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SS1の日記: 日本独自の有人宇宙船構想の問題点 - 3 -

日記 by SS1

争点の食い違い

それにしても「夏の自由研究」の,どこが気に入らないのだろうか。事実なんだし。文科省の予算だって取りやすいように思うが。

「構想が発表されたのは、タレコミ文にも書いてある通り、2001年12月です。」

yosukeさんのコメントには,こうあるが肝心の「提言」ではこう書かれている。

「2001年7月から9月にかけて夏休みとH-IIA初号機の打ち上げ出張をのぞくと実質、数週間で集中的に執筆された。」--2001年9月25日 先端ミッション研究センター長 岩田 勉,次世代フラッグシップミッションの提言[*]より

おやぁ?

と,いっしゅん。喜んではみたものの……

これは,こないだの議論の争点を調べていたときの副産物。で,本題はここから。

あの「構想」をこの「次世代フラッグシップミッション候補[*]」の枠組みで見ると,yosukeさんと私の論点の食い違いが明らかになると思う。

この枠組みで見ると,yosukeさんらは,「構想」を次世代フラッグシップミッション候補のなかの「有人飛行ミニマルシステム」として理解しているようだ。が,私は続くミッション「有人月探査」なども「我が国独自の有人宇宙構想」の一部として批判してる。私から見ると「有人飛行ミニマルシステム」は,具体的なミッションを提示しない。これは意図的とみえるのだが。では,それに具体的な肉付け(ISSミッションなど)をすると,そんなの想定外だからといわれる。といって彼らに具体的なミッションの想定があるわけではないのだから,まいってしまう。それとも,彼らがやりたいミッションは「有人飛行ミニマルシステム」の実証実験だけなのだろうか。

さて,前述のフラッグシップミッション候補は「10年で実現可能なもの」という縛りがある。だが,「日本独自の・・・」は,複数の次世代ミッションを束ねて,我が国独自の有人計画の中期的な展望を描いている。

この「構想」を,タイムスパンが10年程度の計画と見るのか,始めたら延々と続く(あるいは続けなければ意味の無い)長期的な有人計画と見るかで,その評価はかなり異なるものと思う。

このあたりは,善し悪しでなくて,それぞれの宇宙計画に対するタイムスパンの捕らえ方の違いというだけだ。これはyosukeさんが前に言っていたようなISSのとらえかたの違いにも表われる。

極端な例だが,ISSをタイムスパンの違いで見れば,伊勢神宮のように1000年続くものとみるか,200年で終わる参勤交代制度のようなものと見るかの違いである。短期的(20年)に見ればISSは,参勤交代のように独自の有人宇宙計画を抑止する効果があるだろう。が,もし中長期にわたって(100年)つづいたとすれば,文字通り伊勢神宮のような存在になっているかもしれない。ここでは,とりあえず観光名所になるということだけど。そういうタイムスパンの違いによる意見の食い違いが常にあるように思う。

彼らは単に「有人飛行ミニマルシステム」の「計画」として読んでて,その長期的な「構想」を軽視しているのか。それとも短期的な「ミッション」を軽視して好みの「計画」を立てているのか。そのどちらでもなく,自分の都合にあわせて,好きなほうを主張しているのか。たんに具体的なイメージが無い,その場の思いつきなのか。

けっきょく,このあたりのことが,私にはさっぱりつかめなかった。

「日本独自」にこだわるか否かは,また一つ違う視点になる。こちらは,ニーズとシーズの違いというように考えると判りやすくなる。彼らは独自技術では無い,という。その割には自分で作りたがる。こちらは,それで「その宇宙船を何に使うの?」ということが気になっているが,彼らは気にもかけない。

ハッカーのいう「自分が欲しいものは自分で作る」と「自分が宇宙へ行きたいから,自分で作る」というのは,エンジニアにありがちな「隣りの机主義」である。これは「自分の欲しいものは,隣りの机の人も欲しいだろう。」という素朴な発想に基づいている。だが,彼らにはニーズとシーズの区別がない。そのためエンジニアのニーズ,ようするにシーズを満たすものとして「オープンアーキテクチャー」を最重要視する。彼らは,けっきょく「日本独自のニーズ」に興味が無く,そのため説得力の無い「観光旅行」や,技術的にチャレンジングな「有人月探査」を提案しているのである。

このような考えかたでは「日本独自の有人計画」など,誰からも賛同されるはずが無いように私は感じる。政治の責任? そんなこたないでしょう。ニーズの創出は,エンジニアの重要なお仕事であります。

もとより次世代フラッグシップミッションとして「研究開発対象」を検討するためのものだからシーズ優先の発想は仕方のない側面でもある。また,新しいミッションを提案するから,既にあるニーズのようには納得できない面もあるようだ。(両論併記)

buck number: 1, 2, 3, 4, 5

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