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SDの日記: 昨年のやり残しシリーズ――田嶋陽子氏、手話通訳者パージ事件を語る

日記 by SD

発生日:2010年10月3日
発生源:テレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」

番組中、田嶋陽子氏が手話通訳者パージ事件について語っていた。

放送開始から58分後、弁護士が都市部に偏っていることについて議論しているところ、田嶋氏が弁護士費用が高いことについて語り出した。その時の会話をここに引用する。いつもの通り整文化をほとんどしていない。

(文中敬称略)

田嶋陽子/だけどさ、あの、弁護士にかかるって大変だよね。だってさ、困って自分がうんと困っているときでしょ。それを弁護してもらうのにかかって、ものすごいお金取られるわけじゃない。なんか変だよね。

勝谷誠彦/なんか頼んだことあります?弁護士。

田嶋/あたしね、かつて三宅さんが勤めてらした毎日新聞のことなんだけど(男性数名の笑い)、あたし三重県かなんかで講演をやったの。そしたらあたしがね、ろうあ者を差別したっていうんで、毎日新聞の三面記事の三分の二ぐらいに大きく書かれて。それでね、嘘なのねもちろん。ないことないこと書いてからその記者に抗議したらね、「いや、その時ちょうど四日市で発砲事件があったから裏を取らないで四日市行った」っていうのひどいでしょ。それだから、謝罪文を掲げてもらいたくて、それで弁護士頼んだんだけど、見積りなんてそれこそいま勝谷さんが言ったんたけど、頼む……そんなあれなくて、知恵が。それで頼んだらびっくりしちゃったの。その抗議文書いてもらうだけで30万円も取られたのね。そういうもんなんだ。

……数秒間場内沈黙ののちに笑い……

石丸幸人(弁護士 ゲスト)/まあ、30万を高いか安いかっていうのは、やっぱり人の結構価値観で結構変わるんで。

田嶋/それは私の価値観がだから低かったんだ。

三宅久之/田嶋さんが金があると思われたんですよ。

田嶋/そんなことないよ。

やしきたかじん/いやむこうはそう思った、ね。

タイミングのいいことに、私はこの件を同じ年の5月に知り、興味があったのでそれなりに調べていたのだ。

しかし、発生時期の特定に時間がかかったのはもちろんのこと、それは何日なのか、朝刊なのか夕刊なのか、どの位置に掲載されたのかもわからないので、しらみつぶしに調べてようやくつきとめたのが以下。

1996年12月11日……朝刊27面の中央に5段ぶち抜き、田嶋氏の顔写真とその時の会場内の写真入りで掲載される。見出しは「手話通訳者は気が散る」
1996年12月21日……朝刊23面コラム「永六輔その新世界」で田嶋氏を擁護する内容が掲載される。

永六輔氏のコラムは納豆学会のサイトで全文が引用されているので(いいのかよ)それを読んでもらうとして、他の記事についても興味がある人は縮刷版で確認するといい。

そして、同じ21日の4面に田嶋氏の単発コラムが掲載されていたことから、毎日新聞社側と田嶋氏との間に何らかの手打ちがあったものと解釈し、調査を終えた。その時は。

 
しかし、テレビの話し方からすると紙面に訂正記事があるはずだ。あとで確認しよう。……と思っているうちに年を越してしまった。

そして年が明けてからようやく図書館に行って、あらためて1996年12月の12日から社会面を細部まで見たところ、記事を掲載してから3日後の社会面にあるのを見つけた。

同じ社会面にあるにはあったのだが、5段ブチ抜きで掲載した時の勢いはどこへやら。右側の隅に小さく掲載されていたのだ。その面積比、およそ10分の1。

重要な部分なのでここに全文を引用する。

11日朝刊27面「桑名での人権の集い」の記事で、講師の田嶋陽子さんが手話通訳の位置について配慮を申し入れた件に関して、田嶋さんが「できないなら、講演をお断りします」と市側に文書で申し入れた事実はありませんでした。手話通訳の位置は、市側が仲介業者の要請に配慮したもので、田嶋さんが指定したものではありません。おわびして訂正します。
――毎日新聞 1996年12月14日(土曜日)朝刊26面(見開き右側)

縮刷版で実際の記事を確認すればその差は歴然。あんな小さな記事では見逃した人も多いだろう。昨年5月に私が知った時点ですら訂正記事について書いてあるコメントを確認することができなかったこと、そして私自身が昨年5月に調査した時点で見つけることができなかったことがその証左である。

毎日新聞社としてはこれで責任を果たしたつもりでいるのだろうが、上記のことから「手話通訳者パージ事件」に関する誤解は15年も経った今も解消できていないといえる。

このことからも、記事内容に重大な誤りがあった場合、せめて掲載された時と同じページ位置と同じ面積で掲載すべきであると考える。一面トップで掲載した時の内容に重大な誤りがあったら当然一面に謝罪記事だ(そう、松本サリン事件のことを言ってるんだよ)。そうすれば掲載位置に応じたリスク判断をするだろうし。

まー、こんなことを続けているから新聞をはじめとする既存のメディアが信用されなくなっているんだろうけどさ、毎日新聞も田嶋氏も売国者同士、仲良くすりゃいいのにねえ。

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