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Pravdaの日記: 「ガラパゴス」という言説 15

日記 by Pravda

NAZZさんの日記 [srad.jp] 経由、なぁ、日本が独自のことをするとガラパゴスと呼んで、アメリカが独自のことをするとグローバルと言うのはやめないか? [cnet.com] より。

池田信夫の記事を見て笑った。アメリカがやっているモデルを次々と上げてグローバル化だ、日本はガラパゴスだと言い立てるアナリストが多い。まぁ、そう書くと釣られる人も多いからだろうね。(ぼく含む。)

池田信夫センセといい、野口悠紀雄センセといい、経済アナリストやらは、アメリカだけ見てそうことを言う人が多いようですね。

個人的に「ガラパゴス」と聞いて連想するのが、近世以降のヨーロッパの歴史。あんな狭い地域に多くの国がひしめき、戦争をドンパチして富国強兵に邁進してたなんて、世界史全体から見ると特異です。境を接する同時代のイスラム圏の人々は「ヨーロッパって野蛮だよなあ」と思ってたかも。

以下、海堂尊『ジェネラル・ルージュの凱旋 下』(宝島社文庫、2009年)より引用。

沼田は唇を震わせる。
「私はハーバードの標準(スタンダード)に従っている」
速水はゆっくり首を振る。
「語るに落ちたな、沼田さん。あんたの言う倫理ってヤツは米国の片田舎、ハーバードのドメスティック・ルールであって、世界標準(グローバル・スタンダード)には程遠い。カントだ、ヘーゲルだ、と西洋かぶれのことばかり言ってないで、たまには大乗仏教仏典や諸子百家の叢書(そうしょ)でも読んでみやがれ」
蒼白になった沼田に、速水は短く、そして鋭くとどめを刺す。
「俺ならエシックスの本家、米国を支配している大統領に老子(タオ)の考えをぶちこんでやるがね。それこそ倫理が求める世界平和達成のためには一番の早道さ」
速水の啖呵(たんか)は完全無欠、全くもってそれは見事なものだった。〔p.84〕

経済学って学問は、社会の経済活動を対象に、社会をより良いものにするための学問ですよね? アメリカ万歳を唱えるための学問じゃないですよね? 人口1億3千万人もいる日本の情報インフラの一翼を担って、しかもコンテンツ配信で利益を出しているケータイを揶揄するための学問じゃないですよね? 「おカネを通じてどう世界の人々の暮らしをより豊かなものにしていくか」くらいの高邁さは持ってもらわないと。

# 「アメリカでは…」などと口をそろえて言う連中の方が、よほど米国方面に視野狭窄な「ガラパゴス」なのかも。そういう賛美や信仰告白を、少なくとも私は聞き飽きました。

この議論は、Pravda (33859)によって ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
  • netbook というものが流行りましたが、あれはアメリカのものですか? 違いますよね?! ASUSは台湾の会社。

    CD-ROMやDVDや Blu-Ray の規格は フィリップスとSONY のものですよね? フランスと日本の企業ですよ??! (東芝とか日立の方がDVDに関しては先にスタンダードに入っていたが、使われた技術はフィリップスとトムソンとSONYに置き換えられている)

    実は「アメリカ発の」標準規格ってデファクトも含めてそんなに多くない。通信プロトコル(Ethernet からはじまって TCP/IP とか FTP とか)はアメリカが多いですが、HTML はイギリスだし。

    .

    ただし、アメリカは IEEE で作った規格を ISO に持ち上げるための活動がものすごく盛んな上に、莫大な企業寄付と税金をぶち込んでいる。なので、もしあなたがなにか新規のアイディアを持っていて、それを世界標準にしたいなら、JISなんぞに提唱しても時間の無駄。IEEE に提唱すれば確実に ISO 化される。だからアメリカ発のものはグローバルスタンダードになるし、日本の規格はガラパゴスになる。

    ガラパゴスと言うのは「どこの国にいる誰が提唱したか」じゃないんです。そもそも世界標準にするべく発信したかどうかがガラパゴスかどうかの基準。標準化すれば世界的に有名になれますし、特許でもウハウハです。なにより、他社の類似技術を封殺することが出来る。だから経営戦略として考えた場合に、自社技術を国際標準化するために大金をはたくのは当たり前。また、外国から輸入品を買った場合に、いちいち自国の標準とのずれを意識しなくて良いから、トータルで見るとコストダウンになる。だから政府が自国標準を世界標準にするために支援をするのも当たり前なんです。だってそちらの方が安上がりなんだもの。
    日本の企業の多くは、この発想が無いのが問題なんです。日本の政府にはこういうコストを払わない。

    アメリカは科学技術の振興のために税金を真水で日本の10倍ぶち込みます。その結果を世界標準にするためのコストは100倍払っています。日本との人口比は2倍しかありません。だから、アメリカ発だとグローバル と判断されるのです。過去に支払ってこなかったために生じている不利益を払拭する分も含めて、日本が科学技術振興に今の40倍、それを世界標準にするためのコストを今の400倍ぶち込めば、JIS規格こそがグローバル・スタンダードになるでしょう。

    .

