SS1の日記: 天地不明察 1
今、アフタヌーンで連載しているマンガ。天地明察がおもしろい。現在のストーリーは、江戸時代に日本の天文学を復興することになる渋川春海が、算術家の関孝和に和算の設問をしたが、それに誤りがあって大ショックを受ける。というところ。
作図された問題なのでマンガだとわかりやすくていいんだけど、気になったのが、「誤り」を正した元の答えがいくつなのか? ということ。作中では「径矢弦の法を使えば解ける」とかいうんだけど、まあ、ふつーに解いてみようかとおもって。
作図の誤りを直すと、いわゆる「三平方の定理」で解ける問題で、直角二等辺三角形の長辺が、7分の30寸。でもって、短辺と、それに直角のところから垂線を引いて、そのまた短辺との差を求めればよい。はず。
でまあ、計算してみましたですよ・・・ 式は、こんなかんじ。
(√2-1)*15/7 …式1
で、√2って、算学ではどう記述すんだろうとか・・・ もう、「平方根」とかあったのかな。それに設問で有理数を使っているので、答えも有理数で・・・ と思ったが、無理数の答えは、半紙に書けないと思われ。それに、√2って、当時はどうやって計算するんだろう・・・とか。ここから、脱線して√2を計算する方法を考えてみた。
えーと。√2ってのは、
2=x2 …式2
だから、この式2をいじって、追い込む方法を考える。
式2は、交換法則をつかうと、
x=2/x …式3
とできる。んで、式3から、
{ y=x、 y=2/x } …式4
という関数を作って、グラフにプロットすると、双曲線と斜めの直線のグラフになる。これの交点を求めれば√2になるわけだ。
んでまあ、けっこう苦労したりしたんだけども、次のような性質を利用して式を立てればいい。
0 < x < √2 のときは、 0 < 2/x - x で、
√2 < x ≦ 2 のときは、 0 > 2/x - x なので、
x1 = 1
xn+1 = xn + (2/xn - xn)/2 …式5
みたいな、数列を作れば√2に収束する。 式5の最後2で割るのは、こうしないと発散しちゃうため。xの逆数を求めるのがウザイが、まあ、答えが有理数でよければ、分数の天地を入れ替えるだけなので・・・
というところで、√2の計算で燃え尽きた。ので、渋川春海の答えを出すところまでやってないんですが、このやりかただと「径矢弦の法」というより、ニュートン法だよねぇ・・・とか。 作品の舞台は1661年とのことで、まだニュートン生まれてないよねぇ・・・だし。いったいどうやって、答えを求めたんだろう・・・ などと。
零約術 (スコア:1)
関孝和ですと,零約術とかありませんでしたっけ.
こんな感じで.
http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~susumu/lecture/kjsen11/ex/C-B-2/index.html [kyoto-u.ac.jp]
和算でも無理数のようなものがあるというのは(確か厳密な証明ではなく,感覚的に)認識されていたものの,実用的な有理数での近似を重視していた,とか聞いた覚えがあります.
江戸時代も後期になるとニュートン法と同様な近似解の求め方など,収束の早い手法が開発されたようです.