Takahiro_Chouの日記: 【映画】1987、ある闘いの真実 1
パンフレットを見たら、CAST一覧のページで、悪役ポジョンの筈のパク所長が主役扱いだった。
まぁ、「え?? 予告では、こいつが悪役じゃなかったっけ??」ってヤツが、かつて失なった家族らしき人達の冥福を祈ってるシーンから映画が始まり、単なる悪役って訳じゃなくて、部下の為なら上司にも噛み付くが、部下が一線を超えたら「お前じゃなくて、お前の家族が無事じゃ済まんぞ」と云うエグい脅しをするが、「お前じゃなくて、お前の家族が無事じゃ済まんぞ」と云う最終兵器は、実は、自分自身の古傷をも抉るモノだった、と云う凄まじさ。
終盤で、あるキャラに「俺は、北で金日成の手先どもに家族を殺されたんだ〜。お前も同じ目に遭わせてやろ〜かぁ〜??!!」と泣きながら脅すシーンは圧巻の一言。人間でありながら人間性を失なった系の悪役ではなく、人間性を失なっていないが故に逆に禍々しいタイプの悪役である。
文句なしに、今年観た映画の悪役No.1。対抗出来るヤツが居るとするなら「アイ,トーニャ」の毒母ぐらいか。え?? サノス?? あぁ、そんなのも居たけど、記憶の彼方です。キルモンガー?? あれ、悪役じゃなくて、ヒーローじゃなかったっけ??
一方で、それに立ち向かうのが、ハ・ジョンウ演じるチェ検事。
「二十そこそこの健康なヤツを容疑者じゃなくて参考人として引っ張って来たら『取調べ中に心臓発作』って、そんな訳有るか〜!! 火葬する前に、ちゃんと解剖しろ〜!!」
と凄く全うな事を言ってるソウル地検公安部の部長だが、パク所長と口喧嘩になった際には、脱北者であるパク所長に「いい加減、その北の訛を何とかしろ」と、よくよく考えなくても色々酷い事を口走る。しかも、勤務中でも酒が手放せないアル中。警察その他からクレームが来ると雲隠れするが、どうやら毎度の事らしい。
早い話が、韓国映画名物「正義の味方を敢てロクデナシとして描く」パターンである。いや、別の映画の話だけど、同じ韓国の映画「弁護人」の主人公のロクデナシ描写については、その主人公のモデルになったノ・ムヒョンの遺族は怒って良いと思います。
ちなみに、パク所長を演じるキム・ユンソクと、チェ検事を演じるハ・ジョンウが、敵同士として共演した韓国映画は、俺が知る限りでは、この映画で、3つ目だったりする。
2008年の「チェイサー」では、ハ・ジョンウが連続殺人犯、キム・ユンソクが元刑事でデリヘルの雇われ店長。ハ・ジョンウがデリヘル嬢を殺してたのに、キム・ユンソクが「あいつがウチの女どもを足抜けさせてる」と勘違いしたせいで……と云う話である。
一方、2010年の「哀しき獣」では、主役・悪役が逆転し、ハ・ジョンウが成り行きから韓国に密入国し暗殺をやる羽目になった中国朝鮮族のタクシー運転手(ただのタクシー運転手に、ロクな武器を持たせずに、柔道の重量級でオリンピックに出場した事の有るヤツを暗殺させる、と云う超無理ゲー)、キム・ユンソクが「牛骨で襲い来る敵を次々と殴り倒す」と云うシーンで、日本の韓国映画ファンの間で、一種のアイコンと化したミョン社長を演じている。
ちなみに、両方とも、監督は、後に日本の國村隼が出演した事でも有名なホラー映画「コクソン」を撮る事になるナ・ホンジン
で、この映画に話を戻すと、パク所長の息の根を止めるのは、途中退場するチェ検事では無く、パク所長が歯牙にもかけていなかった人々が繋いでいった、か細い糸だった。
そして、自分では、国に尽しているつもりでいながら、実は、仕えている相手は国民でも目指すべき国の理想でもなく、単に時の政権、時の権力者の走狗でしかなかった男は、最終的に、その政権・権力者に切り捨てられる。
だが、既に、それで済む状況ではなくなっており……時の韓国大統領・全斗煥は権力の座を降り、その結果起きた80年代終盤の民主化は、韓国の新たなる「建国神話」となったのだった。
ちょっとスパムかと思った (スコア:0)
いろんなサイトに自動で映画の宣伝とかを流すアレかと。
こんな感じなのはたまにある。
だが、なかなか読み応えがある感想。