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Pravdaの日記: 〔DVD〕 ローゼンシュトラッセ

日記 by Pravda

ユニバーサルの1500円DVDより、第三回目は『ローゼンシュトラッセ』(2003年)。日本では劇場未公開のようです。ナチスドイツでの「異人種間結婚」をテーマにした、ドイツ=オランダ合作映画。

現代のニューヨーク。父が死ぬと、ハナの母ルートは突然ユダヤ教の慣習に従って喪に服し、お悔みに来たレイチェルという中年女性に冷たい態度をとる。ハナがレイチェルから話を聞くと、彼女はルートの従姉妹で、戦後ルートが米国に渡るまでルートを庇護していたレナ・フィッシャーという女性が居たことを知る。ハナがベルリンに行くと、レナ・フィッシャーは90歳と高齢ながらまだ存命で、レナから当時の話を聞く。

1943年冬のベルリン、ローゼン通りにユダヤ人社会福祉事務所のビルがあったが、当時はユダヤ人の仮収容所として使われていた。そのビルの前には、夫に一目でも会いたいというドイツ人女性たちがじっと立っていた。ルートは当時8歳。母親がそのビルに収容され孤児同然になっているのを保護したのがレナ・フィッシャー。レナは旧姓フォン・エッシェンバッハという軍閥貴族の令嬢で、そのコネを使ってなんとか夫のユダヤ人ファビアンを救い出そうとする…。

この映画の最初には、以下のようなタイトルが出ます。

1943年2月27日~3月6日
ローゼン通りでの事実

英語版Wikipediaにも、Rosenstrasse protest [wikipedia.org] の項がありますが、私のような日本人にはどこからが創作か判りにくく、そもそも、ドイツ人の妻を持つユダヤ人男性が拘禁されることがニュルンベルク法で是だったか非だったかも分かりません。こういう作品のDVDこそ、監督インタビューなどの特典が付いていてほしいのですけど、残念ながらフォト・ギャラリーのみ。

最近出た、飯田道子『ナチスと映画 ─ ヒトラーとナチスはどう描かれてきたか』(中公新書)を乱暴に要約すると、戦後、ヒトラーやナチスの描かれ方は三期に分類できるようです。まず、アウシュビッツ収容所のドキュメンタリーと共に、ヒトラーやナチスを「絶対悪」と描く第一期。ルキノ・ヴィスコンティ監督『地獄に堕ちた勇者ども』(1969年)や、リリアーナ・カヴァーニ監督『愛の嵐』(1973年)のように「倒錯の美」を示唆した第二期。アレクサンドル・ソクーロフ監督『モレク神』(1999年)や、オリヴァー・シュピーゲル監督『ヒトラー ~最期の12日間~』(2004年)のように「絶対悪」ではなく「人間」として描く第三期。この映画は第三期に属し、その例に漏れず、賛否両論があるそうです。

上述の本によると、ナチ時代の12年間にドイツでは劇映画が1100本程度製作され、その大半がコメディ、冒険、音楽、恋愛・ファミリーが主題の、政治色のない娯楽映画だったとか。(p.105) 年間約100本。毎週2本の新作映画が提供された計算になります。ナチスの権力基盤は「民衆の支持」ですので、民衆の生活レベルの維持に相当配慮し、1943年のドイツの消費財生産は、質を別にすれば、戦争が始まった1939年の93%を保っていたそうです。(山本秀行『世界史リブレット49 ナチズムの時代』より)

その消費財生産は、他国や占領地域からの徹底的収奪で成り立っており、恩恵を受けていたドイツ人にとって、ナチスドイツは依然として容易に癒えない「傷」であるようです。この映画の106min.頃、「女流監督はまだ汚らわしい映画を?」というレナのセリフがありますが、プロパガンダ映画の監督であろうと娯楽映画の監督であろうと、ユダヤ人や外国人労働者の強制労働の上で生活していた点は同じ。

以下、DVD裏のデータより。

■ CAST
カーチャ・リーマン
マリア・シュラーダー

■ STAFF
監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ
脚本:マルガレーテ・フォン・トロッタ
撮影:フランツ・ラート
音楽:ローク・ディッカー

公開年度:2003年
字幕スーパー、日本語字幕ほか
130min.
カラー
発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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