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日記

Takahiro_Chouの日記: 【映画】【ネタバレ】JOKER 2

日記 by Takahiro_Chou

スーパーマンがヒーローなのは、スーパーマンがクリプトン人だからではない。元から高潔な人物だったクラーク・ケントが、たまたま、クリプトン人の生き残りだったのだ。
キャプテン・アメリカについても同様。ひ弱な頃から高潔な人物だったスティーブ・ロジャースが、たまたま、超人血清の適合者だったのだ。
では、かく有ったかも知れない/有るかも知れない我々……落ちる所まで落ちたり、たまたま、親がアレ者だったり……たまたま、ロクデモない社会状況の更に底辺に置かれたりした場合に我々がなるかも知れない奴……同情すべき状況には有るが、お世辞にも高潔とは言えず、クリプトン人でも、超人血清の適合者でも、ブールス・ウェインやトニー・スタークのような大金持ちでも、ソーやワンダーウーマンのような文字通りの「神」でもない、何の力もない人間だった場合、その「かく有ったかも知れない/有るかも知れない我々」はヒーローになれるのだろうか??
この映画の中では、答はYESである。ただし、共感すべきでないのは頭では判っているのに、どうしても共感してしまう、闇のヒーローと化したのだ。

そもそも、DCコミックにおけるジョーカーとは何者か??
ライバル会社であるマーベル・コミックを代表する悪役の1人ロキが、神でありながら、映画でも、コミックでも、どんどん人間臭い存在になっていくのに対し、ジョーカーは「狂気と悪知恵と『動機が無いが故に先が読めない真似をやる』事だけが強みの単なる人間」と云う設定にも関わらず、どんどん、神格化されていっているキャラクターだ。
とうとう、コミックの方では「(メタ視点で云うなら)世界設定ごとリブートされても、ジョーカーは出現するが、同じ人物がジョーカーになるとは限らない」と云う話まで出て来ている。
DCコミックでは、世界そのものに「歴史改変や現実改変や複数の世界の融合が起きても、必ず誰かがジョーカーになる」と云う呪いでもかかっているのか??

で、この映画は「ジョーカーとは何者で、何故、ただの人間に過ぎないジョーカーが、スーパーヒーロー達やスーパーヴィラン達と渡り合えるのか??」について、一定の答を出している。
そう、この映画では、ジョーカーとは、何者でもない男が、社会の歪みが一因となって殺人者となり、そして、同じ社会の歪みが、彼を「闇のヒーロー」に祭り上げたもの、として描かれている。
確かに、社会の歪みの具現化なら、それを撲滅するのは、スーパーヒーローではなく政治家の役目だ。スーパーマンもバットマンもワンダーウーマンも、スーパーヒーローであって、政治家では無い以上、そりゃ、「撲滅するのは政治家の役目」と云う「悪」を撲滅するのは難しかろう。
しかし、困った事に、この映画に出て来る政治家と云うのが……まぁ、その、御本人にどこまで責任が有るかは議論の余地は有るが、少なくとも、ジョーカー誕生の原因の一端なのである。

そして、トーマス・ウェインが原因の一部になって、ジョーカーの誕生を含めた騒動が起き、その過程で、当のトーマス・ウェインが死に……。
最後に、両親を失ない、後にバットマンになるであろう少年が呆然と立っている場所は、この物語の最初に出てきた「あの場所」なのだ……。
どうやら、ティム・バートン版のバットマンの「後にジョーカーになる男がバットマンの両親を殺し、バットマンが親の仇とは知らずにブチのめした男がジョーカーと化す」と云う展開ように、この映画の世界でも、因果の連鎖が続くようである。

……もっとも、初めから狂ってたらしい主人公の視点が、どこまで信じられるか、と云う問題は有りますが

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私はプログラマです。1040 formに私の職業としてそう書いています -- Ken Thompson

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