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Pravdaの日記: 〔DVD〕 オブローモフの生涯より

日記 by Pravda

ニキータ・ミハルコフ監督の初期作品から、第三回目は『オブローモフの生涯より』(1979年)。

19世紀のペテルブルグ、主人公のオブローモフは寝てばっかりの無為な毎日を送る三十歳を過ぎた独身男。不在地主といっても貧乏で、老僕のザハールと二人暮らしだが家賃を滞納し追い立てをくっている。そんな彼と好対照なのが親友の実業家シュトリツ。オブローモフの善良さと純粋さを愛しつつも、彼の怠惰な生活を改めさせようと、パーティーに連れて行ったり色々な人に紹介したりしている。そんなある日、知り合いの娘オリガをオブローモフに引きあわせる。シュトリツが商用でパリに旅立つ前、彼は留守中のオブローモフのお目付け役をオリガに頼む。美しく心優しいオリガに接し、オブローモフは恋をしてしまうが、自分は彼女に釣り合わない男だと煩悶する…。

ネーヤ・ゾールカヤ『ソヴェート映画史 ─ 七つの時代』(ロシア映画社、2001年)という本によると、「傑作文学の映画化作品がどれひとつとしてオリジナルを凌駕していない」という文脈ですけれど、優れた映画化作品として以下の3つをあげています。(p.33)

  • オーソン・ウェルズ監督『フォルスタッフ』(1966年)
  • ルキノ・ヴィスコンティ監督『白夜』(1957年)
  • ニキータ・ミハルコフ監督『オブローモフの生涯より』(1979年)

この映画の原作である、ゴンチャロフの小説『オブローモフ』では、ロシア貴族の無為徒食の典型として相当辛辣に書かれているそうですが(未読)、ミハルコフはかなり好意的に、ユーモアをまじえて描いています。

この映画の回想シーンは実に甘美で、幼いオブローモフを抱き上げる優しい母の役は、『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』(1977年) [srad.jp] にも出演したエヴゲーニヤ・グルーシェンコ。こんなお母さんに育てられたら、なるほどオブローモフの根っからの善良さと純粋さも分かる気がします。

親友のシュトリツは父がドイツ人、母がロシア人。早くに母親を亡くし、学校を卒業した後、万事がドイツ流の父親の方針で家から出されます。55min.からの、故郷をあとにするシーンが良いですね。父親も別れを惜しんでいるのですが、息子とは握手のみ。近所に住むロシア人たちは目に涙を浮かべて見守っています。いよいよシュトリツが去ろうとした時、隣人たちは叫びます。「私たちに、お別れをしておくれ」。シュトリツは引き返し、馬から降りて隣人たちと涙の抱擁と接吻。ドイツ的な勤勉さとロシア的な情愛の濃さとをあわせ持つ人物で、だからこそオブローモフと親友なのですね。

オブローモフの役はオレグ・タバコフ。シュトリツと、若い娘オリガにそれぞれ扮するのが、『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』(1977年) [srad.jp] にも出ていたユーリー・ボガトィリョフとエレーナ・ソロヴェイ。三人が冬にスケートをするシーンや、三輪自転車に乗って興じるシーンは、ロシアの冬景色および夏の田園風景と相まって、詩情あふれるみずみずしい演出。

ラストは書きませんが、胸が締めつけられるような抒情と透き通った哀しみがひしひしと伝わってきます。上述の本でゾールカヤ女史は「ミハルコフ監督の本当の開花期は次の十年間」(p.400)と書いていますが、無垢で若々しい初期作品にも独特の魅力があります。機会のある方は、ぜひご覧になってみてください。

以下、DVD裏のデータより。

■ CAST
オレグ・タバコフ
ユーリー・ボガトィリョフ
アンドレイ・ポポフ
エレーナ・ソロヴェイ
アヴァガルド・レオンチェフ
アンドレイ・ラズモフスキー
オレグ・コズロフ

■ STAFF
監督:ニキータ・ミハルコフ
脚本:ニキータ・ミハルコフ/アレクサンドル・アダバシャン
撮影:パーヴェル・レベシェフ
美術:アレクサンドル・アダバシャン/アレクサンドル・サムレキン
作曲:エドゥアルド・アルテミエフ
音楽:ベッリーニ/ラフマニノフ

公開年度:1979年
字幕スーパー、日本語字幕のみ
140min.
カラー
企画・制作・発売元:株式会社アイ・ヴィ・シー
販売元:株式会社ビーム エンタテインメント

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