SS1の日記: ガラパゴスのジレンマ 3
すっぱいスレが続いていますが・・・ 規制緩和の話とか。
ガラパゴス問題の話をするのに読んでないのは、まずいかと思って、『イノベーションのジレンマ』をこないだ初めて読んだところ。経済関連の人なら読まずに話すな、とか言うかもしれませんが。
97年に米国で出版された同書は、90年代のIT業界を中心に、大手企業が破壊的イノベーションに追従できずに市場から退場してしまうメカニズムを経済学的な視点で分析し定式化したものです。これは、すでに成功した企業のもつ顧客や資本効率から、かれら優良企業は、顧客の要求に最適化するような持続的イノベーションは可能だが、その関係(バリューチェーンを破壊するような破壊的イノベーションには失敗してしまう。という話。
この指摘は90年代初頭(だったか)にIBMに在籍していたゼロ・ハリ氏が、彼が廃人と呼ぶオタク・ユーザーの要求に応えたハイスペックなPCに最適化してしまうと、逆に市場から取り残されてしまう。という話をしていて、まさに、90年代のPC業界の話と言っていいと思います。逆に言うと今更、20年前の話を読んでもなーという内容とも取れます。
ただ、同書を読むことで、菅・竹中の論争に噛みついている池田氏のいうような「規制緩和」が、単純にはうまくいかない。ということも同書を利用して説明できるんじゃないかと思いました。
既存のバリューチェーンを最適化するだけの規制緩和は失敗する
というのはですね。たとえばタクシーの規制緩和。これは02年に行われていますが、失敗してると言っていいと思います。結果として起きたのは、市場は縮小しタクシー運転手の給料が下がったことだけでした。つまり、竹中のいう供給サイドの規制緩和はうまくいかなかったといえると思います。では、どうするべきか。
タクシー業界では、すでに破壊的イノベーションが進行中である
じつは、タクシー業界についていえば、すでに破壊的イノベーションが誕生しています。それは、タクシーとは呼ばれていません。運転代行業ってやつ。これが破壊的イノベーションを起こし、現在もタクシー市場を食い荒らしつつ普及しつつあります。
なぜ、「運転代行業」という規制緩和が行われたのか?
これは東京に住んでいる池田氏には気付きにくいと思いますが、地方では居酒屋帰りの飲酒運転が80年代から問題化していました。でもって、いつごろだったか、筑波で「ソフト&ライド運動」というのが起こりまして、飲酒運転撲滅キャンペーンが行われました。当時の筑波で仕事してた人ならわかると思うんですが、早朝のKEKに繋がるとおりとかを走っていると、中央分離帯に乗り上げた自動車がそこここに打ち捨てられている(笑 という、つくばの風物詩になっておりました。でまあ、それじゃまずいと。そういうことになって筑波で行われた政策が「運転代行業」の自由化。というやつでした。私も筑波じゃ使ったことなかったんですが、3年ほど前に地方に長期出張してた時、利用したことがありますが、まあ、これが便利。かつ安い。
たぶん、初乗りはタクシーより高いと思うんですが、距離乗るとタクシーより安くなるのですね、おまけに行きは自家用車で行くから、必要なのは帰りの運転代行代だけ。ですから、飲みにいくなら運転代行。という感じになり。たぶん、現在の地方都市ならこれが一般化していることだと思います。
こうして見ていくとわかるとおり、破壊的イノベーションを生む規制緩和は既存のバリューチェーン(既存勢力といってもよい)を最適化するタクシー料金自由化のような、供給視点の竹中的規制緩和からは生まれないことがわかります。そうではなく、利用者視点の規制緩和。ここでは、居酒屋で飲んだくれる酔っ払いのニーズに合わせた規制緩和が行われたことで初めて新しい市場が開拓され、破壊的イノベーションが生まれることがわかります。
つまり、経済学の話としてみると、多少の用語の混乱はありますが、竹中の規制緩和は02年のタクシーの例でみるように失敗しており、管のいう消費者視点の規制緩和のほうが全体としてイノベーションが進む。という可能性が指摘できると思います。
では、どのようにこうした規制緩和を行えばいいのか? ですが、これは、もともとの筑波の例を見てわかるように、地方自治体などのユーザーに近いところで判断し、政策を実施することが効果的なのではないかと思われます。ようするに地方分権ってことで、政策的に見ても竹中より菅のほうが、より効果的な成長戦略をとれるんじゃないかと。
--
12.27 管→菅
破壊的イノベーションと成長 (スコア:1)
新陳代謝が必要なのは解りますけどね。
タクシーの例は微妙かと。 (スコア:0)
タクシーを例に挙げてしまうと、
そもそもタクシーの運転手(のような付加価値の低い仕事)は移民等が担うべき、
というのが平均的な先進国のありようです。
つまり、国内のタクシー運転手の給料は、今後さらに下落するはず、
というのが現実だと思います。
ナビが普及した現在、道を覚えることすら不要になりましたし。
タクシーの規制緩和で、運賃の自由化は
業界の猛反発で取りやめになってしまいました。
本来の意味での規制緩和が行われませんでしたので、
その裏をついて代行業が成長したと考えることも出来ます。
(運賃が十分にさがれば、行きもタクシーで良いと考えるかもしれません。
車の保有コストとかもありますし←地方では不可欠でもありますが)
なんか乱文になってしまいましたが、大変ですね、これからの生活は。
Re: (スコア:0)
本来の意味での規制緩和が行われると、
海外並みに賃金低下に伴う運転手全般の質の低下が起きて、
そこらじゅうで事故起こしたり、料金を誤魔化してトラブったりするんですね。
いや、マジ勘弁。
タクシーに限った話じゃありませんが、
輸送分野は単に規制緩和すると、真っ先に安全が犠牲になります。
運送業では既にそうなってしまったじゃないですか。
それが動かし難い現実です。
であれば、緩和してはいけない部分と言うのは出て来る。
まず大前提として安全義務がギチギチに規制されていたならば、
(勿論、下請け従業員の健康状態の管理責任まで含めての安全義務です)
それを守るために運転手には高い規範が要求され、給与は無闇に下げられないはず。
その状況下でも価格競争が成立するとすれば、それは妥当な競争でしょうけど、