うてもかまへんのや.FORTRANはなんちゅうたかてプロの道やで.
BASIC 何がプロの道や.FORTRANなんか大昔の遺物で,生きた化石やないか.
FORTRAN 何ぬかしとるんや.おまえなんか,もうすぐLOGOやLISPに蹴落されて,右や左の旦那様や.それとちごうて,FORTRANは永遠に不滅や.数値計算ゆうたら,FORTRANの右に出るものはあらへん.FORTRANオプチマイジング・コンパイラは,人類の文化遺産や,歴史の重みや,全世界の技術者を支えるテクノロジや.思い知ったか,こいつ.
BASIC 技術者技術者ゆうても,はっきりゆうて,計算機の専門家はもうFORTRANなんか使わへんで.だいたい,FORTRANでOSが書けるか,コンパイラが書けるか,どやどや.FORTRANには,フォーマットがあっても,ポインタもレコードもタスクもあらへんやないか.
(中略)
PL/I まあまあ,おっさんら,ちょうまちいな.
APL せやせや,ここはわしらにまかせんかい.
FORTRAN なんや,このIBMの回し者めが.でかいずうたいしよって.
PL/I でかいずうたいは生まれつきや.すかんおっさんやな.下手に出とったらええ気になりよって,ほんまに.
APL まあまあまあ,落ちつかんかい.
BASIC 何やこいつ,ええかっこしよって.この変態キャラクタ・セットめ.
まだこの頃は、あまりC言語は普及してなかったんですね。C言語も最初のうちは、OSなどを書くシステム記述言語だの高級アセンブラだのと言われていたわけですが。
そういえば、 FORTRAN言語の生みの親であるJ・バッカス氏が亡くなったのは今年でした。
http://srad.jp/articles/07/03/21/0458243.shtml [srad.jp]
また、個人的には確か大昔のbit誌で読みましたが、「本物のプログラマはPASCALを使わない」というネタもありましたね。今は以下の「プロジェクト杉田玄白」やその他で読めます。
- http://www.genpaku.org/realprogrammerj.html [genpaku.org]
- http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Orion/3324/prog/realprog.html [geocities.co.jp]
FORTRANプログラマかつ他言語を使える方で、「FORTRANこそ一番美しい、一番エレガントな、一番力強いコンピュータ言語」などと思っている人はまず居ないでしょう(笑)。過去の資産が膨大で、それらを他言語に移植して精度検証をするなんて非現実的ですし、また人類の叡智たるFORTRAN最適化コンパイラさまの力におすがりし、高速に動くオブジェクトコードの生成に期待するというか、逆にそれ以外の理由でFORTRANで書く理由が見つからない、というのが個人的見解。
FORTRANを批判する言説の中には「目的」と「手段」をはき違えているようなものも見受けられます。そこまで言うなら数値計算で贔屓する言語を使ってFORTRAN並みの実行性能を叩き出してみろよと言いたい。(こらこら)
今みたいにCPUパワーとメモリ容量が大きく使える時代、中村正三郎氏が言われるように、セキュリティの面からWebブラウザのCGIをLispで書いてもいいと思いますし、またプログラミングを目指す方がJavaから入ることに何の異論もありません。
ただ、FORTRANの数少ないメリットも認めていただき、数値計算の道に進む方が増えてくれると嬉しい。もっとも最近、FORTRANの仕事を受託する会社が激減しているという業界の危機感もありますが。^^;
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