パスワードを忘れた? アカウント作成
398756 journal

SS1の日記: 日本独自の有人宇宙船構想の問題点 - 4 - 2

日記 by SS1

国それぞれの,宇宙開拓史

米国の技術者資格である,Professional Engineer なんかの試験項目には,ethics の項目がある。この資格は宇宙工学や航空工学の資格もあるけど,元は土木や建築の資格なんかで,そういう人命を預かる仕事なので,技術者の倫理も問われたりするわけである。

中国初の有人宇宙飛行の記事にふれていて,思ったのだが,ほんと国それぞれの,固有の宇宙開拓史があるんだろうなと感じた。米国なら『ザ・ライトスタッフ』に代表されるし,ソ連ならガガーリンにテレプシコワ(だっけ)。それからフランスなら,ジュール・ベルヌの『月世界旅行』と,それぞれオリジンを持っていて,中国は中国で,王富さんのロケット飛行の寓話から始まる。

じゃあ,日本の宇宙開拓史は,どこから始めるのが正しいのだろう。たとえば「秋山」さんから始めるというのもあるけど,あれは,ようするに「お客さん」なわけで,開拓史としては傍流だろう。それはもちろん,シャトル,ISSになっても変わらない。それにペンシル・ロケットから始まる開発史も,有人の開拓史とは繋がらないように思う。

で,ザ・ライトスタッフになぞらえるなら,やはり戦中だかに開発された有人ロケット「秋水」から始めることが,正しいように思うわけだ。ご存知のとおり,こいつは第一回目の試験飛行で墜落して,いきなり犠牲者を出した。このときの有人飛行の失敗を負債として現在も引きずっている,とも考えられるのではなかろうか。

そして,良くも悪くも,こうした日本の遺産を引き継いでいるように思われるのが,彼らの有人宇宙船「ふじ」の構想である。彼らの構想のコンセプトである,「使い捨ての誘導装置」や「量産化と簡素化によるコストダウン」は,戦中に開発された「桜花」と共通する。もちろん,彼らは関連そのものを否定するか,わからんけれども,その発想は当時と変わらないように思う。彼らがヒトではなく,マイコンによる誘導装置を使うのは,単に「安いから」であるし,トレーニングされた宇宙飛行士ではなく,一般のヒトをペイロードにするのも,訓練された人間に比べて「安くつくから」であろう。

彼らの発想は当時の無責任なエンジニアと大差が無い。先日の記事からは,私には,そうとしか受け取れなかった。彼らは,「シャトルが危険すぎる」というが,じゃあ,これまでの日本の有人ロケットが,どれだけの生存率だったか,知っていて言うのだろうか。彼らの言いそうなことは想像がつく「現代のテクノロジーなら・・・」。しかしだ。彼らの基本的な発想や責任の取りかたや倫理観に,過去の日本の開発者たちと違いが無い。それが否定できないのであれば,その安全性もたかがしれているというものだ。一言でいって,彼らに有人宇宙船を構想する資格など無かろう。

日本が独自に有人飛行を行わないのは,けっきょく,これまでも責任を取ってこなかったというつけが回ってきているにすぎないのである。

#ちょい直した。
#コメントのM5は,ペンシルロケットからの直系でいいんじゃないかと思う。M5と秋水の連続性ってなんだかわからないけど。

#はじめのセンテンスの続き。

インタビューで立花氏がした「月にロボットを送る」という対案には,そういった考察も含まれていると思う。彼らはホンダが人型ロボットのASIMOを作るに当たって,「なぜ作るか?」や,さらに倫理的な是非にまで踏み込んで考えていたことを知っているはずだからだ。独自に有人宇宙開発をするなら,いったん,そこまでさかのぼって考える必要がある,ということなのだ。

buck number: 1, 2, 3, 4, 5

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

日本発のオープンソースソフトウェアは42件 -- ある官僚

読み込み中...