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中国

SlippingStaffの日記: 戴氏心意拳について

日記 by SlippingStaff

戴氏心意拳を心意六合拳の他の系譜と大別あるいは対置することは、歴史的にも風格上も妥当であると思う。
しかしながら、昨今伝承者たちの演武を動画で見比べるに(良い時代になったものだ)、用法・勁道において確かに他派と同根と信ずるに足る要素を持つ。

その動きは、河南の各派や心意把とは大きく違って見える。
一見して小さく軽く柔らかい。しかして必ず鋭く疾い段階を伴う。
シャクトリムシとも形容された(松田さんだったかな?)、心意拳の核心だけを剥き出しにしたかのような動きである。

違いはおそらく、他の派には有る「先に展開(開展)を求め〜」の教育段階を省いている(ずっと省いてきた)ことにあるだろう。
大開大合、伸びやかな動きによるチュートリアルや限界把握の過程、それを有さない。
伝承に正確に沿った筋骨の形・動かし方を、練功や初期の修業段階から叩き込む。
相手の正中線を攻め自分の正中線を守る身法を、若手にも執拗に要求する。戴氏にはそういう過激なストイックさがある。
かつて雑誌「武術」に、小学校くらいの歳と思しき女の子にあの細帯を使った練功をさせる写真が載っていた。
アレの先にある技術はほとんど明白であり、なんとえげつない(ほめ言葉)教育システムを持つのかと思う。

そして改めて。

この「他の派には有る『先に展開(開展)を求め〜』の教育段階を省いている」所が、私はどうにも好きになれない。
え?動きがキモいからだろうって?……まあ、それもある。

どの流派でもだいたい初期の練習法は、大きく・伸びやかに・力いっぱいに、だ。
それは基本功も套路も単練も変わらない。
やはり自分で象っていて楽しい・美しいと思えるのは、日常の身法が変わってきたと実感できるのは、大開大合の「良い汗かいたー!」の動きを経てこそだ。
力みなくして解放のカタルシスはありえねェ、に心から同意する次第である。

もう少し言えば最大派閥の上海系も好きじゃないが、それは河南派の中では戴氏寄りの緊奏さを要求するから。
実戦経験ゆえのコンパクトさとは思うものの、初期段階の套路くらいは伸び伸びとやりたい。
つまり、徐文忠氏、徐谷鳴氏ではまだ足りない。
体を動かす目的なら、李新民氏の超分っかりやすい体操風四把捶の方がずっといい。

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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