Quest of Mathの日記: 連立微分方程式(7) 4
日記 by
Quest of Math
指数行列
e^(t*A)
のtに関する微分について
d( e^(t*A) )/dt = A*e^(t*A)
これを証明せよ。
[追加]n次行列A*Bについて
(1)A*B=B*A ⇒ e^(A+B) = (e^A)*(e^B)
(2)(e^A)の逆行列 = e^(-A)
(3) あるn正方行列Pと、その逆行列Qについて
e^(P*A*Q) = P*(e^A)*Q
これらも証明せよ
証明 (スコア:1)
仮定してあるものとする。
e^(A*t) = Σ(1/k!)*(A*t)^k (k:0~∞)
であるので、
d(e^(A*t))/dt = d(Σ(1/k!)*(A*t)^k)/dt
項別微分可能より、
d(Σ(1/k!)*(A*t)^k)/dt = Σ(A^k/k!)*d(t^k)/dt (k:0~∞)
微分するので、上のkは1から始まることになる。
Σ(A^k/k!)*d(t^k)/dt
= Σ((A^k)*k/k!)*t^(k-1) (←ここからがk:1~∞)
= Σ((A^k)/(k-1)!)*t^(k-1)
= A*Σ((A^(k-1))/(k-1)!)*t^(k-1)
ここで、
Σ((A^(k-1))/(k-1)!)*t^(k-1) (k:1~∞)
は、k=1を代入した時,k=0から始まる関数級数
Σ(1/k!)*(A*t)^k (k:0~∞) = e^(A*t)
と等しいので、
Σ((A^(k-1))/(k-1)!)*t^(k-1) (k:1~∞) = e^(A*t)
より、
d(e^(A*t))/dt = A*e^(A*t)
証明(1) (スコア:1)
指数行列の定義から
e^(A+B) = I + Σ((A+B)^k)/k! (k:1~∞)
である。(A+B)^kについて、仮定よりA*B=B*A、
すなわち可換であるので、行列「2項定理」が使える。
2項定理とは、
(x+y)^n = Σ(n!/((m!)*((n-m)!))*(x^(n-m))*(y^m) (m:0~n)
のことである。
この2項定理を使う前に、注意が一つ必要で、行列A^0を定義しなければならない。
A^0 = I (Iは単位行列)
としておく。よって
(A+B)^k = Σ(k!/((m!)*((k-m)!))*(A^(k-m))*(B^m) (m:0~n)
である。
e^(A+B) = Σ(1/k!)*(Σ(k!/((m!)*((k-m)!))*(A^(k-m))*(B^m)) (k:0~∞,m:0~k)
= ΣΣ(1/((m!)*((k-m)!))*(A^(k-m))*(B^m)
= Σ(B^m)/(m!)*Σ(A^(k-m))/(k-m)! (k:0~∞,m:0~∞)
= (Σ(B^m)/(m!))*(Σ(A^(k-m))/(k-m)!)
= (e^A)*(e^A)
となる。
捕捉しておくと、この証明はかなり強引で、どこが強引かというと
ΣΣ(1/((m!)*((k-m)!))*(A^(k-m))*(B^m) (k:0~∞,m:0~k)
= Σ(B^m)/(m!)*Σ(A^(k-m))/(k-m)! (k:0~∞,m:0~∞)
この部分である。見にくいので簡単に書くと、
ある級数Σa_n (n:0~∞),Σb_n (n:0~∞)があるとする。
このとき,「Σa_n,Σb_nが絶対収束するならば」
(Σa_n)*(Σb_n) (n:0~∞)
= Σ(Σa_k*b_(n-k)) (n:0~∞,k:0~n)
である
ということを使っている。扱っているのが行列であるので、
上の定理を拡張したものが成立しているとして証明した。
証明(2) (スコア:1)
(-A)*A = (-1)*A*A = A*(-1)*A = A*(-A)
であるので、(-A)*A = A*(-A)であるので、上の証明(1)で証明した定理
A*B=B*A ⇒ e^(A+B) = (e^A)*(e^B)
より、零行列をGであらわすと
e^(-A+A) = (e^G)
e^Gであるが、指数行列の定義から
e^G = I + (1/1!)*G + (1/2!)*G^2 + ... + (1/n!)*G^n + ... = I
e^Gは単位行列Iになる。一方
e^(-A+A) = (e^(-A))*(e^A)
であるので、
(e^(-A))*(e^A) = (e^A)*(e^(-A)) = I
より、(e^A)の逆行列はe^(-A)である。
証明(3) (スコア:1)
これを証明する。
e^(P*A*Q) = Σ(1/k!)*(P*A*Q)^k (k:0~∞)
= Σ(1/k!)*(P*(A^k)*Q)
= P*(Σ(1/k!)*(A^k))*Q
= P*(e^A)*Q