Pravdaの日記: 江戸切絵図貼交屏風(えどきりえずはりまぜびょうぶ)
日記 by
Pravda
辻邦生『江戸切絵図貼交屏風』(文春文庫)。現在は品切れのようです。以下、カバー裏の紹介文より。
刀を捨てて浮世絵師になった歌川貞芳。彼の描く艶やかな美人画には、数々の悲恋、心中、仇討ちの秘話が、さらにその背後には幕藩体制の軋みが隠されていた。湯島、根津、向島……江戸の賑わいと四季のめぐりの中で、懸命に生きる人々の息づかいを甦らせる連作短編。町と人と絵とが鏡のように映し合う三曲一双屏風。解説・鈴木博之
辻邦生氏(1925-1999)といえば、『夏の砦』『背教者ユリアヌス』などの傑作で知られる小説家ですが、この作品は異色。なんと江戸を舞台にしたミステリー仕立てなのですね。しかし主人公の絵師、歌川貞芳の人物像の陰影や、その芸術観は辻邦生好み。
本の末尾、“藍いろに暮れてゆく江戸に ──「あとがき」にかえて”から引用。
私が連作『江戸切絵図貼交屏風』を書こうと思ったのは、前述のような江戸の透(すか)し絵を描きたいという気持と、<物語(ストーリー)の面白さ>を小説に取り戻したいという気持とが、いつか一つになっていったからだった。
前のエントリで「清水義範はたいへん文章のうまい作家」と書きましたが、辻邦生氏も素晴らしい。私が読んだ戦後文学の中でも『背教者ユリアヌス』の筆力と叙述の見事さは屈指。
『辻邦生全集』全20巻、欲しいんですけどねー。なにせ15万円弱もしますし、そもそも置き場所が…。
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