Takahiro_Chouの日記： 【書評】ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく

ラジオ番組「アフター6ジャンクション」で紹介されていたので、読んでみた。まさしく「映画化希望」な本である。
俺にクラシック音楽についての知識が有ったら、もっと楽しめたかも知れない。

しっかし、「ベートーヴェンの会話帳」の大規模な学術的研究が終り、前々から言われていた「ベートーヴェンの『会話帳』には捏造箇所が多数有る」説が「事実」である事がほぼ確定したのが1977年。時はポストモダン思想(「大きな物語」への批判)が流行っていた頃。
そして、この本が出版されたのが2018年。その頃には「ポストモダンは『近代』を乗り越えられなかった」と云う言説が広く言われるようになっていた。
この本は「1人の筋金入りのベートーヴェン崇拝者が自分の望む『ベートーヴェン』像を世間に広めるまで」の物語であると同時に、1970年代から現在までの世相や思想の潮流の変化ともリンクした物語である。