Pravdaの日記: スーパーコンピュータを20万円で創る
伊藤智義『スーパーコンピューターを20万円で創る』(集英社新書)。
以下、集英社Webサイトの紹介文より。
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0395-g/index.html
通常のパソコンなどに比べて格段に速い計算を行うスーパーコンピューター。数十億~数百億円をかけて、ときには国策として開発が行われるが、この分野でひときわ異彩を放つスーパーコンピューターが一九八九年に日本で開発され、話題を呼んだ。GRAPEと名づけられたそれは、開発費わずか20万円。〔後略〕
多体問題専用計算機“GRAPE” [wikipedia.org] の黎明期の開発の話で、著者は当時学生でハードウェアの設計・製作を担当。実に面白く、また人間関係も赤裸々に(?)語られ、一気に読ませる本です。
ただし、あくまで「読み物」であって、技術的な話はあまり出てこないウラミがあり、そのあたりは他書か、あるいは著者と共に開発にたずさわった牧野淳一郎氏(現・国立天文台理論研究部教授)のWebページ [artcompsci.org] が参考になります。
個人的に、この本がツミツクリと思うのは、題名から「スーパーコンピュータなんて、やる気があれば20万円で作れるんだ」という印象を与えたことで、牧野氏のWebページによると、「このタイトルは出版社側の強い希望によるもの」 [artcompsci.org] だそうです。実際、重力計算回路を専用LSI化した“GRAPE-3”以降、開発費はウナギノボリになっています。
今から見ると“GRAPE-1”は重力計算のみに特化した剥き出しのハードでOSもコンパイラもありませんし、そういう物を作ろうと仮に思ったとしても、IntelやAMDのx86プロセッサ・システムの価格性能比がベラボウに良いため、「参入障壁」は20年前に比べると桁違いに高いですね。
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