Pravdaの日記: 〔DVD〕 ならず者
とてもそう見えないのに製作費かかり過ぎの映画、ということで、ハワード・ヒューズ監督『ならず者』(1943年)。西部劇です。
ハワード・ヒューズについては、『魅せられて』(1949年) [srad.jp] で少し触れましたが、アメリカの大富豪で映画プロデューサー。
ニュー・メキシコのある町に、ドク・ホリデイが盗まれた愛馬を探しにやって来た。その町で保安官をしている旧友のパット・ギャレットと再会し愛馬も見つかるが、その馬を買ったと主張するガンマンのビリー・ザ・キッドは渡そうとしない。悶着があるうち、ドクとビリーの間に友情が芽生える。パットに撃たれたビリーを、ドクは自分の愛人の家にかくまうが、その愛人リオは、ビリーを兄の仇とつけ狙っていた女だった…。
この映画、製作費が300万ドルかかったそうです。『風と共に去りぬ』(1939年)の390万ドルには及びませんけど、『ならず者』はモノクロです。しかも西部劇はセットを使いまわしやすいので、通常の映画より製作費は安くあがるのが普通。ちなみに、あれだけセットに凝った『市民ケーン』(1941年)でも製作費68万ドル。
最近出た、吉田広明『B級ノワール論』(作品社)という本によると、この頃の映画製作費は「A級映画」でも、平均で35万ドルだったそうです。平均値にあまり意味がないのは、この本の著者もことわっていますが、製作費300万ドルがいかに破格かの目安にはなります。
こんなベラボウな金額になった理由は、まず主演女優のジェーン・ラッセルの「胸」で、その豊満なバストが問題になって米映倫が審査を却下。検閲が通るよう何度か撮り直したところ、今度は宗教団体が上映差し止めの訴訟を起こし、一方ハワード・ヒューズはこの映画でジェーン・ラッセルを売り出そうとしていたため受けて立ち、ヒューズ側の勝訴まで5年かかったそうです。
また、ヒューズの偏執狂的な撮り直しも製作費がふくれあがった理由で、気に入るまで何十回と同じシーンを撮らせたとか。最初、この映画の監督は名匠ハワード・ホークスだったのですが、あまりにヒューズが注文をつけるため、監督を降りてしまったとか。撮影には鬼才グレッグ・トーランドがクレジットされていますが、こちらも途中で降板したようです。
いま観ると、とにかくテンポが遅いのに閉口。各ショットに思い入れがあるのでバッサリ切れなかったのでしょう。また、パット役のトーマス・ミッチェルと、ドク・ホリデイ役のウォルター・ヒューストンは良しとして、ビリー・ザ・キッド役のジャック・ビューテルは新人で芝居がもちません。どうやらジェーン・ラッセルと共にスターにしたかったらしい。
「どのシーンを切ればマトモになるか?」ぐらいしか参考にならない映画。今は500円の廉価DVDが出ていて、また日本語字幕が不要でしたら、Google Videoで観ることができます。
http://video.google.com/videoplay?docid=5183845801951323179
ジェーン・ラッセルを観たいという方には、マリリン・モンローと共演した『紳士は金髪がお好き』(1953年)がオススメ。これも500円の廉価DVDが出ています。
以下、DVD裏のデータより。
■ CAST
ジェーン・ラッセル
ジャック・ビューテル
トーマス・ミッチェル
ウォルター・ヒューストン■ STAFF
監督・製作:ハワード・ヒューズ
脚本:ジュールス・ファースマン
撮影:グレッグ・トーランド
音楽:ヴィクター・ヤング製作年度:1943年
字幕スーパー、日本語字幕のみ
117min.
モノクロ
発売元:株式会社アイ・ヴィー・シー
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