    そういうことをちゃんと理解してから CNET の記事を読むなら…ありゃただのケツの穴の小さなアホが、ろくに何も判らないまま嫉妬で書いているだけの記事。あれに賛同するのは、小さな島国から出たこともないまま大本営発表を頭から信じている阿呆だけです。

    --
    fjの教祖様
    • 拙文へのコメント、どうもありがとうございます。

      たしかに、国際標準規格に関しては、おっしゃる通りだと思います。規格を ISO に提唱するのに、アメリカの企業どうしは激しい主導権争いを演じるものの、最終的には「アメリカ案」としてキチンと一本化すると聞きます。(そうしないと米国政府からお金が出ないから?) 一方、日本政府はそういうことに関心が薄いですし、日本メーカーはお互い足を引っ張ることしか考えない。…というトホホな話は、片手で数えられないくらい聞いた覚えがあります。

      しかしまあ、国際標準規格に限らず、日本には「アメリカ発=グローバル」と思っている人が多くて、また「アメリカは何でも素晴らしい」と無責任な言説を垂れ流している日本人も、このご時世にまだ居るワケでして。この前のお正月、実家に行って親父と話をしてたら「今の日本の若いモンはなっとらん。アメリカ人の公徳心を見習え!」などと言われ、思わずビール吹きそうになりましたよ。まあ、親父はハワイに観光でしか行ったことなくて、私も五大湖周辺に社用で3ヶ月ほど居ただけなので、目クソ鼻クソかも知れませんけれど。

      おっと、日本で使われている「グローバル・スタンダード」は一種の和製英語で、英語で “global standard” というと、せいぜい国際工業規格という意味だとか。たしか『「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった』(新潮新書)という本に書いてあったと思います。okkyさんは英語本来の意味で、ISO の国際標準規格の話を書いておられるのですよね。

      親コメント
    •  本題からずれますが、フィリップス(Royal Philips Electronics)はオランダの会社です。同社の歴史ページ [philips.co.jp]
       参考までに記しますと、同社の"Company Profile" [philips.com]は次の一文から始まります。"Royal Philips Electronics of the Netherlands is a diversified Health and Well-being company, focused on improving people’s lives through timely innovations."
       オランダ王室のフィリップス王子が設立したので社名に"Royal"を関しています。

       以上、参考までに。

      --
      ここは自由の殿堂だ。床につばを吐こうが猫を海賊呼ばわりしようが自由だ。- A.バートラム・チャンドラー 銀河辺境シリーズより
      親コメント
  • TwitterのTLにタイトルだけリツイートされていて、最もなことだ、
    と思ったのだが、CNETの中のブログが元だったのか。
    もしかしたら自分にとってRSSよりTwitterでネタを先に知った最初の事例かも。
    でも議論の流れをたどりにくい、一次情報にたどり着きにくい、
    っていう点であんまりTwitterって好きになれないんだよな。

    って、本論と関係はなしでスマン

    --
    屍体メモ [windy.cx]
  • それ以外のなにものでもないので別にどうという事はない。
    強いて問題を挙げるとするならマーケティングの弱さだろう。

    また「××では〜」という表現は「常にどこかに回答があると思い込んでいる」というまた別の問題。

    というより問題たり得るのは後者だろうな。探すだけで考える事を放棄しているという大問題。

    • コメントありがとうございます。

      それ以外のなにものでもないので別にどうという事はない。
      強いて問題を挙げるとするならマーケティングの弱さだろう。

      御意。まあ、日本も人口1億3千万人ほどいて(ドイツ語圏とほぼ同じくらい)、購買力もけっこう高いので、マーケットとして(業種によりますけど)大きいと思うんですけどね。ライセンス商売でウマウマ、ということをやろうとすれば、やはり世界の舞台で戦わないといけないのでしょうけど。

      脱線ですが、グローバル化という考えは過去のキリスト教会の心性と似てるのでは?、などと個人的に思ったり。カトリックという言葉自体、「公同・普遍」の意味があるそうですし、単性説の宗派など強力なライバルを、公会議を開催して異端と決めつけ蹴落とすなど、いろいろとアレな過去があったとか。

      アメリカは、英国から来た清教徒がメインで作った国ですのでプロテスタント系が強いですけど、中国の清朝末期あたり、アメリカの宣教師たちが布教で海を渡って開設した学校が、現在の中国の名門大学の母体になってるそうですが、こちらの話も詳しくありません。(^^;

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    • そう思っているなら、太い間違いでしょう。外に出ることを前提としている物事と、阿吽で通じるつもりでいる物事との差は決定的です。

      #というか、日本人は自国の文化が通じる範囲に無い相手に対して、何かを説得しようとする訓練が決定的にできていないことが根底にあるんだろうな。

      親コメント
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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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